2020年2月28日

第44回「SDGs・STI戦略 議論→実行 道筋示す」

2015年に国連加盟国が一致して「持続可能な開発目標(SDGs)」として、気候変動、食料、健康、エネルギー、都市問題など、先進国と途上国が30年までに達成すべき17の目標を決議した。その達成に向けて科学技術イノベーション(STI)への期待は大きい。決議から4年を経て「議論から実行へ」今後の道筋が見えてきたので紹介する。

3戦略を統合
まず、国連が作成した「STI for SDGsロードマップ・ガイドブック」は、一国の発展とSTIとSDGsの3戦略を統合して推進することを強調している(図)。これに沿って五つのパイロット国で計画策定や人材養成が始まり、東南アジアを含め20カ国が準備を進めている。この動きは、従来の途上国開発支援型から、市場や技術、人材、金融など将来のグローバルチェーンにおける国の発展基盤の整備という戦略性を帯びる。

また、国連科学諮問委員会と国際応用システム分析研究所(IIASA)は最近の報告で、グローバルだけでなく国、地域、企業がその特長を生かし、価値観や仕組みを変革しデジタル技術を開発利用してSDGs戦略を策定するよう強調している。多くの企業は既に利益に加えて環境と社会を総合した戦略転換を進め、ESG投資(環境・社会・統制)がこれを後押しする。欧州連合(EU)や中国は、アフリカ、アジアへのSDGs対応で、将来の市場開拓や人脈の形成を見越して世界益と国益を巧みに融合した取り組みを始めている。

地域特性生かす
わが国のSDGs活動は、公害や災害対策の技術、科学技術振興機構(JST)と国際協力機構(JICA)の連携ファンド“SATREPS”が国際的に評価されてきたが、最近は「SDGs未来都市」に選ばれた自治体による地域特性を生かした産学公市民パートナーシップが注目されている。今後は、国と自治体、経済界の協働によるSTI for SDGs総合戦略の推進が重要になる。

SDGsのコンセプトを基に、人工知能(AI)とハイテクや基盤技術を総合した都市、健康、モビリティーサービスなど社会デザイン・ミッション志向型の新しいSTIエコシステムの開発と実行であり、海外展開も視野に入れる。これは日本が提唱する「ソサエティー5.0」の具現化につながると期待する。

※本記事は 日刊工業新聞2020年2月28日号に掲載されたものです。

有本 建男 CRDS上席フェロー

京都大学大学院理学研究科修士課程修了、科学技術庁入庁。政策研究大学院大学客員教授、国際高等研究所副所長、OECDプロジェクト共同議長、科学技術外交推進会議委員、内閣府自動運転プロジェクトサブプログラムディレクター。

<日刊工業新聞 電子版>
科学技術の潮流(44)SDGs・STI戦略、議論→実行道筋示す(外部リンク)