調査報告書
  • 海外動向

韓国及び日本の専門家による科学技術国際比較の対比

エグゼクティブサマリー

 有効な戦略立案・提言のためには、国内外の科学技術水準や現在行われている研究開発の動向を比較し、今後の研究開発動向を的確に捉える必要がある。
 日本においては、我々海外動向ユニットの属している科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)が、2008年より科学技術・研究開発に関する国際比較調査を実施しており、本年6月、2011年3月末までの調査結果をまとめた2011年版を公表している。我々海外動向ユニットでは、このCRDSで行った国際比較調査の結果を元にして、世界の主要国や地域の科学技術の現状をマクロ的に捉えるため、大くくりの分野での各国の科学技術力比較やその傾向変化を示す試みを実施した。その結果は、本年9月に公表した調査報告書「日本の専門家による科学技術力の国際比較-JST/CRDSによる科学技術・研究開発の国際比較結果のマクロ的な応用についての考察」(CRDS-FY2011-RR-03)に取りまとめたところである。
 一方韓国でも、韓国を含めた各国の科学技術レベルがどの程度かが重要であると言う観点から、韓国の政策調査機関である韓国科学技術企画評価院(KISTEP)が、分野別科学技術の国際比較調査を行っている。このKISTEPの調査はCRDSの調査と違い、細分化された技術項目の各国・地域の科学技術力比較だけではなく、より大くくりの重点科学技術や分野全般と言った観点での国際比較を行っているのが特徴である。そこで、CRDSの調査を元に我々海外動向ユニットで分析した結果と、KISTEPが行った国際比較を対比することにより、それぞれの調査の特徴や今後の調査についての示唆を求めようと言うのが、本書の趣旨である。
 なお、KISTEPと我々JST/CRDSとはMOUを結んで協力を進めることとしており、本件についても今後両者で研究会等を開催し、さらに理解を深めていくこととしたい。