環境変動に耐える植物の能力を明らかにして品種改良を加速する

「環境変動に対する植物の頑健性の解明と応用に向けた基盤技術の創出」研究領域

(紹介動画)

紹介動画

研究総括

田畑 哲之(公益財団法人かずさDNA研究所 所長・副理事長)

領域概要

世界規模の気候変動によって引き起こされる干ばつ、大雨などの環境変化は、農業生産に大きな影響を与えており、食糧の安全供給に対する深刻な脅威になりつつあります。人類がこれまで通りの繁栄を続けてゆくためには、環境の変化に強い実用植物を迅速に開発することが喫緊の課題です。これを実現するためには、シロイヌナズナなど実験植物の研究から得られた基礎植物科学の知見を、実用植物の開発や栽培に活用することが早道です。また、植物研究で得られたさまざまな生物学的データを、工学や情報科学など異なる分野の技術や視点から解析することによって、新たな育種技術や栽培技術の開発につなげることが重要です。

そこで、2015年に新たなCREST領域「環境変動に対する植物の頑健性の解明と応用に向けた基盤技術の創出」が立ち上がり、次の三つの取り組みが行われました。

1.植物研究で収集されるゲノム、トランスクリプトーム、メタボローム、フェノーム等のオミクスデータや気温、日照量、降雨量などの環境データをより大規模、高精度に計測するための技術開発
2.これら大量のデータを、電子計算機を用いて情報科学的に統合解析することによる植物の生育・環境応答の予測モデルの構築
3.予測モデルに基づく環境適応力が向上した植物の作製と実環境における栽培実証を通じた植物の「生育・環境応答予測モデル」を基盤とする「環境適応型植物設計システム」の開発

本領域には、これまでに大学や公的研究機関、民間企業からなる12チームが参画し、イネ、ダイズ、コムギ、トマトなどフィールドで栽培されるさまざまな実用植物を対象として、上記の目標に向かって研究開発を進めてきました。このサイトでは、これらの研究開発の内容や成果をわかりやすく紹介します。

もっと知りたい
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植物に学ぶ「変動する環境に対応するしくみ」

ハクサンハタザオ、分子フェノロジー、クロマチン、エピゲノム、長期季節記憶
田んぼのイネの振る舞いを予測したい!

イネ、トランスクリプトーム、遺伝子発現、環境制御
P700酸化システムによるROS酸化障害の危機診断

光合成、P700、ストレス、活性酸素
野外向け計器と作物生長予測による高度栽培制御

環境計、養分計、マイクロ流体回路
貧しい栄養環境でも逞しく育つ作物を生み出す

イネ、窒素飢餓、リン飢餓、栄養シグナル伝達
デジタルフェノタイピングで予測する植物の未来

ダイズ、ゲノム、フェノタイピングシステム、成長予測モデル
ゲノムと環境データから干ばつに強い作物をデザインする

ダイズ、干ばつ、形質評価、ドローン、品種開発技術 
東アジアのパンコムギ遺伝資源から第2の緑の革命へ

コムギ、温暖化、倍数体、開花
作物の先制育種に資する予測モデル構築を目指して

オオムギ、状態形質、成長トラジェクトリ、茎頂メリステム
地中の根の見える化で、環境ストレスに強い作物を作る

イネ、環境レジリエント作物、根系形態、X線CT
作物生産に貢献する根圏ケミカルワールド

ダイズ、トマト、トマチン、根圏微生物叢
遺伝子ベース作物生育モデルで気候変化に強い品種を設計

イネ、収量、生育予測モデル、ニューラルネットワーク

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