「科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム(RInCA)」より、COVID-19関連課題のELSIに取り組む4つのプロジェクトの研究代表者が登壇します。将来の公衆衛生・感染症対策におけるELSI研究、メディア分析を通じた専門知介入、Social Distancing対策を踏まえた都市・コミュニティの再設計、感染症対策に関する携帯電話関連データ利用をテーマに、これまでの研究結果を報告します。

開催概要

  • 日 時: 2022年11月21日 (月) 10:30 - 12:30
  • 形 式: オンライン(Zoom ウェビナー)
  • 主 催: 国立研究開発法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター (JST-RISTEX)
  • 参 加: 参加費 無料。以下の申込フォームよりお申し込みください。
参加申込フォーム

プログラム

開会 10:30~10:33 開会アナウンス
10:33~10:40 プログラム紹介(唐沢プログラム総括)
成果報告 10:40~11:05 児玉プロジェクト成果報告
11:05~11:30 田中プロジェクト成果報告
11:30~11:55 林プロジェクト成果報告
11:55~12:20 米村プロジェクト成果報告
閉会 12:20~12:30 閉会アナウンス

登壇研究者(報告者)

※敬称略/五十音順

児玉 聡 (京都大学 大学院文学研究科 教授)
田中 幹人(早稲田大学 政治経済学術院 教授)
林 良嗣 (中部大学 持続発展・スマートシティ国際研究センター 卓越教授)
米村 滋人(東京大学 大学院法学政治学研究科 教授)

科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラムについて

科学技術が人や社会と調和しながら持続的に新たな価値を創出する社会の実現を目指し、新興科学技術がもたらす倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)を発見・予見しながら、責任ある研究・イノベーション(RRI)を進めるための実践的協業モデルの開発を推進することを目的に、RISTEXにおいて2020年度に開始した研究開発プログラムです。

プログラム総括:唐沢 かおり(東京大学 大学院人文社会系研究科 教授)
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唐沢 かおり

唐沢 かおり

東京大学 大学院人文社会系研究科 教授

専門分野:社会心理学・社会的認知

登壇研究者の研究課題(プロジェクト)ご紹介

パンデミックのELSIアーカイブ化による感染症にレジリエントな社会構築

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) のパンデミックに対する公衆衛生政策は、人々の生活の隅々にまで影響を及ぼしています。本プロジェクトでは、COVID-19を中心とした公衆衛生的危機におけるELSIおよびそれへの対応について、論点を整理した上でアーカイブ化するとともに、これらの成果を関与者と共有し活用するという観点で、トランスサイエンス問題に対する人文社会科学系研究成果の社会実装の方法論を実践的に模索します。

具体的には、COVID-19に対する各国の政策およびそのELSIについての比較分析と、過去の感染症に関する歴史的検討の2軸で調査・分析し、COVID-19対応の特徴や日本の課題を明らかにします。さらに、感染症対策のELSIとその解決策についてのアーカイブ化を通じて、政策提言をまとめます。これらの成果をアウトリーチする実践を通じて、将来の公衆衛生・感染症対策に関するELSI研究のあるべき姿や社会実装の方法論を提案します。

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児玉  聡

児玉 聡

京都大学 大学院文学研究科

教授

現代メディア空間におけるELSI構築と専門知の介入

科学知が不確実性を伴う状況下での、専門家の社会への参画や専門知の社会適用は、単なる科学知の提供にとどまらず、さまざまなELSIを生み出します。新興感染症COVID-19をはじめ、こうした議論が構築される重要な場となっているのは、いまやマス/ソーシャル・メディアが渾然一体となったメディア空間です。

本プロジェクトは、COVID-19についての膨大なメディアデータの分析をもとに、計算社会科学と科学技術社会論の手法を中心に、ELSIが構築される機序の解明に取り組みます。さらに、今後立ち現れるだろう萌芽的科学技術も対象として、メディア分析を通じてELSIに関する社会的議論の萌芽を捉え、専門知を社会の中に位置づけていくRRIの道筋を明らかにします。

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田中 幹人

田中 幹人

早稲田大学 政治経済学術院

教授

Social Distancingによる社会の脆弱性克服・社会的公正の回復と都市の再設計

COVID-19対策として多くの国がフィジカルディスタンスの確保を推進しています。しかしそれが、家族、職種、コミュニティの分断や格差などを生み、感染症対策に対する都市・社会の脆弱性が浮き彫りになってきました。

本プロジェクトは、ディスタンシング対策が人や社会にもたらす影響について、居住・空間利用、経済、環境などの都市圏データや、位置情報に基づく人々の行動変容のビッグデータ、暮らしや医療へのアクセシビリティなど人のQOLに関する価値観データを統合的に分析し、諸外国との比較も行いながら、科学的エビデンスを抽出します。それらを基に、ELSIの観点にも配慮した距離の取り方をソーシャル・ディスタンシング・アクションと定義し、脆弱性や社会的公正の視点に立った都市・コミュニティの再設計の手法開発を行います。

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林 良嗣

林 良嗣

中部大学 持続発展・スマートシティ国際研究センター

卓越教授

携帯電話関連技術を用いた感染症対策に関する包括的検討

COVID-19感染拡大に有効な対策が必要とされる一方、人々の行動制限や営業制限は、対策として持続的実施が困難です。そのような中、携帯電話を用いた位置情報や行動履歴、接触情報などのデータを収集・解析する対策が国際的にも注目されています。しかし、これら個人情報の利用に関してはプライバシー上の懸念を指摘する見解も多く、各国においても明確なルールは確立されていません。

本プロジェクトは、COVID-19と将来の新興感染症対策に向けて、携帯電話関連技術の望ましいデータ利用とプライバシーや人権保護のあり方について、情報工学やELSIの観点から多角的・学際的に検討します。立法も含め、適切な技術活用や政策形成の提案を目標として、エビデンスに基づくガイドラインの作成や、国際的なルール形成への貢献を目指します。

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米村 滋人

米村 滋人

東京大学 大学院法学政治学研究科

教授

関連リンク

科学技術の倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI)への包括的実践研究開発プログラム

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