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第6回領域会議報告

9月12日(月)〜14日(水)つくば市の「オークラフロンティアホテルつくば」で領域会議を開催した。本会議には、長田研究総括、13名のアドバイザー、研究者全員40名、CREST曽根研究総括、古旗研究推進部長などJST関係者9名を含む合計63名が参加した。

今回は、長田研究総括のお考えで各研究者に対する質疑応答、アドバイス、討論などが十分行われるように配慮して進めた。その結果、口頭発表とポスター発表などを通じて十分な討議と情報交換ができた。

また、アドバイザー講演として、染谷隆夫教授(東京大学)に「フレキシブル大面積エレクトロニクス」と題して、また、渡辺順次教授(東京工業大学)に「そんなバナナのキラリティ」というユニークなテーマでご講演を賜った。両先生の飽くなき探究心と新技術確立への挑戦などがひしひしと伝わり大変感銘深いものであった。

さらに、領域会議の直後に(独)物質・材料研究機構(NIMS)の見学会を実施した。NIMSの特段のご配慮により、多くの重要な施設・機器などの案内をして頂き、参加者には大変有益であった。

(文責:技術参事佐々木隆)


第6回(合同)領域会議感想文

1.上野 貢生 Kosei Ueno 【北海道大学電子科学研究所】

9月12日〜14日つくばにおいて第6回領域会議が開催されました。前回の領域会議終了後、帰宅途中の中部空港で東日本大震災が発生したのを半年経った今でも鮮明に覚えています。改めて被災された方々にお見舞い申し上げます。前回の領域会議での領域アドバイザーや研究総括による講評において、長田研究総括が研究者の士気を上げるために、喝を込めた貴重な演説をされましたが、帰路途中に地震が発生するまで総括の演説を頭の中で反芻していました。そんなありがたいご指摘を頂いておきながら、正直、この半年間は自分が納得いくほどさきがけ研究に没頭できていない時がありました。そんな背景から、懇親会にて総括やアドバイザーから次の領域会議に期待している旨の御言葉を頂き、研究提案の実現を目指し、採択時のやる気が再び満ちてきたのは言うまでもありません。そういった意味でつくばでの領域会議は有意義でした。

領域が変われば、領域会議の雰囲気も異なりますし、メンバーが違うので当然立場も変わります。前の領域(今年の3月まで在籍していた)は、横山直樹研究総括のナノ製造技術の探索と展開という領域で2期生での参加でしたが、その2期生の中で一番若く、人生の先輩方(さきがけは同期)にご助言を頂きながら、若いがために勢いのある私を目にかけて下さいました。正直、自分が次男のせいか、周りが年配の方だとやりやすいところがありまして、今でも2期生の会や領域会議あるいは最終報告会等でさきがけ同窓生に会うのを楽しみにしています。一方、長田領域では3期生での参加です。3期生と言えば前の領域ではエリート軍団の集まりでしたが、それもプレッシャーなのですが、なんと長田領域では自分はかなり年配の部類に達していることがわかりました。逆に3年前の反対で、こちらががつがつせず、あの時同期の先生方が示していた余裕のある、包容力のある先輩研究者でいなければならないということになります。確かに役職は前の領域に在籍している時に毎年出世させて頂いたおかげで上の方ではありますが、果たして同期にそのようなオーラを示せているかどうかはわかりません。ただ、重要なのは、少し矛盾する感じではありますが、さきがけ研究においては、年齢なんて関係ないから、あの3年前の貪欲な勢いを忘れずに、研究活動を邁進していければと考えています。簡単に言うと自分はまだまだ若いと思っているのだと思います。

今回も領域会議は、会場、立地条件、気候、宿泊施設ともすべて良く、改めて領域関係者、とくに技術参事の佐々木さんや事務参事の大學さん、そして科学技術振興機構(JST)のみなさまに厚くお礼申し上げます。私は、JSTには足を向けて寝ることができないほど、大変感謝していますが、どの領域においても領域会議における段取りなどは会議を時々主催するこちらが勉強になるほど感心させられます。あと領域会議は何回か経験することができますが、この経験を忘れずに、そして3回目のさきがけはないとしたら、あと残り数に限りのある回数しか領域会議に参加できないので、一回一回を大切に噛みしめていきたいと思っています。

2.角南 寛 Hiroshi Sunami 【北海道大学大学院 先端生命科学研究院】

第6回領域会議はつくば駅前のオークラフロンティアホテルで開催されました。私はNIMS(つくば市千現地区)の研究設備を頻繁に利用させてもらっているので、私にとってつくば駅周辺は大変なじみ深い場所です。実験の疲れを癒してくれる、旨いラーメン屋さんやとんかつ屋さんも見つけました。

長田総括の穏やかでユーモア溢れる開会挨拶により、会議は明るく和やかな雰囲気でスタートしました。我々3期生は二回目の参加となり、すっかり固さがとれた感じでした。産休で休まれていた方のお顔も拝見できて嬉しかったです。今回は分野順に発表が行われ、それぞれの分野に詳しいアドバイザーが座長を担当されました。そして、前回以上に熱く活発な質疑応答がなされておりました。1期生の方は円熟味を帯びた質の高い発表を、2期生の方はデータ量に恵まれた発表を、3期生の方は重要なデータが出始めたところの発表をしておられました。

今回の会議で、私は自分の研究の面白さを何とか伝えきることができたと思います。ポスター発表と併せて多くの鋭いアドバイスをいただけたからです。分野は違っていても、鋭い感性を持った総括やアドバイザー、研究者の方からの斬新なアドバイスは本当にありがたいです。私は、未開の領域を開拓すべく新天地を求めて旅(研究)を始めたものの、次から次に現れる困難に直面し、これらをどう切り抜けるか日々頭を悩ませております。領域会議での分野を越えてこその斬新なアドバイスは、困難に打ち勝つ多くのヒントを私に与えてくれました。領域会議を一つのきっかけにして、何としても大きな研究を成し遂げたいと思います。

さきがけ研究者の発表と併せて、染谷隆夫先生と渡辺順次先生の講演も行われました。さまざまな分野の研究が共存する本領域を象徴するかのように、両先生の研究スタイルは対照的でした。しかし、ブレークスルーを起こす礎には共通のものを感じました。染谷先生と渡辺先生には、研究で何かを成すにはブレない着想をしっかり練り、それを徹底的に育て上げることが大切であると教えていただきました。

今回の会議では研究発表、ポスター発表、アドバイザー講演、懇親会にて大いに励まされ、困難に立ち向かう勇気を補給させていただいた気がします。最後に、領域会議の開催にあたって御尽力していただいたJSTの皆様、研究室見学に対応していただいたNIMSの皆様に御礼申し上げます。

3.松永 行子 Yukiko Matsunaga【東京大学 生産技術研究所】

第6回領域会議はつくばで行われました。私は筑波大学で博士号を取得したため、久しぶりのつくば訪問を楽しみにしていました。私が博士課程2年生までは、都心とつくばを結ぶ、「つくばエクスプレス(TX)」がまだ完成しておらず、東京とつくばの往来は高速バスを利用しておりました。TXの完成により、都心との距離がぐっと縮まり便利さを痛感しました。個人的には、都心の秋葉原から出発し、関東平野を見渡せる高架のレール上を爽快に走りながら、突如現れる「流山おおたかの森駅」周辺の森の景色が大好きです。

今回の領域会議は、本さきがけ領域が様々な分野の研究者から構成されているため、前回とは異なり、工夫を凝らした発表スタイルがとられました。まず、議論を深めるために、分野の近い研究者の発表をかため、その分野に比較的近い分野のアドバイザーの先生が座長をされました。発表時間8分、質疑応答時間8分と、質疑の時間が多く設けられました。また、発表スライドについては、「最終スライドに、困っていることを示すこと」が義務付けられ、長田総括の研究者に対する親身なお心遣いを感じました。電力制限の影響で実験ができない、装置購入を検討していたが、消費電力の少ないものに変更したい、など、地震、節電に関する内容が多くみられる中、ラボの運営、就職先を探している等、悩みは人それぞれでした。

個人的には、今回の発表スタイルは、質疑応答時間が長く設けられたおかげで、アドバイザーの先生方が、各研究者の発表内容についてコメント、アドバイスを下さり、単なる報告だけには終わることなくとても良いと思いました。技術的なアドバイスはもちろんのこと、寄り道せずに出口を決めて、具体的に研究計画を立てて進めたほうがよい、など学会発表では得られない、激励・方向性の指導があることも、さきがけならではの良さだと感じました。

最後になりましたが、長田研究総括、アドバイザーの諸先生方、会場運営にご尽力頂いた佐々木参事、各関係者の皆様方に心より御礼申し上げます。

4.堂野 主税 Chikara Dohno 【大阪大学 産業科学研究所】

我々第三期生にとっては二回目の領域会議となる第6回領域会議が、9月12日から三日間にわたりつくばで開催されました。前回会議では、研究の全体像を紹介し理解頂く側面がありましたが、今回は半年間の進展報告が主となるため、違った緊張感の中で会議に臨みました。また今回の発表では各々の困っていること、相談したいことを最後に加えるよう指示があったことと、発表時間の半分がディスカッションに割り当てられていたこともあり、多様な側面からアドバイスや厳しいコメントが飛び交っておりました。長田総括、アドバイザーの先生方から頂いたコメントの中でも「先の展望を常に明確に据えて、ぶれることなく研究を進めること」が特に記憶に残っています。「並の」の研究に終わらぬよう戒め、今後の研究に活かしていきたいと思います。

領域のタイトル「ナノシステムと機能創発」からも想像されるように、非常に幅広い分野の研究者が集まっているのが本領域の特徴であると思います。実際、議論についていけないような研究内容も多いのですが、ポスター発表や交流会のような場もありますので、忌憚なく意見を言い合うことができます。普段触れることのない異分野のハイレベルな研究者の方々と近い距離で話し合い、新しい刺激を得ることができるのが、本領域の素晴らしい点だと改めて感じました。また、そのような場で、いかに自身の研究目的や内容を伝えることが難しいか、その能力が私にまだまだ不足しているかを痛感させられました。研究報告会の後は、物質・材料研究機構の見学会が開催されたのですが、多岐にわたる最高レベルの施設・研究を紹介頂き、本当に充実した時間をすごすことが出来ました。

最後になりましたが、このような非常に有意義な機会をお与えくださった、長田総括、アドバイザーの先生方、JST事務局の皆さまに厚く御礼申し上げます。

5.生津 資大 Takahiro Namazu 【兵庫県立大学 大学院工学研究科】

私たち三期生にとりまして2回目となる第6回領域会議は、平成23年9月12日〜14日の間、つくばのオークラフロンティアホテルで開催されました。個人的に今回で2度目のつくばは以前と変わらず緑多き街であり、いくつもの研究機関が存在する“理系の街”という印象を今回も受けました。

さて、領域会議は、初日の午後から始まりました。前回は研究生が順番で座長を務めましたが、今回は長田先生のご発案で、関連のあるアドバイザーの先生方が座長をされました。発表後の質疑は座長の先生方のお考えが色濃く反映され、研究者にランダムに質問を命じる先生がいらっしゃれば、自らが率先して質問される先生もいらっしゃり、程よい緊張感がありました。その理由の一つは、「ナノシステムと機能創発」領域には高分子材料から金属、デバイス、システムと、“ナノ”をキーワードとした多くの研究分野をスペクトル広くカバーするという特徴があり、異分野の研究者の発表内容に“わからないこと”が多いことにあると思います。その“わからないこと”の程度が、“専門用語の意味がわからない”ということも多々あります。よって、不意に質問を求められたときのために一つ一つの発表をより真剣に聞く雰囲気に会場全体が変わったことが、程よい緊張感を生み出した要因と思います。私の発表では山下先生が座長をされ、会場から幾つか質問をいただいた後に、山下先生より研究の進め方に関するご指摘をいただきました。その時は正直なところ「痛いところを突かれた」と思いつつも、二日酔いで回転が鈍ってしまった頭を極力回転させて何とか返答したつもりでした。しかし、後々考え直してみますと、少々フォーカスのずれた回答をしてしまったと反省するとともに、私自身の今後の取り組みの方向性とさきがけが要求する成果のレベルを考え直すよいチャンスをいただいたと感謝しております。また、前々から楽しみにしておりましたアドバイザーの染谷先生と渡辺先生による基調講演は、大変勉強になりました。“技術”への挑戦と“物理現象”への探求心の強さに圧倒され、自らの研究生活を振り返る大変よい機会をいただきました。

今回の領域会議でも、周りの研究者から多くの刺激を得ました。会議中に受けた研究に関する刺激は当然ですが、それ以外でも、皆、とてつもなく明るく元気であり、これこそが良い仕事を進めるのに最も大切なことではないかと考える次第です。このように、厳しくも、温かく明るい合宿的な雰囲気が「ナノシステムと機能創発」領域会議にあるのは、総括の長田先生をはじめ、アドバイザーの先生方、運営されているJSTの方々のお人柄とご尽力によるものと感じ、この場をお借りして御礼申し上げます。次回領域会議で皆様と再会できることを楽しみにしております。ありがとうございました。

6.古海 誓一 Seiichi Furumi 【物質・材料研究機構】

第6回領域会議は平成23年9月12日から14日に「オークラフロンティアホテルつくば」で開催され、第3期生の私にとって2回目の領域会議でした。前回の領域会議からちょうど半年の月日が経っており、領域の先生方から研究の進捗状況が問われると思っていました。自分なりにプレゼンテーションの内容を熟慮し、緊張しながら参加させて頂きました。

今回の領域会議では、研究総括の長田先生のご意向で、研究者のテーマ別にセッションをアレンジして下さいました。本さきがけ領域はデバイス、化学、材料、バイオと研究分野が多岐にわたっていることが特徴とも言えますが、今回はセッションごとに発表を集中して聴講することができました。さきがけ研究者の発表では、内容を全てフォローすることは難しかったですが、先生方のコメント、アドバイスは我に返って、自分のことのように聞いていました。さらに、特別講演では、第一線でご活躍されている領域アドバイザーの染谷先生、渡辺先生のご講演を拝聴することができました。ご研究は言うまでもなく圧巻の内容で、感銘を受けました。しかも、プレゼンテーションのまとめ方も大変に分かり易く、私にとって今でも脳裏に焼き付いている程、印象的でした。

領域会議を終了する際、長田先生、領域アドバイザーの先生方からさきがけ研究者に激励の言葉を頂きました。一般的に学位取得後、周囲から一人前の研究者と見なされ、叱咤激励を受けることはほとんどありません。しかしながら、この「ナノシステムと機能創発」領域では師弟関係のような間柄でなくとも、先生方がさきがけ研究者に親身になってアドバイスをして下さるので、とても新鮮な気持ちになりました。

自分自身、さきがけ研究の目標を達成するには数々の難関が立ちはだかっていますが、試行錯誤を重ねながら目標に向かって一生懸命、努力しようと決意を新たにしたところです。最後に、領域会議を運営して下さった長田先生をはじめ佐々木様、大學様、飯塚様、JST関係者の皆様方のご尽力に心より感謝し、御礼申し上げます。

7.山田 智明 Tomoaki Yamada【名古屋大学 大学院工学研究科】

9月12日から3日間、つくば市で行われた第6回領域会議に出席しました。前回同様に分野を超えた活発な議論が繰り広げられ、大変大きな刺激を受けました。

私は3期生で今回が2回目の参加でした。前回は研究計画の発表であったため進捗報告は今回が初めてでしたが、多くを話したいという気持ちから、やや散漫な内容になってしまいました。幅広い分野にまたがる研究者やアドバイザーの先生方に、限られた時間で研究の具体的な進捗状況を的確に説明し、その面白さや立ちはだかる困難、その先のビジョンを伝える事の難しさと自身の未熟さを、前回以上に痛感しました。

また、渡辺順次先生のアドバイザー講演の後で、長田総括が「役者が違うね」とおっしゃられた事が強く印象に残っています。新たな研究分野を開拓する上で発想力や推察力がいかに重要であるか、それは研究者から発せられる言葉ににじみ出てくるものだと改めて気付かされました。

会議後の夕食や懇親会では、研究内容はもちろんの事、研究環境や学務、生活など様々な事を皆様と話すことができました。研究者として自分はどう生きるのか、さきがけの領域会議はそれをも考えるチャンスを与えてくださるように思います。

今回の領域会議を終えて、ますます研究への意欲が湧いてきました。会議で受けた刺激を糧にして、夢のある研究展開を目指したいと思います。最後に、長田総括を始め、ご指導を頂いたアドバイザーの先生方、サポートをして頂いた領域事務所の方々、物質・材料研究機構の見学を企画して下さった皆様に深く御礼申し上げます。

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