科学の社会化シンドローム
石黒武彦
岩波書店 2007年
岩波書店 2007年
近年、論文のねつ造、データ改ざん、研究費の不正使用といった科学をめぐる問題の多発が世間を騒がせている。本書は、このような事態の背景には、「科学の社会化」があるとする。競争的な研究資金の増加、若手の研究ポストの減少、イノベーションへの期待など、いまや科学は社会から深い影響を受けている。著者は、科学者・技術者の立場から、この「シンドローム」を分析する。そして、科学者コミュニティーが、この事態に対応して社会と適切なコミュニケーションを確立するべきだと論じる。
(中島秀人:東京工業大学大学院社会理工学研究科 教授)