ワークショップ報告書
  • バイオ・ライフ・ヘルスケア

臨床研究拠点整備の現状について (2007年)

エグゼクティブサマリー

独立行政法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)の臨床医学グループは臨床医学研究分野を担当し、統合的迅速臨床研究(IntegrativeCelerity Research:ICR)の推進を提案してきた。ICRを強力に推進するためには、臨床研究の推進中核拠点として「臨床研究開発複合体及びネットワーク化された臨床研究実施機関」の整備が必要である。そこで、2007年2月に東京で、また2007年7月に名古屋大学においてワークショップを開催し、「臨床研究開発複合体及びネットワーク化された臨床研究実施機関」をモデルとして、臨床研究支援ならびに実施に係わる大学および国立病院のリーダーと、医薬品・医療機器産業の企業経営者を招致して討議を行った。本報告書では、これらワークショップから得られた成果、及び事後に諸機関に対して実施したアンケート調査結果をもとに、1.機関における取組について、2.臨床研究拠点としての連携体制について、3.臨床研究の実施に関する課題と展望をとりまとめた。1.機関における取組について研究開発システムについては、徐々に体制が整備されつつあるものの、いずれの施設においても、臨床研究の実施にかかる人材、ポスト、ランニングコスト、諸機関との連携や情報交換の強化などが課題として挙げられていた。一方で、人材育成として系統講義のプログラムが実現できている施設はまだ少なく、臨床研究の実施にかかる人材、ポスト、人件費をより強力に支援しながら、系統講義プログラム実施の奨励をしていくことが必要であると考えられた。2.臨床研究拠点としての連携体制について施設内での連携として、研究部門、診療部門、知的財産部門等との連携、医工連携などの取組がなされているが、専任調整役の不足、事業計画部門の不足などが大きな課題として挙げられていた。地域レベルでの連携は、治験ネットワークは存在してもあまり効果的に機能しておらず、臨床研究の実施も不十分であること等が浮き彫りになった。また、全国の連携は、橋渡し研究支援プログラムの開始やトランスレーショナルリサーチ懇話会の実施によるネットワーク化は行われているが、医薬品行政との連携不足や中央倫理審査設立の要望などが見受けられた。3.臨床研究の実施に関する課題と展望臨床研究専門職というキャリアパスの確立、臨床研究の試験計画に助言を行う組織の充実、現行の臨床研究と治験という二つの道筋を一本化した行政対応、審査の迅速化と対応の強化、臨床研究にかかる保険診療の実現、被験者の補償制度の整備、産学官の人材交流の促進等が行政に求めることとして挙げられた。また、研究費に関しても公的研究費の強化や弾力的な運用、キャリアパスをよく勘案した制度などが要望として挙げられた。一方で、研究者や研究評価者に対しては臨床研究の適切な業績評価とキャリアパスに関する意見が出された。国民、マスコミュニケーションに対しては医療の向上のための臨床研究の実施への理解が挙げられ、産業界に対しても、アカデミアの知を産業化に還元するための投資や人的交流による支援等が要請された。