科学技術政策に市民の声をどう届けるか
若松征男
東京電機大学出版局 2010年
著者は科学技術をテーマとした市民参加型会議の日本における開拓者である。近年、ようやく科学技術と社会の対話や、熟議の重要性が語られるようになってきたが、ここに至る道を切り拓いたのが若松氏である。彼は海外の事例の紹介にとどまることなく、自ら実際にさまざまな手法を実践して見せたのである。本書ではコンセンサス会議はもとより、シナリオワークショップ、ディープ・ダイアローグなど、彼が取り組んださまざまな手法が実践を踏まえて紹介されるとともに、関連情報や参考文献も記載されている。「科学技術と社会の対話」を考えるための基本書籍ともいうべきものである。
(小林傳司:大阪大学コミュニケーションデザイン・センター 教授)