語る 
熟議/対話の政治学(政治の発見 第5巻)
田村哲樹/編
風行社 2010年
難解な社会問題に対して、これまで日本社会では、徹底討議を回避し、着地点探しで妥協を図るケースが多かった。最近になって、その弊害を克服するため、透明・公正な方法で議論し決断する、いわゆる熟議/対話の必要性は理解されてきたが、いまだ参加型手続き導入に反対する風土は社会の深いところに根を張っている。
本書では、政治理論・政治思想系の研究者、実践分野で活動している研究者、そして法学者、社会学者が様々な角度から熟議/対話を理論的・思想的に検討し、平易にかつ深く解説し、具体的な制度や試行事例を取り上げている。現代社会に熟議/対話を広げていく野心的な論集として、読者に深く考えるきっかけを与えるだろう。
(柳下正治:上智大学大学院地球環境学研究科 教授)