その他報告書
- バイオ・ライフ・ヘルスケア
2011年2月
CRDS-FY2010-XR-21
グリーン・バイオ・イノベーションの創出に向けた戦略研究 ~光合成生物の生産・利用技術の創出によるグローバル課題解決へのロードマップ~
エグゼクティブサマリー
光合成生物の利用は大いに期待されているが、我が国では、この利用を実現し、産業化までつなげる戦略は必ずしも明確ではない。そこで、本報告書では、この光合成生物を用いたイノベーションを「グリーン・バイオ・イノベーション」と名付け、光合成生物の利用に向けた戦略について、調査・分析を行った。本報告書の特徴の1つは、光合成生物の利用を俯瞰するという観点から、広く、かつ詳細な現状の調査を行ったことになる。対象としたのは、「環境修復、多様性利用」の観点からバイオマス生産、生物多様性利用、環境修復、「資源・エネルギー生産」の観点からバイオ燃料、化成品原料、医薬品原料・酵素等、「食料生産」の観点から作物増産技術、持続農業、機能性作物の創出、である。
そして、調査結果を踏まえ、我が国の研究開発水準を把握し、諸外国との競争力比較を行った。その結果、「基礎研究分野では世界的に見て極めて高い水準にある一方で、全体として技術開発や産業技術力については欧米に先行されている」という、我が国の特徴が再認識された。同時に、多くの分野で中国の躍進がめざましく、我が国の技術開発の脅威になりつつある姿も明確になった。この状況はここ数年続いており、応用展開に向けた研究開発の重要性が再認識された。しかし、このアウトラインの理解よりさらに重要なのは、今回の詳細な調査により、光合成生物利用に係わる様々な分野の現状と課題が明白になったことであろう。
以上のような調査を下に、我が国の強み、将来性、産業技術展開力などを総合的に判断し、本報告書では、グリーン・バイオ・イノベーションを戦略的に推進するために必要な、新たな基礎的知見の創出と、その応用展開を見据えた9つの領域を抽出した。