海外調査報告書
- バイオ・ライフ・ヘルスケア
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2006年7月
CRDS-FY2006-GR-03
調査報告書 G-TeC 免疫分野 免疫系の制御機能を活用した重要疾患の克服
エグゼクティブサマリー
近年多くの難病が免疫機能の過剰反応や異常反応により発症することが明らかになっている。JST/CRDSでは、戦略ワークショップ「免疫分野」の成果を踏まえ、社会的重要性、緊急性が高く、かつ日本における研究の先進性を考慮した戦略的課題として『免疫系の制御機能を活用した重要疾患の克服』を抽出した。この課題は、わが国の研究者が中心となって進展している基礎領域の2つの成果、すなわち、免疫機構を包括的に制御する制御性細胞(たとえば制御性T細胞:Treg)の制御機構の解明と、外界因子への人体の最初の折衝部位である腸管、呼吸器などの粘膜免疫、自然免疫の仕組みの解明を踏まえて、免疫機構の制御バランスの破綻に伴って発症するアレルギー、自己免疫疾患、がんなどの重要疾患を、人体が本来備えた免疫機構の生理的な制御機構の人為的な増強ないし抑制に基づいて穏和に制御的に治療する方法を開発、確立することを目指すものである。治療のみならず自己制御に基づく安定性保持による根治までを目標とする。日常的QOLの確保から予防にまでわたる次世代医療として期待される。
免疫学はライフサイエンス分野としては珍しく、現象解析とその体系化が最も理想的に進んだ領域である。そして、わが国は免疫学分野の研究水準が非常に高く、最先端の研究状況に通暁し、世界から注視されている局面も多い。こうした分野で上記のような戦略的な研究を推進するには、世界最先端の研究者が、その問題をどう捉えいま何を考え何を狙っているのかの把握が重要である。
今回、以上の認識のもとに米国の現況についてG-TeCを実施した。