国際比較調査
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G-TeC報告書【ナノシステム】

エグゼクティブサマリー

 我が国では、第2期科学技術基本計画において「ナノテク・材料」が重点四分野の一つに指定され、第2期、第3期基本計画の下で研究投資が行われてきた。横断的基盤となるナノテクに重点投資を行う動きは、2000年以降の欧米でも共通して見られる。世界が科学基盤としてのナノテクに期待し、投資を継続してまもなく10年を迎えることになり、研究成果の社会還元を促すべき段階に入る。そして、その際の有力な方向として「社会課題を解決するためのナノテク」という位置付けが浮かび上がる。
 第3期基本計画の中で「課題解決のための科学」の重要性が指摘された。日本の将来に向けた課題を設定し、課題解決の戦略を策定・推進していく必要があり、この戦略実行においてナノテクは重要な役割を果たし得る。我が国の強みであるナノテクを核とした研究を、社会のイノベーションに結びつけていく動きが期待される。実際に今、世界では地球環境問題の解決が急務となった。「環境・エネルギーの課題を解決するためのナノテク」が強く求められている。
 これらの背景を受けて、「“ナノテク”の“環境・エネルギー”への展開」をテーマとする「G-TeC(Global Technology Comparison)」を行った。G-TeCは、重要な科学技術領域や研究システムに焦点を当て、海外の状況を調査分析することで、日本のポジションを確認し、今後取るべき戦略の立案に貢献することをミッションとする。調査には、公開情報に基づく基礎調査、国内外での現地会合などの手法を用いた。「環境・エネルギーのためのナノテク研究」に関する海外動向を分析し、これらの中から「課題解決のためのナノテク研究」に関わる動きを抽出した。その上で「ナノテクを環境・エネルギーの課題に展開していく方策」を検討した。