科学技術社会論の技法
藤垣裕子/編
東京大学出版会 2005年
本書は、日本の具体的な事例を扱う中で「科学技術と社会」との接点で生じる問題の分析手法の習得を目指した貴重な書籍である。科学技術に付随する不確実性が増すなかで、事例分析を通じた柔軟な科学観の養成は極めて意義深い。基本的には社会技術論の教材として編集されたものであるが「科学技術と社会」のいずれの関与者にも参考となるケースメソード特有の有効な方法論を提供してくれる書である。また技法の習得に留まらずこうした事例分析の更なる蓄積がわが国の社会技術論の発展にとり大変重要であるといえる。
(奥山紘史:日本電気株式会社社会企業塾 顧問)