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第4回(合同)領域会議報告

第4回領域会議が平成22年9月8日から10日の3日間にわたって札幌(京王プラザホテル)で開催されました。今回は、研究内容に共通点があり、長田研究総括がアドバイザーをされている「構造制御と機能」研究領域(岡本佳男研究総括)との合同領域会議として実施しました。

本領域からは、さきがけ研究者1期生8名と2期生15名、長田研究総括、11名のアドバイザー、および、原口亮治調査役を含むJST関係者4名が参加しました。

会議の中心は、2領域の研究者(OB2名を含む)合計37人による研究成果の発表でした。各々短時間の発表ながらバラエティーに富む優れた発表でした。

会議の2日目には、本領域のアドバイザー居城邦治先生(北海道大学 電子科学研究所 教授)に特別講演として「金属ナノ構造とのハイブリッドによる生体機能の応用と制御ならびに同位体顕微鏡の新展開」と題するご講演を賜りました。ご講演では、ご研究紹介の他に、世界的潮流から見た日本の科学技術研究の位置づけなどについても深い洞察に基づく重要な指摘を頂きました。

なお、本会議に先立ち9月7日に、北海道大学に在籍されているさきがけ研究者の研究室の見学会を実施しました。

上記の見学会、合同領域会議および懇親会などを通じて、2領域の研究者はもちろんアドバイザーの先生方も、他では経験できない幅広い交流をされたようです。全体として大変実り多く今後の共同研究などの契機となった領域会議でした。

以下に、2期生 7名の方々の感想文がありますので是非お読み下さい。

 次回「第5回領域会議」は、平成23年3月9日(水)〜11日(金)に名古屋で開催する予定です。

(文責:技術参事 佐々木隆)


第4回(合同)領域会議感想文

1.木戸秋 悟 Satoru Kidoaki【九州大学 先導物質化学研究所】

「構造制御と機能」領域との合同会議として開かれた今回の領域会議では全部で36名のさきがけ研究者からの進捗報告と、平岡秀一先生、高谷光先生のOB講演、そして居城邦治先生の特別講演をいただき、きわめて充実した3日間でした。「ナノシステムと機能創発」領域の2期生である私には2度目の領域会議でしたが、同領域のみなさんのご研究の着実な進展をお聞きできたばかりでなく、他領域でご活躍の研究者の方々の様々なご研究にも触れることができ、大きな勉強と刺激になりました。

さきがけのみなさんはそれぞれに挑戦的なアイデアで研究を進めておられ、基礎の観点からも応用の観点からもエキサイティングなお話ばかりでした。また研究内容の面白さばかりでなく、みなさんプレゼンを大変工夫されていてアトラクティブな発表がとても多く、プレゼンの勉強もさせていただいたと思います。そして懇親会でのアドバイサーの先生方からいただいた数々の激励は、今後の研究を発展させていく上での貴重なヒントともなりました。

9月上旬の気持ちの良い気候の札幌ですっきりした頭でエキサイティングな勉強をさせていただき、誠にありがとうございました。領域代表の長田先生、アドバイザーの先生方、そして会議の運営をいただいたJSTの皆さまに御礼申し上げます。

2.齊藤 健二 Kenji Saito 【東京理科大学 理学部】

我々二期生にとって二度目の領域会議が北海道で行われました。前回の領域会議とは異なり,山内先生と角五先生の研究室を見学できること,および岡本先生が総括をされている「構造制御と機能」との合同会議ということで,発表すること自体には緊張しつつも,非常に楽しみにしていました。

初日の見学ツアーではまず,触媒化学研究センターで山内先生の上司の佃先生にわかりやすく研究紹介をして頂き,その後,角山先生と山内先生に研究室を案内して頂きました。次に,グン先生の研究室で角五先生に丁寧な研究紹介をして頂き,普通では考えられない程多くの実験室を案内して頂きました。同じ大学に所属していても他研究室を見学する機会は滅多にないため,貴重な経験をすることができました。

領域会議では,はじめに長田研究総括から研究者間で活発な質問をするように指導頂きました。質問をすることの重要さは理解していましたが,非常に苦手としていることもあり,これまで敬遠してきました。しかし,領域会議が終わってみて,その重要さを再認識することができました。「構造制御と機能」の三期生およびOBの方の研究レベルの高さも体感することができ,非常に良い刺激を受けました。発表内容に関しては,アドバイザーの先生方に指導頂いたことを今後生かしていきたいと考えています。

最後になりましたが,長田研究総括、岡本研究総括をはじめ,アドバイザーの諸先生方,会場運営にご尽力頂いた参事および事務の方々に心より御礼申し上げます。

3.高見澤 淳 Atsushi Takamizawa【首都大学東京 理工学研究科】

さきがけ研究に採択されてから2期生にとっては2回目の領域会議への参加でした。今回の会議は「構造制御と機能」の領域と合同会議であり、合同会議とはどのような雰囲気であるのかまたどのように望めばよいのかも含めて未知の部分が多々ありました。前回の参加では自分の過去の研究紹介とさきがけ研究に対するアイデアがメインの発表でしたが今回はある程度成果が求められるものと思い緊張して会議に臨みました。

私自身の発表自体はあまり顕著な成果も出なかったので反省点は非常に多かったのですが同期生の方々、一期生の方々また「構造制御と機能」の研究者の方々の発表は非常に刺激になりました。私の研究テーマは質量分析に関する分野であり現在はより試料分析の結果を論じることが多くなっています。質量分析の方法論は電磁場・衝撃によるイオン化法など行き詰った感があり (それだけ現状の技術が優れているわけでもありますが)、私自身もそれを感じて今回のさきがけでナノシステムを利用した新分野を開拓しようという野心がありました。発表を聞いていると私の知らないナノの世界があり、これは質量分析にも使えるのではかといった機能・構造などもあったのですが、なにより研究者の方々のアイデアから研究展開までの具体的な方法論やそれを聞いている私たちへの伝え方が非常に優れており、そういう意味では自分自身のプレゼンの甘さも痛感しました。本領域が非常に広く内容の完全な理解は不十分でしたが、結果として視野が広がり勉強の機会になりました。

研究交流会は、研究に対する姿勢や考え方の違いで良い刺激を受けることができ、自身のモチベーションが高まりました。技術開発と研究の落とし所が難しい分野ではありますが、技術寄りだったところを少し修正してわかりやすくサイエンスを示せるように頑張りたいと考えています。

最後に、長田研究総括、アドバイザーの先生方はもとより今回のさきがけ領域会議の開催にあたり、設営等の準備にご尽力頂きました佐々木技術参事、大學事務参事、各関係者の皆様方に対し、改めて厚く御礼を申し上げます。

4.豊田 太郎 Taro Toyota【東京大学 大学院総合文化研究科】

9月8日より3日間にわたって、北海道札幌市内のホテルにて第四回領域会議が「構造制御と機能」の領域会議と合同で開催されました。私を含む二期生にとっては、1年間の成果報告ができる機会であると共に、「構造制御と機能」の岡本研究総括やアドバイザーの先生方、研究者の方々と研究交流ができる大変貴重な機会として会議に臨みました。今年は異常なほどに厳しい残暑にみまわれておりましたが、開催期間中の札幌は気温が下がり心地よい気候に恵まれ、ホテルや懇親会会場では山海の幸に囲まれたお蔭で、会議に集中することができました。

長田研究総括と岡本研究総括よりご挨拶を頂き、会議が始まりました。「ナノシステムと機能創発」領域の一期生、二期生、「構造制御と機能」の三期生それぞれの研究発表は、はっとさせられる成果ばかりであり、領域それぞれのアドバイザーの先生方からの本質を突く質問やコメントのみならず、研究者からの質問やコメントも尽きることがなかったと覚えています。二日目には「構造制御と機能」の領域卒業生として平岡研究者と高谷研究者より講演いただき、さきがけ研究者が独自性や斬新性をどのように確立してゆくかという轍を学ばせていただきました。さらに、「ナノシステムと機能創発」のアドバイザーである居城邦治先生の特別講演では、まさに機能創発が具現した自然や生物に学び「More Nature, More than Nature, Beyond Nature」という世界の科学技術研究の潮流、先生が一からスタートされたウィルス研究の洞察深い本質、さらには世界における日本の科学技術研究の位置づけという、研究分野を横断する幅広い視野と、世界の第一線で活躍するためのエッセンスを教えていただきました。夕食・懇親会では領域間分け隔てなく、研究者間で研究交流を深めたり、アドバイザーの先生方からアドバイスを直接いただいて非常に有意義な時間を過ごすことができました。

最後になりますが、繁忙期にも関わらず、長田研究総括、岡本研究総括をはじめ、ご参加頂いた2領域のアドバイザーの先生方には厚く御礼を申し上げます。佐々木様、大學様、横田様をはじめ両領域事務所の方々にも深く感謝申し上げます。また、北海道大学見学会(私は残念ながら参加できませんでしたが)や2次会では、北海道大学の研究者の方々にも大変お世話になりましたので、ここで心より御礼申し上げます。

5.永野 修作 Shusaku Nagano【名古屋大学 大学院工学研究科】

飛行機を降りて、うだる名古屋と遠く離れたさわやかな陽気の札幌を感じつつ、領域会議へ臨む緊張が一気に高まるのがわかった。しかし、いざ会議が始まり、様々な発表を拝聴すると、原子・分子レベルのボトムアップ手法を中核とした「構造制御と機能」領域、ボトムアップとトップダウンを融合させ幅広いスケールにて機能を見いだす本領域のアプローチの共通点およびスタンスの違いが興味深く、緊張など吹き飛び、愉みながら会議に参加できた。

さきがけ研究としてはシニアな岡本領域3期生の研究者は、成果を堂々と落ち着いて発表され、研究者がお互いの研究に対する深いレベルの質疑応答を展開し、お兄さん的に感じられた。また、本領域1期生、2期生は、前回にくらべ確実に研究が進展しており、驚嘆していた。1、2、3日目と、日を追うごとに両領域の研究者たちが、お互いの研究の単なる質問から、ディスカッション、新たな提案にいたるまで、分野の分け隔てなくどんどんと交流が深まり、打ち解けていく様子を実感することができた。これほどまでに異分野の方々との交流は、学会等の会合では決して味わうことができない愉しい時間であり、また、様々な研究者の方と有意義でポジティブな議論ができたことは、一研究者として幸いであった。考えも及ばなかった「切り口」や学会などではまず聞かれない「素朴な疑問」をアドバイザーや他の研究者の方々より頂き、隔心のないディスカッションから、核心をつかれたイタイところまで議論が深まり、自身としては正直、宿題・課題が多くなった会となった。

岡本先生、長田先生の両研究総括が領域会議の初めにご挨拶の中でおっしゃった「似たアプローチの領域」であり「人としても、サイエンスとしても良い交流」という言葉が正に適した「合同」が行われたと感じる。今後、近い将来、より新しいサイエンスを構築できるように、お互いがんばれる仲間が増えたかけがえのない機会であった。

6.廣畑 貴文 Atsufumi Hirohata【ヨーク大学 電気学科】

9月7日から10日の日程で京王プラザホテル札幌にて第4回領域会議が開催されました。今回は「構造制御と機能」領域との合同開催ということで、大勢の皆さんとお話をさせていただく機会を持つことが出来ました。特に、普段はあまりお目に掛からないような異分野の方々と交流を深めさせていただくことができて、多くの新たな知識を得ることが出来ました。

長田研究総括が副学長をされていた北海道大学のグン先生・佃先生の御研究室を見学させていただくことから日程がスタートしました。角五さん・山内さんに大変丁寧に御説明頂き、部外者の私でもとても興味深く見学させて頂くことが出来ました。特に、最先端の研究を精力的に進められている様子や、細やかな工夫を凝らした数々の装置に、大変感銘を受けました。

8日午後から始まった会議では、2つの領域が交互に発表を行う形式で、非常に濃密な議論が白熱しておりました。学会とは違う形での、発表者を伸ばすようなアドバイスが多く、私自身大変参考にさせて頂きました。9日には既に終了された方々の御発表もあり、どのような形で「さきがけ後」を目指すべきなのかということを示して頂きました。まだ先のことではありますが、この先研究者としてどのようにさきがけでの経験を生かすべきか、考える縁となりました。引き続き、居城アドバイザーの特別講演が行われ、最先端の御研究内容のみならず、幅広い御研究テーマとその進め方について学ばせて頂きました。

7日の研究室見学後のジンギスカンに続き、9日夜には懇親会が行われました。ざっくばらんに各先生方に御相談にお乗り頂き、極めて有意義な時間を過ごすことが出来ました。あまりに満喫しすぎて多少寝不足のまま自分の発表を迎えることになってしまいましたが。幸い発表後にデバイス組み込みに関して、長田総括と三谷アドバイザーから素早く進めるようにとの御指摘を受け、研究を進める上でのタイミングの重要さを身にしみました。また他にも大変貴重な御意見を皆様から頂き、今後の研究計画の糧として生かしていく所存です。

末筆ながら、長田総括・岡本総括はじめアドバイザーの皆様には、お忙しい中大変貴重な御意見をくださいまして、どうもありがとうございました。また、会議開催に御尽力下さいました、佐々木技術参事・大學事務参事はじめ関係各位に厚くお礼申し上げます。次回以降もどうぞよろしくお願い致します。

7.横山英明 Hideaki Yokoyama【東京大学 大学院新領域創成科学研究科】

二期生としては二度目の開催になる領域会議ではあるが、前回の会議を欠席した私にとっては、初めての領域会議で、なおかつ「構造制御と機能」領域との合同会議であった。ナノシステムの全員の研究を把握していない状態で、「構造制御と機能」領域の研究者も加わり、私にとっては情報過多で消化不良気味だった。全体をよく理解できたと言えないけれども、ナノシステムの研究だけを見ても、極めて広い領域をカバーしている領域なのだということだけは、理解できた。

普段の学会であれば、足を踏み入れることの無いような領域の話を聞く機会というのは、そうそう有るものではなく、しかも無知を棚に上げた基本的な質問までさせてもらえたというのは貴重な体験だった。周りの研究者たちも積極的に質問をしており、研究員たちの戦術(?)ではないと思うが、結果としてアドバイザーの先生方の質問時間を奪ってしまったようであった。

自分の研究について報告するだけではなく、その面白さを様々なバックグランドを持つ研究者たちに理解してもらったり、逆に自分の知識の幅を広げるという意味で、(夜遅くまで続いた懇親会を含めて)領域会議は有意義であったと思う。次回を楽しみにしたい。

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