国際比較調査
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G -TeC 報告書 情報セキュリティ基盤技術(米国)

エグゼクティブサマリー

 情報通信ネットワークでの不正・不具合などの脅威に対して、現在行われている多くの情報セキュリティ研究開発は、その脅威が発生した際に即座に対応することが要求されるため、対症療法的かつ技術面からのみのものが多い。そのため、対応できる範囲が限定的であるばかりでなくシステムをいたずらに複雑化する危険性もはらんでいる。情報セキュリティは社会の中で実用的な効果をもたらさなければ意味がない性格の強い領域であることを考えると、単に技術のみの問題ではなく法律や管理・運用も含めたより広い視野からの検討が必要と思われる。
 我々はこの情報セキュリティを重要研究領域のひとつと見て、特に法や管理・運用も含めた観点からその研究開発戦略を検討している。このたびその検討の一助とするため米国の主要な関係機関を訪問し研究開発の状況を調査するG-TeC (Glocal Technology Comparison)を行った。訪問先は、政府ファンディング機関としてNSF(National Science Foundation)、大学としてCMU(Carnegie Melon University)CyLabおよびPurdue University CERIAS(The Center for Education and Research in Information Assurance and Security)、民間企業としてMicrosoft社の4機関である。情報セキュリティの研究は広範囲であり、今回の限定された調査結果のみから全体像を把握するのは困難である。そのため、訪問の前後のウェブ調査等により現地調査を補完して情報収集と分析を行った。