- 情報・システム
社会価値を生み出す最適化の革新
エグゼクティブサマリー
本報告書は、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が2024年8月31日に開催した科学技術未来戦略ワークショップ「社会価値を生み出す最適化の革新」の内容をまとめたものである。
JST CRDSは、科学技術に求められる社会的・経済的なニーズを踏まえて、国として重点的に推進すべき研究領域や課題、その推進⽅策に関する提⾔を⾏っている。この活動の⼀環として、意思決定と最適化の数理について、社会課題解決への貢献の質と幅を広げるために、出口戦略を意識しつつ研究開発を進化させる必要性があると考え、「社会価値を生み出す最適化の革新」についての調査活動を進めてきた。
本ワークショップでは、以下の三つの仮説を提示して、話題提供と討論を実施した。
- 数理最適化と機械学習の融合は最適化手法の適用範囲を広げることに役立つ。
- 数理最適化と機械学習を融合させるためには、リアルタイム性の向上、ロバスト性の向上、大規模高次元問題を解く際の計算量削減といった研究開発と人材育成が必要である。
- 課題解決の実績を積み重ね、人材育成と人材交流を進めることで、最適化手法が社会により広く受け入れられ、社会課題解決に資するという社会価値を生み出すことができる。
研究開発課題については、「機械学習による最適化問題の高速求解」、「機械学習の最適化」、「係数が不確実で一つに決められない最適化問題」、「不確実な情報を含む多段階意思決定問題」について話題提供があり、数理最適化や機械学習を利用するためのプラットフォームや、最適化手法のリアルタイム性やロバスト性について議論を行った。
研究開発の推進方法については、「サプライチェーンマネジメント(SCM)における指標」、「数理最適化による問題解決プロセス」、「数理最適化ソフトウェア(ソルバー)」、「情報と数理の融合」について話題提供があり、最適化技術の普及の方法や壁について議論を行った。
これらの議論を踏まえ、CRDSでは今後国として重点的に推進すべき研究領域と具体的研究開発課題を検討し、研究開発の推進方法も含めた戦略プロポーザルとして、関係府省や産業界、学会等に提案する予定である。
※本報告書の参考文献としてインターネット上の情報が掲載されている場合、当該情報はURLに併記された日付または本報告書の発行日の1ヶ月前に入手しているものです。