弁護のゴールデンルール
キース・エヴァンス 
高野隆/訳
現代人文社 2000年
本書で弁護士向けに解説される誘導尋問技術(ゴールデンルール)を科学(科学者証人)に適用しよう。すると、読者自ら、面白い結論を得られること請け合いである。「証人に何を言って欲しいかを知り、それから彼らにそれを言わせよ」。「『なぜ?』とか『どのように?』と決して尋ねるな。これをするとすべてのコントロールを失う」。この技術を科学者証人に適用すると「事実でないことを事実のようにこしらえること」が可能となる。これは広辞苑の意味で捏造にほかならないけれど、日本の法廷では日常の風景である。
法廷での議論になぜ科学が用いられるのか? 素朴な哲学的疑問を考えさせてくれる一冊である。
(本堂 毅:東北大学大学院理学研究科 准教授)