国際比較調査
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調査報告書 G-TeC (アジア地域における新興・再興感染症およびそれを巡る研究動向)

エグゼクティブサマリー

 アジアにおける新興・再興感染症および人獣共通感染症の頻発は交通・流通の高速化・大量化に従い、全世界的規模での拡範の脅威をもたらしている。感染症発生国と地理的・環境的に密接な関連性のある我が国は、アジアの感染症を常に注視し、予防、拡散防止、治療などに直結する研究を基礎及び応用の両面から積極的に推進する必要がある。そこで、急速な経済発展を遂げつつあり、SARS等新興感染症の主要な発生源であると共に多様な野生生物資源の宝庫でもある中国、および、メコン川流域諸国のリーダーとしての地位を確立しつつあると共に高病原性鳥インフルエンザなどの人獣共通感染症の発生源の一つであるタイ国に的を絞り、感染症研究の実態を調査した。即ち、両国における主要な感染症研究機関、感染症の動向と重点研究領域、試料の確保・取り扱い、人材育成、諸外国と協力体制、自然環境等について調査を行った。
 調査は感染症専門家による調査団を結成し、両国の感染症研究のキーとなる研究施設、大学、大学病院を訪問し、研究者、行政官へのインタビューを行いつつ進めた。主たる訪問研究機関は、中国では中国医学科学院、協和医科大学、中国農業科学院ハルピン獣医研究所、タイ国ではタイ公衆衛生省疾患対策部感染症局、同省医科学部、チュラロンコン大学病院であった。