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第3回領域会議報告

第3回領域会議が平成22年3月1日と2日に開催されました。場所は、アドバイザー山下先生のご紹介により企業の保養所(パナソニックリゾート大阪)を使わせて頂きました。会議室・宿泊室などもきれいで広く設備も整っていたお陰で、会議は大変スムーズに進みました。

この領域会議には、さきがけ研究者1期生8名と2期生14名、長田研究総括、13名のアドバイザー(当領域12名と他領域1名)、および、臼井主幹と他領域の方を含むJST関係者7名が参加しました。(本年3月から新たに3名のアドバイザーが就任されたので当領域アドバイザーは合計15名です)

今年度採択された2期生の発表が今回の会議の中心内容であり、さきがけ研究の内容とアイデアを初日に発表して頂きました。皆さん緊張していましたが、研究総括とアドバイザーの先生方から厳しくもあたたかいご質問と素晴らしいアドバイスを頂き、多くの示唆を得たようです。

その後、夕食と研究交流会を通じて、研究総括やアドバイザー諸先生、さらに研究者同士が知り合いになり親密な討論ができました。

2日目は、アドバイザー山下一郎先生(奈良先端大学院大学 客員教授)に特別講演として「ウエットナノテクノロジーの薦め」と題するご講演を賜りました。ご講演では、研究者が地球規模の広い視点から自らの研究を的確に捉え、その意義と可能性・方向性を良く考える必要があることが強調されました。さらに、先生が進めてこられた素晴らしいご研究の紹介をして頂き、参加者は多くの示唆を得ました。

その後、1期生に発表して頂きました。短時間にもかかわらず研究の進展が明確に判る優れた発表でした。また、研究者全員のポスター発表も行いました。今回は特に制限なく自由に討議して頂く方式で実施しました。ポスター前での討論も通じて、より深い研究交流ができたようです。

以下に、2期生の方々の感想文がありますので是非お読み下さい。

なお、次回の領域会議は「構造制御と機能」領域(岡本佳男研究総括)との合同会議として、平成22年9月8日(水)〜10日(金)札幌で開催する予定です。

(文責:技術参事 佐々木隆)


第3回領域会議感想文

1.一木 正聡 Masaaki Ichiki

この度、さきがけ研究に採択されてから初めての領域会議に参加致しました。領域総括の長田先生、佐々木技術参事、大學事務参事、飯塚様、はじめ領域アドバイザ、や同期生の皆様とは既に説明会などを通じて顔合わせは済んでおりましたが、長丁場の会議で顔を合わせるのは初めての機会でした。

感想を一言でまとめると「皆様との交流は楽しいひと時でした」という所感です。まずは、ヒアリング時の厳しさとは打って変わって、親身で温かみのある総括やアドバイザの先生方の種々の御助言やコメントには、感心することしきりでした。また、最近はすっかり「先生」的な生活に染まっていて、水平な人間関係の構築を少しおろそかにしていたので、久しぶりに同じような(でも多くは私より年下の)同期生の方々と忌憚のない話に時間があっという間に過ぎ去ったことを感じました。

科学技術研究に従事できていることを私自身は喜びとしているのですが、参加されていた同期生並びに一期生の皆様ともその気持ちは共有できたように思いました。これもうれしかったことです。

まだ、さきがけ半年生の自分にはその良さは十分には分かっていないかと思いますが、普段の研究生活では得ることが難しい人間関係の中で、種々の交流を持てた事は貴重な機会でした。また、ナノシステム領域は研究の幅が非常に広いので、実は内容までは十分に理解できない研究をされている方も多いのが現状ですが、皆さん熱意をもってきちんと研究に取り組まれている姿を拝見することで自分の身も引き締まり、新たな活力を得ることができたように思います。

領域会議の開催にあたっては前日から会場入りして、設営のご準備に当たられました関係各位のご尽力がありましたことを伺っております。お忙しい中、参加して頂きました領域総括、アドバイザの先生とともに開催のサポートを担当された関係各位へも改めて感謝申し上げます。

2.木村 建次郎 Kenjiro Kimura

今回、さきがけ領域会議に初めて参加した。アドバイザーの先生から数多くの質問をいただくと同時に、1期生、2期生と数多くの議論を交わすことができた。私は、電子工学出身なので、生物や材料の知識は豊富ではないが、各分野の専門家の方々が、夜遅くまで非常に丁寧に研究の意義について語ってくれた。心より感謝している。

これまで、私はナノシステムとは「Large Scale Integration: LSI」回路のことを指すと、当然のように思っていた。今回の会議の参加後には、私の中でナノシステムの概念が変化し始めた。LSI回路網と人間の脳の情報処理が、ある種の類似性を有しているように思えるようになった。これまで、個々の原子や分子の可視化を行ってきたが、「並列ドミノ倒し」のように個々の分子が、弱い結合と強い結合を巧みに利用しつつ、個体としての機能を発現する様子を捉えることに夢を抱くようになった。さきがけの課題とさらにその奥にある大きな目的に向かい、今後も先輩方の意見を取り入れつつ最短距離を進みたい。

3.白幡 直人 Naoto Shirahata

我々二期生にとっては初めての第三回領域会議が、大阪府吹田市にあるパナソニックリゾート大阪にて開催されました。結婚式場を彷彿させる佇まいにくわえ、シンプルで洗練された内装、会議室、大浴場、清潔で広い寝室と、大変恵まれた環境のなかで落ち着いて会議に臨むことができました。

長田研究総括による挨拶で会議が始まり、一日目は二期生の研究発表に終始しました。研究発表のスライド作成上の注意点に関しては、事前に技術参事である佐々木様より複数回にわたりメールでお知らせ頂いていたのですが、分野を異にする諸先生方や研究者へ、自分の研究構想を決められた時間内で的確に話し、研究の独創性について理解を深めてもらうことは容易ではなく、最初の講演者である一木研究者のスライドが始まると、食い入るように注視してしまいました。同じような心配ごとを抱えていた研究者も居たようで、「どのようなスライドにすべきか難しい」といった声も周辺でちらほら聞かれました。一木研究者の発表が終わると自分を含め周囲の緊張感も徐々にほぐれ、良い意味で落ち着きがでてきたことを肌で感じ、各研究者の研究課題の斬新性について理解しようと集中できはじめたことを覚えています。世界の第一線で活躍されているアドバイザーの先生方には研究分野の違いはあまり問題にならないのかな?と思わせるような鋭いコメントが飛び交い、驚きの連続でしたが、その答は、二日目の特別講演で明らかになったように思えます。グローバルな視点で研究構想を設計し、現状問題点の認識から解決への糸口をフローで描き、確固たる独自性と学問領域の横断の吟味、効果的な共同研究を通じて目的を達成するためには、研究課題着想に至る根源を深く多角的に見つめる力が求められるのだと気付かされました。夕食・懇親会では研究者間、アドバイザーの方々の本音や知らない面を垣間見ることができ非常に有意義な時間を過ごすことができました。一期生の発表に続いて行われたポスター発表は、口頭発表時には聞けないことまでオフレコで質問できる貴重かつ効果的な場であったように思います。

最後になりましたが、長田総括を含め繁忙期にも関わらず、ご参加頂いたアドバイザーの先生方には厚く御礼を申し上げます。佐々木様、大學様を始め領域事務所の方々にも深く感謝申し上げます。“サイエンスの高み”を目指すべく、さらなる研究活動へ邁進したいと思える領域会議でした。

4.田中 秀明 Hideaki Tanaka

3月1日〜2日の2日間、2期生の私たちにとっては初めての領域会議が、領域アドバイザー・山下一郎先生の思い出の地でもある大阪府吹田市のパナソニックリゾート大阪で開催されました。大阪在住の私にとっては、毎日通勤で使う大阪モノレールの宇野辺駅で途中下車するという、あまり出張気分にはなれない場所での開催でしたが、さすがに会場に到着すると一気に緊張感が高まりました。

今回の領域会議の主な目的は2期生の研究紹介で、1日目は全ての会議時間を使って2期生の口頭発表が行われました。本研究領域は、材料、機械、生物など様々な分野の人が集う領域で、分野がある程度限定された学会などでは聞くことのできない話が盛りだくさんで貴重な体験ではありましたが、そのぶん話について行くのが大変でもありました。長田総括のお話にもあった様に、自分の専門分野外の人達にもその研究の背景や目的、優れた点や困難な点などを分かりやすくシンプルに伝える能力を身につける必要性を強く感じました。自身の発表では、アドバイザーの先生方からの鋭いご指摘やアドバイスをたくさん頂き、次の領域会議までに克服すべき宿題がたくさん見つかりました。

夕食後の研究交流会は、あっという間に時が過ぎ、かなり寝不足の状態で2日目の会議に参加することとなりましたが、多くの方々と研究に対する姿勢や考え方など多くのことを議論できたことで良い刺激を受けることができ、自身のモチベーションが高まりました。今年の9月に開催予定の「構造機能と制御」領域との合同領域会議では、良い成果が報告できる様に頑張っていきたいと思います。また、北海道での開催ということなので、少しは観光気分も味わえたら良いなと思っております。

5.内藤 昌信 Masanobu Naito

「さきがけ領域会議」、現役や終了されたさきがけ研究者の先生方から、幾度となく耳にしたキーワードである。それを飾る枕詞は必ずと言っていいほど、「地獄の・・」や「恐怖の・・」などなど、おどろおどろしいものばかりでした。そんな先入観を抱きながら、はじめての領域会議に臨ませていただきました。

率直な感想として、私にとってこの「さきがけ領域会議」はいい意味で大いに私の先入観を裏切ってくれるものでした。研究概要についての口頭発表では、核心を付く貴重なご意見をいただき、それを今後の研究展開にどのように反映させていくか、ご指摘の問題点を突破する革新的なアイデアはあるのか、会議から数日たった今でも常に頭をよぎり、葛藤しながら研究をしています。言い換えれば、このように自分の研究に真摯に向き合う時間をいただけたことが、さきがけ研究の醍醐味なのだろうと実感しております。その中で、夕食をご一緒させていただいたアドバイザーの先生から、たいへんわくわくする共同研究をご提案いただき、一筋の光明を得たようで非常に心強く感じました。また、会議や交流会を通して長田先生やアドバイザーの先生方から他の研究者に向けられたコメントも、分野やテーマは違えどもいずれも示唆に富むものばかりであり、これからの研究活動の大いなる糧となりました。

本さきがけ領域では、日頃から昵懇にさせていただいている研究者が何人もいらっしゃいます。そんな旧知の友や先輩が、従来までの研究内容と全く異なるチャレンジングなテーマに果敢に挑まれている姿を拝見し、改めて身が引き締まる思いがいたしました。また、交流会やポスター発表を通じて新しい研究者仲間とも打ち解けることができ、まさに「実り多い」「充実した」領域会議となりました。

末筆になりましたが、本会を運営するにあたりましてご尽力いただきました関係者各位に深く御礼申し上げます。

6.平野 愛弓 Ayumi Hirano-Iwata

第3回領域会議が3月1−2日にかけて大阪で行われ、1期生、2期生の皆さんと初めてお会いする機会を得ました。皆さん新しい視点に立った研究を展開されている方ばかりで、こんなアプローチもあるのかと非常に刺激的な会議でした。また、思いのほか、プロセスの側に立った研究発表が多く、バイオ応用のために加工を行うという逆の立場の研究を採択いただけた幸運に改めて感謝しました。

今回の領域会議では2期生の研究プロポーザルがメインのテーマであり、非常な緊張感の下で発表に臨みましたが、アドバイザーの先生方からのコメントは長期的視点に立脚した、鋭いながらも温かみにあふれたものであり、今後の研究の展開に向けて身の引き締まる思いがしました。また、さきがけ研究者の方々からは、現場の研究者ならではの情報を得ることができ、研究戦略の様々な可能性について気付かされ、大変有益でした。2日目の山下先生の特別講演では、卓越した研究内容はもちろんのこと、研究に入る前の段階の問題意識の高さと鋭さに非常に感銘を受け、普段の自分の姿を省みてはっとさせられました。

さきがけ研究は始まったばかりですが、独自の視点をもったさきがけ研究者の皆さんや、様々な分野のアドバイザーの先生方との交流を通じて、今までの自分の研究世界から一歩踏み出した研究分野を開拓していきたいと強く感じました。

7.山西 陽子 Yoko Yamanishi

さきがけ研究が採択されてから半年経過した3月に大阪パナソニックリゾートにて第3回領域会議が開催され、初めて参加いたしました。まず領域会議参加前に当日の会議資料フォルダーが郵送され、発表資料だけでなくアドバイザの先生方や1期生や2期生の顔写真と研究分野の資料がついていて、初めて参加する上で大変参考になりました。1期生の先輩の方々には初めてお会いする人が多く、また1・2期生のお互いの研究発表を聞くのもこれが初めてであったため、事前に各自のバックグラウンドを知っておくのは様々な分野が集まっている本領域にとって、とても重要なことであると同時に、領域会議の開催にむけての事務参事の方々をはじめとするスタッフの方々のご尽力を大変ありがたく感じました。

初日は2期生の発表が行われ、領域総括の長田先生をはじめアドバイザの先生方が貴重なアドバイスの数々をしてくださり、今後の方針に大変重要な知見を得ました。1期生や同期生の方々の発表は幅広い分野の最先端ナノシステムの研究に亘り、これまで工学分野で研究をしてきた者にとって、最先端のボトムアップの考え方はとても新鮮であり普段ではめったに聞けない発表の数々を拝聴し、大変刺激を受けました。また、ポスターセッションなどを通して、同じさきがけ研究を行っている同期生や1期生の方々とのディスカッションを行うことができたことは、私の今後の研究方針に大きな影響を与えるとても貴重な時間でした。領域会議に参加された皆様の研究に対する姿勢や取り組み方についても学ぶことが多く、スケールの大きな目標に向かって果敢にそして着実に研究を推進していく様子など目標にしたい点が多く大変勉強になりました。また海外に研究拠点を置く研究者もはるばる日本へ帰国し領域会議に参加していることを知り、このようなすばらしい機会を設けてくださったJSTの方々には大変感謝申し上げます。

8.和田 章 Akira Wada

私にとって初めての「さきがけ領域会議」は、長田先生、アドバイザーの諸先生方、さきがけ一期生・同期の研究者の方々とお会いし、どのような研究発表と討論が繰り広げられるのか、とても楽しみにしておりました。当然、不安がなかったわけではありませんが、それ以上に、これまでの研究に対する自身の固定観念を一旦解体し、新たな研究理念・取り組み姿勢を再構築する「科学者としての再誕」が必要であると感じていたからだと思います。

様々な分野からご参加頂いている先生方の厳しいご助言・エンカレッジのお言葉は、誠に身にしみる思いであり、「最後の学び舎」といわれる所以を垣間見た気が致しました。そして、これから苦楽を分かち合うことになる「さきがけ研究者」の方々の存在は、誠に心強く、お互いの研究の個性と長所を飛躍的に成長させられることを十分に期待させるものであり、一人で心躍ったことを今でも記憶しております。

今回のさきがけ研究期間では、研究成果を無難に纏めあげることに奔走するのではなく、世界で唯一の研究領域を開拓するのだという強い意識を持ち、自身の殻に閉じこもらず、挑戦的な研究活動を展開していきたいと思っております。そして、時に変化を恐れず、研究計画を客観的かつ大胆に修正する勇気をもって取り組んでいくことができれば、その過程の先に見える出口にこそ、真の研究成果と研究者としての自立と成長があるのではとないかと感じさせて頂きました。当然、我々若手研究者が、その光の射す方へ歩むことができるのも、長田先生をはじめとするアドバイザーの諸先生方の親身なご指導があってこそと強く感じる今日この頃であります。

最後に、今回のさきがけ領域会議の開催にあたり、設営等の準備にご尽力頂きました佐々木技術参事、大學事務参事、各関係者の皆様に対し、改めて厚く御礼を申し上げます。

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