第10回:「親密な他者」としての生成AI ~AI依存問題とトラスト~
開催日程
2026年5月29日(金) 12:45~15:00
開催形態
オンライン(Zoomウェビナー)
開催趣旨
デジタル化の進展につれて、バーチャルな空間にも人間関係が広がり、AIのような複雑な技術を用いたシステムへの依存が高まり、だます技術も高度化してしまいました。その結果、デジタル社会と言われる今日において、社会におけるトラスト(信頼)関係にほころびが見られます。この問題は、自動運転車、AIエージェント、生成AI、メタバースなどの新技術・新サービスの社会受容を左右するとともに、フェイク・偽装・なりすましなどによる詐欺・犯罪の懸念を高めています。このような問題意識から、JST CRDSでは総合知による取り組みの必要性を提言し、様々な分野に広がるトラスト研究の間の分野横断的な議論・連携の機会として「連続シンポジウム」を企画しました。
その第10回では「AI依存問題」をテーマとして取り上げます。生成AIは今、単なる業務効率化ツールを超え、人々の孤独を埋め、人生の悩みや恋愛相談までも引き受ける「親密な他者」へと変貌を遂げつつあります。24時間365日、否定せずに寄り添うAIの存在は、個人のある種のウェルビーイングに寄与する可能性を秘める一方で、過度な心理的依存や人間関係の希薄化、AIによる無意識の価値観誘導といった新たなリスクが指摘されています。今回は、このようなAI依存問題の背景や懸念に目を向けるとともに、アルゴリズムによって演じられた「親密な他者」との関係性や、人に対するトラスト(信頼)との差異を踏まえた研究課題などを論じます。
プログラム
| 12:45~13:00 | 開催趣旨説明 福島 俊一(科学技術振興機構 研究開発戦略センター) |
|---|---|
| 13:00~13:35 | 講演1「AI時代の人間関係をどう設計するか」 山下 直美(京都大学大学院 情報学研究科) |
| 13:35~14:10 | 講演2「生成AI社会における親密性の再編」 河島 茂生(青山学院大学 総合文化政策学部) |
| 14:10~15:00 | 質疑・総合討論 モデレータ:福島 俊一 パネリスト:山下 直美、河島 茂生 ディスカッサント:佐倉 統(実践女子大学 人間社会学部、東京大学名誉教授) |
講演概要
(1)講演1 山下 直美「AI時代の人間関係をどう設計するか」
情報技術、とりわけ対話型AIは急速に普及し、人とAIがいかに共生するのかが改めて問われています。近年の研究は、予測技術や対話型AIが利便性を提供する一方で、幸福度や人間関係に負の影響を及ぼしうることを示唆しています。本講演では、こうした知見を概観した上で、講演者がこれまでに取り組んできたメンタルヘルスやウェルビーイングに関する研究を紹介し、AIの影響が、技術の性能だけでなく、AIの結果を「誰に」「どのように」提示するかによって大きく異なることを示します。これらの議論を通じて、AIと人の関係性をデザインすることの重要性について議論します。
(2)講演2 河島 茂生「生成AI社会における親密性の再編」
生成AIは、単なるタスク支援という役割を超え、人と親密な関係を結ぶ存在になりつつあります。親密性は、近代以降の社会変動やメディア環境の変化のなかで大きく変容してきましたが、生成AIの普及は、それをさらに新たな段階へと押し進めつつあります。本講演では、「生物」「自律性」「他者性」「市場の論理」「トラスト」といった観点から、生成AIとともに相談や恋愛がいかに変化しようとしているかを検討します。そのうえで、生成AIとの親密な関係に伴って生じる倫理的課題を整理し、望ましい設計やガバナンスのあり方を考察します。
参加申込方法
- 事前登録制(参加無料)
こちらの 「参加登録受付フォーム」からご登録ください。 - 参加登録受付期限:2026年5月28日(木) 13:00
主催
国⽴研究開発法⼈科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)
問い合わせ窓口
福島 俊一(JST CRDSフェロー)