第3回「医療におけるAIとトラスト」
開催日程
2024年6月25日(火) 15:00~17:00
開催形態
オンライン(Zoomウェビナー)
開催趣旨
デジタル化の進展につれて、バーチャルな空間にも人間関係が広がり、AIのような複雑な技術を用いたシステムへの依存が高まり、だます技術も高度化してしまいました。その結果、デジタル社会と言われる今日において、社会におけるトラスト(信頼)関係にほころびが見られます。この問題は、自動運転車、AIエージェント、生成AI、メタバースなどの新技術・新サービスの社会受容を左右するとともに、フェイク・偽装・なりすましなどによる詐欺・犯罪の懸念を高めています。このような問題意識から、JST CRDSでは総合知による取り組みの必要性を提言し、様々な分野に広がるトラスト研究の間の分野横断的な議論・連携の機会として「連続シンポジウム」を企画しました。
その公開第3回は「医療におけるAIとトラスト」をテーマとして開催します。AI技術の活用は医療分野にも広がっていますが、AIは100%の精度を保証するものではありませんし、ブラックボックスとも言われます。このようなAIを医師はツールとしてトラストできるのか、AIと医師とで言うことが異なった場合に患者は両者をトラストできるのか、AIに対するトラストの程度(過信や不信)は医療意思決定をどのように左右するのか、といった論点を交えながら、日常診療の現場でAIを利活用している医師、医療AIの研究者、行動経済学の観点など、異なる分野の専門家の間で意見を交わす機会として、講演およびパネル討論を行います。
プログラム
15:00~15:10 | 開催趣旨説明 福島 俊一(科学技術振興機構 研究開発戦略センター) |
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15:10~15:35 | 講演「画像診断治療支援における信頼されるAIを目指して」 森 健策(名古屋大学大学院情報学研究科) |
15:35~16:00 | 講演「人工知能が実装された診察現場における共同意思決定のコミュニケーション:「期待に対する応召」役割を中心に」 尾藤 誠司(医療法人財団慈生会野村病院) |
16:00~17:00 | パネル討論 モデレータ:福島 俊一 パネリスト:森 健策、尾藤 誠司 ディスカッサント:平井 啓(大阪大学大学院人間科学研究科)、三澤 将史(昭和大学横浜市北部病院) |
講演概要
「画像診断治療支援における信頼されるAIを目指して」(森 健策)
本講演では、画像診断治療支援AIとその信頼について議論したい。医療分野においてもAI技術が普及し始め、最近では大腸内視鏡診断支援AIに保険点数加算がなされるようになっている。また、手術分野においても、術前解構造剖解析、腹腔協手術の自動認識などにAIが利用されるようになっている。一方、これらのAIが医師からの信頼を得るには、様々なハードルがある。AIが医師からの信頼を得るためには、AIが単に高い精度を示すのみでなく、誤るような場合でも、「理解のできる誤り」が必要とも考える。そこで、本講演では、演者がこれまでに進めてきたJST CREST、ならびに、その他の大型研究費での研究経験を踏まえながら、画像診断治療分野における信頼されるAIとはなんであるかを整理したいと考える。
「人工知能が実装された診察現場における共同意思決定のコミュニケーション:「期待に対する応召」役割を中心に」(尾藤 誠司)
近未来において、医療における共同意思決定は、患者-医療者関係の関係性から患者-情報端末-医療者関係を前提としたものに変わるだろう。その中で患者-医療者のトラスト、患者-情報端末間のトラストが位置づけられる必要があるし、それによって患者-医療者のトラストの形も変わってくるだろう。このような変容に対して、患者-医療者のトラスト、患者-情報端末間のトラスト、医療者-情報端末トラストという3つの関係を俯瞰した形でデザインする必要がある。本発表では、臨床意思決定のプロセスにおいて、特に当事者が対象となるコミュニケーション端末に向ける期待に対して、当該端末が行う“応召”の役割・機能・義務を中心に論述する。
参加申込方法
- 事前登録制(参加無料)
こちらの 「参加登録受付フォーム」からご登録ください。(※受付終了) - 参加登録受付期限:2024年6月24日(月) 13:00
主催
国⽴研究開発法⼈科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)
問い合わせ窓口
福島 俊一(JST CRDSフェロー)