第2回「フェイクニュースと人・社会」
開催日程
2024年5月24日(金) 9:30~12:00
開催形態
オンライン(Zoom)
開催趣旨
デジタル化の進展につれて、バーチャルな空間にも人間関係が広がり、AIのような複雑な技術を用いたシステムへの依存が高まり、だます技術も高度化してしまいました。その結果、デジタル社会と言われる今日において、社会におけるトラスト(信頼)関係にほころびが見られます。この問題は、自動運転車、AIエージェント、生成AI、メタバースなどの新技術・新サービスの社会受容を左右するとともに、フェイク・偽装・なりすましなどによる詐欺・犯罪の懸念を高めています。
このような問題意識から、JST CRDSでは総合知による取り組みの必要性を提言し、様々な分野に広がるトラスト研究の間の分野横断的な議論・連携の機会として、「連続シンポジウム」を企画しました。公開型シンポジウムとして4月10日に開催した第1回では、「フェイクメディアにいかに立ち向かうか」をテーマとして、200名近い事前参加登録をいただきました。
公開型シンポジウムの第2回は「フェイクニュースと人・社会」をテーマとして開催します。第1回と同様に、高度なAI技術の活用によってますます深刻化するフェイク問題を取り上げますが、第1回はアイデンティティ管理やフェイク検出などの技術的な動向や技術的対策の可能性にウェイトを置いていたのに対して、この第2回では、フェイクニュースの現象を理解するとともに、フェイクが拡散することによる人・社会への影響や、アテンションエコノミーなどの社会経済的なメカニズムとの関係にウェイトを置いて議論します。この観点から3件の講演とパネル討論を行います。
プログラム
9:30~9:40 | 開催趣旨説明 福島 俊一(科学技術振興機構 研究開発戦略センター) |
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9:40~10:10 | 「生成AI時代のフェイクニュースとその対策」 笹原 和俊(東京工業大学 環境・社会理工学院 イノベーション科学系 教授) |
10:10~10:40 | 「誤情報問題におけるヒューマンファクター」 田中 優子(名古屋工業大学 大学院工学研究科 教授) |
10:40~11:10 | 「アテンション・エコノミーと『フェイクニュース』」 山本 龍彦(慶應義塾大学 大学院法務研究科 教授) |
11:10~12:00 | パネル討論 モデレータ:福島 俊一 パネリスト:笹原 和俊、田中 優子、山本 龍彦 ディスカッサント:湯淺 墾道(明治大学公共政策大学院 専任教授 / JST RISTEX「デジタルソーシャルトラスト」プログラム総括) |
講演概要
「生成AI時代のフェイクニュースとその対策」(笹原 和俊)
近年、生成AIの進化と大衆化により高度なフェイクニュースが増加し、社会問題としての深刻さが増している。本発表では、生成AIによるフェイクニュースの特徴とその拡散傾向について紹介する。そして、生成AIとフェイクニュースに対する対策について技術的観点から議論する。
「誤情報問題におけるヒューマンファクター」(田中 優子)
災害などの緊急時に人が誤情報を信じ拡散するという現象は古くから繰り返し観察されており、その心理的メカニズムに関する研究が蓄積されてきた。近年は、一度信じられた誤情報の影響を事後的な訂正によって元に戻すことは容易ではないこと、そこには複雑な認知的要因が関与していることも明らかになってきている。本発表では、誤情報問題におけるヒューマンファクターに関する知見を紹介するとともに、人の要因を考慮した効果的な誤情報対策の在り方について議論する。
「アテンション・エコノミーと『フェイクニュース』」(山本 龍彦)
プラットフォーム企業のビジネスモデルとされる「アテンション・エコノミー」とは何かを検討したうえで、これが偽・誤情報の拡散・増幅の構造的要因となっている状況を明らかにする。また、課題解決のアプローチとして「情報的健康」というコンセプトの有用性についても検討したい。
参加申込方法
- 事前登録制(参加無料)
こちらの 「参加登録受付フォーム」からご登録ください。(※受付終了) - 参加登録受付期限:2024年5月22日(水) 24:00
主催
国⽴研究開発法⼈科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)
問い合わせ窓口
福島 俊一(JST CRDSフェロー)
参考情報(研究者向け)
2024年度 社会技術研究開発事業(RISTEX)提案募集
「情報社会における社会的側面からのトラスト形成」(デジタル ソーシャル トラスト)
提案書受付期限:6月5日(水) 正午