調査報告書
  • 科学技術イノベーション政策

科学技術イノベーション政策が創出する経済的、社会的価値の図解−事例研究に基づく経済的価値と社会的価値の波及メカニズムの検討−

エグゼクティブサマリー

 イノベーションの定義、分類は多様であるが、本報告書で対象とするのは「科学的な知識を用いて新技術、新着想を創造し、経済的価値を増大させ、または社会的要請を満足させるプロセス」と定義される「科学技術イノベーション」である。本報告書は、この科学技術イノベーションによる経済的、社会的価値の創出と社会への波及メカニズムを、「科学技術イノベーションの経済的、社会的価値のフロー図」をもって解説することを目的としている。
 換言すれば(1)イノベーションのプロセスのどこで、どのような価値が創出され、(2)それがどのようなルートを通じて経済社会のどこへ波及するのかについて示すものがこのフロー図である(本文PDF参照)。フロー図は、第3期科学技術基本計画で強調されている科学技術政策やその成果を分かりやすく説明する「説明責任」を果たす上で活用されることが期待される。その際イノベーションの成功には消費者が新製品の性能等を認知することが必要条件の一つとなっており、国民の理解をこのフロー図を通じて得ることが重要である。またイノベーションが創出する経済的、社会的価値の全体像を検討することにより、イノベーションの成果とそれを取り巻く環境を示すイノベーション指標の開発にも資することができる。