海外調査報告書
- 海外動向
2010年8月
CRDS-FY2010-OR-03
科学技術・イノベーション動向報告~イスラエル~
エグゼクティブサマリー
研究開発戦略センター海外動向ユニットでは、我が国の科学技術・研究開発・イノベーション戦略を検討する上で重要と思われる、諸外国の動向について調査・分析し、その結果を研究開発センター内外に「海外科学技術・イノベーション動向報告」として配信している。調査内容は、最新の科学技術・イノベーション政策動向・戦略・予算、研究開発助成機関のプログラム・予算、研究機関や大学の研究プログラム・研究動向などを主とした、科学技術・イノベーション全般の動向となっている。
本報告書は、イスラエルの科学技術・イノベーション政策について調査を実施し、取りまとめた報告書である。
イスラエルは、少ない資源、狭い国土、欧米から離れた地理的なデメリットなどがあるなか、有能な人材による研究開発を基盤としたハイテク国家として発展したという、日本と共通する境遇を持つ。しかし一方で、起業精神溢れる文化、国際的な協力体制および多国籍企業の積極的な誘致などのグローバル化戦略で成長を続けるなど、日本と異なる特徴も多数見受けられる。特に起業精神は非常に強く、またイスラエルの知の獲得を目的として、先端企業の研究所が多数イスラエルに設けられ、そしてイスラエル発の技術も多数生まれている。また論文においても、計算機科学、数学など日本が弱い分野が強く、日本が強い化学や材料などの従来分野にはあまり積極的にリソースを投入していないなどといった反対の傾向がある。
このように似た境遇でありながら日本にない特徴を持つイスラエルとは、お互いの国の弱い部分を補完するようなWIN-WINな協力体制を構築し、今後の両国の発展につなげることが重要であると考える。