海外調査報告書
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科学技術・イノベーション政策動向報告~インド~

エグゼクティブサマリー

 研究開発戦略センター海外動向ユニットでは、我が国の科学技術・研究開発・イノベーション戦略を検討する上で重要と思われる、諸外国の動向について調査・分析し、その結果を研究開発戦略センター内外に「海外科学技術・イノベーション動向報告」として配信している。調査内容は、最新の科学技術・イノベーション政策動向・戦略・予算、研究開発助成機関のプログラム・予算、研究機関や大学の研究プログラム・研究動向などを主とした、科学技術・イノベーションにかかわる動向全般となっている。
 本報告書ではインドの科学技術・イノベーション政策について取りまとめた。
 インドは中国に次ぐ人口大国であると同時に、1991年の経済自由化路線開始以降、年平均8%の経済成長を遂げており、BRICsの一角として世界中から注目されている国である。一方で一人当たりGDPが796.8ドル(2006年)と低く、人口の1/3が1日1ドル以下で生活する貧困層とのデータもある。このような格差を考慮し、インドのイノベーション政策では、イノベーションの方向性を2軸で捉えている。すなわち、日本をはじめとする先進国と競争するトップレベルのイノベーションと、インド国内の貧しい人々が日々の生活費を稼ぐ能力を身につけるためのローテク技術の普及を前提としたイノベーションである。このような考えは、現在策定中のイノベーション法にもあらわれている。本報告書では、このようなインドの特徴をなるべく捉えながら執筆することを試みた。