調査報告書
- 情報・システム
2024年8月
CRDS-FY2024-RR-04
プレプリントサーバーarXivを利用したAI分野の研究動向俯瞰調査
エグゼクティブサマリー
本報告書は、プレプリントサーバーarXivを用いて、AI分野の最新研究動向を調査した結果をまとめたものである。調査では、arXivのプレプリントと主要国際会議のプロシーディングスを対象とし、技術的類似性に基づく俯瞰マップを使って、直近1~2年の研究傾向を分析した。
調査対象は、2010年以降にarXivに収録された全25カテゴリの文献情報427,846件と、AIに関する30の主要国際会議のデータ200,663件である。
調査結果から、以下の領域が主要なトレンドとして確認された:
- 画像処理用トランスフォーマー
- 自然言語処理のニューラルネットワーク
- 生成AI(深層生成モデル)
- 大規模言語モデル
- ロボットの動作生成における深層学習
- AIチップ(深層ニューラルネットワーク向け専用プロセッサ)
また、以下の新興領域も注目を集めていることが分かった:
- マルチモーダル認識
- 自己教師あり学習
- 音声データの分析・生成
- 知識グラフ
- ロボットの行動・動作認識
この分析により、arXivがAI分野の動向把握やトレンド分析、新しいテーマの発見に有効であることが示された。arXivには、国際会議プロシーディングスにない新興研究トピックや未発表の研究成果が多数含まれており、迅速かつ幅広い研究動向の把握に役立つ。一方、国際会議プロシーディングスにのみ含まれる情報もあるため、両者を組み合わせて活用することで、AI分野の最新研究開発動向をより包括的に理解し、効果的な研究開発戦略の立案に役立てることができる。
※本文記載のURLは2024年5月時点のものです(特記ある場合を除く)。