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第5回(合同)領域会議報告

本領域の「第5回領域会議」が名古屋(KKRホテル名古屋)で、平成23年3月9日〜11日に開催されました。この会議には、さきがけ研究者39名、長田研究総括、11名のアドバイザー(当領域の10名と他領域の1名)、および、CREST曽根研究総括、JST本部古旗部長を含むJST関係3名と事務局4名、合計59名が参加しました。

今回は、新規採用された3期生15名を含め研究者の総勢が40名になってから初めての会議でした。合計38名の研究発表が行われ(2名はライフイベントのため発表なし)、研究総括とアドバイザーの先生方から厳しくもあたたかいご質問と素晴らしいアドバイスを頂きました。また、ポスター発表も実施しましたがポスター前での活発な討論も通じてより深い研究交流ができたようです。

さらに、ご講演をお二人のアドバイザーにして頂きました。宇佐美先生は「世界最小ICチップ技術」、田口先生は「自分(の研究者人生)をプランニングしよう」というタイトルで講演されました。お二人のお話は普段聞くことのできない興味ある内容で大変学ぶことの多いものでした。

なお、領域会議前日の3月8日に、名古屋大学に所属している永野、山西、山田研究者の各研究室を見学させて頂きました。3名の研究者とご研究室の方々には大変お世話になりました。見学会参加者は31名でしたが、その後の会食も含めて楽しく交流できました。

(不幸なことに、本会議の約3時間後に未曽有の大震災が発生してしまいました。被害に遭われた多くの方々に心からお見舞い申し上げるとともに、今後の復興に役立つことを当領域としても追求していくつもりです)

以下に3期生8名の感想文がありますので是非お読み下さい。

なお、次回の領域会議は、平成23年9月12日(月)〜14日(水)茨城県つくば市で開催する予定です。

(文責:技術参事 佐々木隆)


第5回(合同)領域会議感想文

1.池内 真志 Masashi Ikeuchi【東京大学 先端科学技術研究センター】

3月9〜11日の3日間、KKRホテル名古屋で開催された領域会議に、採択後初めて出席しました。今回は、本領域の1期生から3期生までが揃い、総勢38名という大人数での開催となりました。その中で、最初の発表者という任を頂き、どのような発表をすれば良いのか分からず、普段の学会での講演以上に緊張しましたが、アドバイザーの先生方からの期待のこもったアドバイスや、異なる分野のメンバーからのハッとするような質問が頂けて、自分の研究プランを練るための良い機会となりました。また、他のメンバーの発表も、材料、化学、生物、デバイスなど幅広い分野にわたり、特に専門外の分野の話では、久々に学生に戻った気持ちで聞くことができ、大いに刺激を受けました。興味はあるけれど、口演の時間だけでは理解できなかった内容も、最終日のポスターセッションで詳しくディスカッションすることができ、その中で、異分野のメンバーとの共同研究に展開しそうな話も出てきました。このように、自分の専門を超えて、若手研究者同士の交流ができることも、この領域会議の大きな意義だと感じました。

会議中は、日中の研究発表は勿論のこと、夜も遅くまで、メンバーやアドバイザーの先生方と交流する時間がもたれ、研究内容の話だけでなく、それぞれの研究環境や、研究者としての生活など、プライベートなことについても、話し込むことができました。わずか3日間とは思えないほど、多くの方々とのつながりができたと思います。さきがけでは、プロジェクト終了後も、メンバー同士が連帯感を持ち、同窓会を開いたりされるという話も聞きますが、今回、領域会議に初参加して、その雰囲気が分かった気がします。このような素晴らしいプロジェクトに採択して下さった、長田総括とアドバイザーの先生方に深く感謝するとともに、総括が最後に話された「コンセプチュアルな研究」を開拓・展開していかねばと、決意を新たにしています。また、領域会議の開催にあたって、会場の準備や、交流の雰囲気作りに尽力して頂いた佐々木様はじめ、JSTの皆様にも御礼申し上げます。

最終日、本領域会議が終了して、東京への帰路につくという時に、東日本大震災が発生しました。被災された方々に御見舞申し上げると共に、一日も早い復興をお祈り申し上げます。

2.小寺 哲夫 Tetsuo Kodera【東京工業大学 量子ナノエレクトロニクス研究センター】

第一線で活躍している多くの研究者と知り合うことができ、第5 回領域会議は私にとって大変有意義で有り難い時間でした。バイオ、医療、化学からデバイス、半導体、機械工学まで、様々な舞台で「ナノシステムと機能創発」の研究に励んでいる研究者仲間との出会いは、非常に貴重な一生の財産になると確信しています。

領域会議に参加して最も印象に残ったのは、領域全体の雰囲気の良さです。研究分野は様々に異なるのに、領域全体は不思議な一体感があると感じました。このような素晴らしい雰囲気を作り出しているのは、長田総括の温かく長期的視点に立った熱心なご指導、また佐々木技術参事、大學事務参事のご尽力によると思います。一期生から三期生まで分け隔てなく懇親できる場、また時には夜遅くまで交流できる場を用意して下さるお陰で、より深いつながりが生まれているような気がしました。

他の方々の発表を聞いていると、私にとっては聞き慣れない専門用語が度々登場し、最初は戸惑いもありました。Googleで調べ、或いは懇親会の際に説明をして頂くことで、次第にその分野への理解や興味が深まっていきました。また、長田総括や領域アドバイザの先生方が、各発表に対して細かな質問はせずに、本質を抉り出すような的確な質問やコメントをして下さることで、それぞれの研究の素晴らしさや意義がより明確になることがしばしばありました。なかでも、医療応用へと繋がる研究の最前線の話には大変刺激を受けました。私が普段参加する学会では聞けないような内容であったため、非常に勉強になり、そしてその研究の重要性を改めて認識しました。

今回、領域会議に参加して、多くの方々と交流し、幅広い分野の最先端の研究に触れることができました。それにより、自分の行っている研究を着実に進めていかなくてはと身の引き締まる思いがいたしました。それと同時に、将来的には医療応用への展開も視野に入れ、幅広い知識を蓄積していこうという気持ちも抱きました。大変素晴らしい機会を与えて下さり、長田総括をはじめ、本領域の皆様に心から感謝いたします。大変ありがとうございました。

3.千葉 大地 Daichi Chiba【京都大学 化学研究所】

第5回領域会議は名古屋で行われました。会議前日、名古屋大学の永野さん、山田さん、山西さんの研究室を見学させていただきました。名古屋は学生時代に部活の七大戦で行って以来、大好きな場所です。私は京都に住んでいますので、妻と味噌煮込みうどんやひつまぶしを食べにたまに車で出かけるほどです。とは言え、名古屋大学を訪れたのは10年ぶりで、地下鉄が整備され、新しいビルがどんどん建っている姿を見て活気を感じました。私は物性を扱う研究をしていますが、異なる分野の研究室をじっくりと見学させていただく機会は滅多にありませんでした。皆さんが熱心に楽しそうにご自分のご研究をお話しされる姿がとても印象的でした。ご準備など大変だったと思いますが、夜の部も心のこもったおもてなしを受け、大変楽しい時間を過ごすことができました。ありがとうございます。

領域会議初日は3期生の発表で緊張しましたが、この領域が広い分野をカバーしていることを改めて認識しました。にもかかわらず、研究者間の交流が活発に行える環境であることがこの領域の大きな魅力の一つだと思います。懇親会やポスターセッションでも、これまで考えていた以上に広範囲な分野の人と共同研究の可能性があるんだということを、刺激的に肌で感じることができました。私は自分の研究がスピン(磁性)に絡むことから、何を見てもスピンを入れたくなってしまうのですが、そういう話もざっくばらんにすることができました。皆さんを困らせてしまったかもしれませんが。今回の会議で、研究に対する意欲がますます大きくなりました。

最終日は京都に新幹線で降り立った直後に大地震が起こりました。私は学生や研究員時代に仙台にずっと住んでいたので、宮城県はほとんど故郷のようなものです。今は現地の状況が詳しく分かりませんが、何かできることがないかといつも考えているところです。復興を祈り、被災されました方々に心からお見舞いを申し上げます。

最後に、長田研究総括、アドバイザーの先生方、そして領域会議の開催全般にあたり大変お世話になりました佐々木技術参事、大學事務参事、各関係者の皆様方に深く御礼申し上げます。

4.藤内 謙光 Norimitsu Tohnai【大阪大学 大学院工学研究科】

3月9日から11日にかけて、KKRホテル名古屋において第5回領域会議が開催されました。私たち3期生にとっては初めての会議です。初日午後から、研究総括である長田先生の御挨拶を号令に、3期生の発表が始まりました。初回ということもあり、自己紹介を兼ねた提案研究の紹介でした。ホームページから「ナノシステムと機能創発」は、色々な分野、背景のアドバイザーの先生方、研究者が融合している領域あるということは知っていました。ですから、細かいことは抜きにして、専門外の方々に限られた時間で研究概要を理解していただくことに腐心しました。難しい研究を、質を損なわず、いかに簡単に伝えるかということは、今後の研究生活に非常に良い経験になりました。総じて私たち3期生の発表は初々しくも和気あいあいとした雰囲気が流れていたように思います。私自身も三谷先生から質問と激励を受け、大いに奮い立ちました。しかし一方で2期生、3期生は前日から既に緊張感に満ちた面持ちであったように思います。その理由は2日目にすぐにわかりました。アドバイザーの先生方からの厳しくも暖かい質問や指摘を受け、会場は独特の張りつめた雰囲気に一変しました。これが噂に聞くさきがけ領域会議かと心の中で叫びました。ただこのような環境の中、さきがけ研究者は育っていくのだと実感しました。これからの3年間、私もこの領域で揉まれ磨かれ、自立した研究者となれるよう精進したいと思います。また、前日には名古屋大学の研究者のお世話で見学会も催されましたが、本学の修士論文発表会と重なり、参加できなかったのが非常に残念でした。次回は必ず参加したいと思います。

最後になりましたが、年度末の忙しい折、長田総括を含め、ご参加頂いたアドバイザーの先生方には厚く御礼を申し上げます。佐々木様、大學様を始め領域事務所の方々にも深く感謝申し上げます。

5.長尾 祐樹 Yuki Nagao【京都大学 大学院理学研究科】

領域会議は相当厳しい質疑応答が行われるといううわさを聞いていたため、びくびくしながら初めての領域会議に臨ませていただきました。領域会議の前日になっても、発表内容がうまくまとまらずに、本当に焦りました。通常の学会発表では、参加者がある程度同じ研究分野であることを前提にして発表させて頂くことができます。しかしながら、本領域ではカバーされている分野が広いためにそれでは通用しません。生命科学、物質科学、精密工学、電子工学、医用工学、知能情報工学などの背景をお持ちの皆様に、どんな内容にすれば自分の研究をわかって頂けるかをひたすら考え、スライドを作っては消し作っては消しで、大筋が決まった時には予定よりもかなり時間が経っていました。

当日の領域会議の発表ではひたすら厳しい指摘をお受けすることになるだけと想像していました。ところがそんな雰囲気は全くなく、データ云々のディスカッションはもちろんですが、この研究結果の先にあるもの、見通しやその展開等といった、初回の参加にもかかわらず、かなり先の視点から多くの貴重なコメントを長田先生やアドバイザーの先生方から頂きました。驚きの連続でした。議論は攻められっぱなしではなく、反対にアドバイスばかり頂くという予想外の楽しい時間を過ごすことが出来ました。結果云々、これが論文にできるか云々とは別次元の、これから何年も先のことを考慮された視点でアドバイスをたくさん頂くことができたことは、私にとって大変ありがたく、とても貴重に感じました。また領域会議に参加させて頂くことで、さきがけでよく言われる良い研究ネットワークを構築できるという意味もよくわかりました。いろいろな分野の方がいるので、ある達成したい目的があった際に自分では考えもしなかった、それに至る切り口がたくさんあり、同じ分野の学会では得られないアイデアをたくさん得ることができました。食事や交流会では、アドバイザーの宇佐美 光雄先生とご一緒させて頂き、先生がこれまでどのようにご研究をされてきたのかお伺いすることが出来、私は大変な刺激を受けました。また、初めてお話しさせて頂いたアドバイザーの先生方や多くのさきがけ研究者の皆様とお話しすることが出来、とても楽しく、刺激的な3日間を過ごすことが出来ました。

長田先生が最後に総括された際に、「自分の研究がどれだけ肉体労働になっているかを良く考えてみなさい」というお話しがとても心に残っています。領域会議後1週間経った現在、自分の研究の仕方に照らし合わせてまだ考えています。領域代表の長田先生、アドバイザーの先生方、そして会議の運営をいただいたJSTの皆様に御礼申し上げます。

6.早水 裕平 Yuhei Hayamizu【ワシントン大学】

3期生の我々にとって初めての領域会議に参加するため名古屋に参りました。今回、最も印象的だったことのひとつは、1・2期生の皆さんが非常によい雰囲気の中で、お互いに自由闊達にご議論をされていることでした。これまでの4回の領域会議の過程で、このような関係が醸成していったのだろうと思うと、自分もこのような環境に身を置くことができ、非常にうれしく思います。また、私はアメリカのワシントン大学に来て2年になりますが、今回の会議で日本人の若手研究者と大いに議論できたことは非常に刺激になりました。

「ナノシステムと機能創発」領域の特徴のひとつは、多岐に渡る分野の研究者が一同に参加していることだと思います。私自身も、バイオ材料である"たんぱく質"とデバイスのプラットフォームとなる"ナノ材料"を用いて新しいナノシステムを創ることを目的として研究しており、まさに学際的分野の新たな可能性に挑んでいます。その一方で、バイオとナノという異分野の材料を融合する研究を、いかに他分野の研究者の方に理解していただけるかというのがひとつの課題でした。案の定、研究発表では、自分の伝えたいことがすべて伝わっていたか疑問に感じる結果となってしまい、次に向けた課題が見えました。しかしながら、発表の後の懇親会では、1期生の先輩から、私の発表に関して、お声をかけていただき、さらに、おなじくバイオ材料を用いた研究をされている方々と、幅広く知り合いになることができました。3期生として、1・2期生、またアドバイザーの先生方がいらっしゃることは非常に心強いとともに、多角的に研究に関してコメントをいただけることは、さきがけのすばらしいところだと改めて感じました。

最後に、長田総括をはじめ、ご参加頂いたアドバイザーの先生方には厚く御礼を申し上げます。また、佐々木様、大學様を始め領域事務所の方々にも深く感謝申し上げます。

7.宮内 雄平 Yuhei Miyauchi【京都大学 エネルギー理工学研究所】

私は2月後半まで米国にあるコロンビア大学にてポスドクとして研究しており、3期生の中でも最も遅い2011年3月1日にさきがけ専任研究者に着任しました。領域会議は3月の第2週でしたので、帰国、引越しとあわただしい中での初めての領域会議参加となりました。事前に配られた資料集を見ると、工学・物理系の私にはあまり馴染みのない単語も多々見受けられ、私自身、採用後1週間で成果などあるはずもなく、一体どのような領域会議になるのか不安もありましたが、終わってみると非常に有意義な時間を過ごすことができたと思います。

今回、初めて領域会議に参加してみて、異分野の優秀な研究者の方々と知り合えることや、領域会議での厳しいアドバイス等、「さきがけ」と他の研究グラントとの違いがまさに領域会議にあるのだということを実感しました。ナノシステム領域の皆様は気さくな方が多く、3期生同士でもほとんどお互いに初めて知り合ったにも関わらずディスカッションや懇親会等ですぐに打ち解けることができました。皆さん実績がある本当に優秀な方々ばかりで、そういう方々と同じ領域で研究を進めていけるのだということに喜びを感じました。3期生の発表は初日であったため、残念ながら欠席されていたアドバイザーの先生が多かったのですが、2日目からは多くのアドバイザーの先生が来られて、1期、2期生の方々の発表に対して時にかなり厳しいコメントもあり、自分も3期生として1年後、2年後にきちんと成果を出せるように頑張ろうと気が引き締まる思いがしました。自分自身の発表についても、長田先生やアドバイザーの先生方にフォローしていただき、自分の研究構想をより良くまとめることが出来たと思います。また、正直なところ、まだほとんどの方の研究をきちんとは理解できておりませんが、今後の領域会議を通じて普段触れる機会の少ない自分の研究分野外の研究に数多く触れ、徐々に理解を深めていくことで新しい発想を得ることができるのではないかと期待しております。

8.吉田 浩之 Hiroyuki Yoshida【大阪大学 工学(系)研究科(研究院)】

さきがけ3期生15名が加わってから初めての開催となった第5回領域会議は、40名の研究者の進捗報告に加え、アドバイザーの宇佐美光雄先生、田口善弘先生に特別講演をしていただくという、内容盛りだくさんの充実した3日間となりました。私は初めて発表するということもあり、緊張しながら会場に向かいましたが、領域会議前日に名古屋大学の先生方に研究室見学会を企画していただいたこともあり、すぐ雰囲気に打ち解けることができ、最終日まで楽しく参加させていただくことができました。この場をお借りして研究室を案内してくださった永野先生、山田先生、山西先生に御礼申し上げます。

分野の幅広さ、研究者の多さが本さきがけ領域の特徴の一つだと思うのですが、領域会議を通して、その良さを再認識しました。他の研究者の発表が知識として自分の勉強になったのはもちろん、領域会議の後半までには、他分野で活用されている技術で自分の研究に応用できるものはないか、期待して探している自分がいました。今後のさきがけ研究を通して、そのようなものを見つけられたら、と思います。また、長田総括およびアドバイザーの先生方の時に厳しく、しかし示唆に富んだアドバイスは、自分が直接指摘されていなくても当てはまるところがあり、今後自分なりにアドバイスを活かしていきたいと思いました。

このような有意義な会議を企画・運営してくださった領域総括の長田先生、アドバイザーの先生方、そしてJST事務局の皆様に御礼申し上げます。最後に、今回の領域会議は最終日に東北関東大震災が起こり、内容とは別の意味でも記憶に残るものとなってしまいました。被害を受けられたみなさまに心からお見舞いを申し上げると共に、東北・関東地方の一日も早い復興をお祈り申し上げます。

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