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水素エネルギーシステムの可能性と課題

エグゼクティブサマリー

 燃料電池を中心とした水素エネルギーシステムは、エネルギー問題、環境問題への解決策としての期待の大きさから各国の大学、研究機関、企業など において実用化を目指した研究開発が盛んに進められている。これら水素エ ネルギーに関わる研究のなかで、自動車用、家庭用に固体高分子形燃料電池(PEFC)を適用したシステムに対象を絞り、我が国の目指す持続可能社 会の中に水素エネルギーシステムが定着する上で必要となるブレークスルー技術とその実現に不可欠な重要研究課題の抽出を行い、さらに、その研究 開発の推進方法を議論することにより、今後の研究開発戦略の形成に資す る事を目的とし、本ワークショップを開催した。
 水素エネル ギー分野の有識者25名の参加のもと、「水素製造」、「水素貯蔵・輸送」「燃 料電池(水素利用)」「水素エネルギーシステムの評価とまとめ」のセッションを設け、現状の研究についての発表とそれに基づく討論を行った。
 本ワークショップでは、「総合効率を向上するために必要とされる課題」、そして効率に関する課題以外に「実用化のためにブレークスルーを必要とする技術」「基礎的、長期的研究課題」の項目について課題を抽出した。
 抽出された項目の内、特に大学、公的研究機関等で行うことが期待される 「基礎的、長期的研究課題」として抽出された課題を以下に示す。
 【水素製造】 多様な水素製造についての幅広い視点からの基礎研究
 【水素貯蔵・輸送】 吸収量が多く、かつ低温で水素放出が可能な新規水素吸蔵材料の基 礎研究(吸蔵メカニズム解明を含む) 、液体水素のエネルギーロスの低減技術
 【燃料電池(水素利用)】 セルスタック(特に燃料電池システムの最小構成単位であるMEA (Membrane Electrode Assembly)内部)での反応メカニズム、劣化メカニ ズムの解明、現象解明や、性能評価のための測定技術の開発、触媒・電解質膜等の新規材料の開発を目的とした基礎研究

 上記抽出された重要課題を含め、抽出された課題について今後、詳細 な検討、優先課題の絞り込み、研究開発推進方法の明確化などを進め、 研究開発戦略の立案に資する予定である。