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「第1回領域会議」(平成21年2月)について

本研究領域の第1回領域会議が2009年2月24日と25日の2日間、静岡県熱海市内のホテル(アストン熱海)で開催されました。この会議には、さきがけ研究者(1期生)10名全員の他に、長田義仁研究総括と11名のアドバイザー諸先生、さらにJST関係者5名が参加しました。

会場のホテルは熱海駅から車で20分ほどの山の中にあり、周りには何もない静かな環境で研究発表と討論をじっくり行うことができました。あいにく2日とも霧が立ち込めていたため、海も見えず景色を楽しむことはできませんでしたが、早咲きの「熱海桜」が満開に近く、往復のバスの窓から短時間でしたが桜見物ができました。

領域会議では最初に長田研究総括がご挨拶され、その後、アドバイザーと研究者の方々の自己紹介が行われました。研究者10名の発表は24日と25日に分けて行われましたが、研究者の皆さんはかなり緊張していたようです。研究総括とアドバイザーの先生方からは厳しいながらもあたたかいご質問とアドバイスを頂くことができ、全体として実りある討論が行われ、研究者は多くの示唆を得たようです。

アドバイザーの中西八郎先生(東北大学・多元研)には、特別講演として「有機ナノ結晶の科学・技術」と題するご講演を頂きました。有機ナノ結晶に関する先生の数多くのご業績が示され、また、基礎から応用に至る研究の進め方について貴重なお考えも述べられ、参加者には大変有意義で学ぶことが沢山ありました。

また、JST研究推進部の上田充主任調査員から、「さきがけ研究成果としての特許の取り扱いについて」という題で特許出願の意義と重要性、及び、出願に関する具体的な説明が行われました。

そして、夕食とその後の研究交流会などを通じて、さきがけ研究者は研究総括やアドバイザー諸先生と密接な討論ができました。今回は時間がタイトだったため必ずしも十分ではなかったようですが、さきがけの特徴とも言うべき重要な要素ですので、今後の領域会議ではこのような交流の機会を増大することが必要でしょう。

今回の領域会議に関する長田研究総括のメッセージと、さきがけ研究者5名の感想文を是非ご覧下さい。(残りの研究者5名の方には、第2回領域会議で感想文を書いて頂く予定です)また、写真でも会議の様子を見て頂くことができます。

なお、次回(第2回の領域会議)は10月1日と2日に開催します。

(文責:技術参事 佐々木隆)


長田研究総括からのメッセージ

何よりもまず、アドバイザーの先生方にお礼を申し上げたいと思います。アドバイザー12名のうちご都合がつかなかったお1人を除き、11名もの方に参加して頂きました。アドバイザー諸先生の高い熱意を感じざるを得ません。

1人1人のさきがけ研究者の発表をとても熱心に聞いて頂き、中には厳しい指摘もありましたが心優しく示唆に富む多くのアドバイスをして頂きました。全ての質問・アドバイス・討論は、若い研究者にとって大きな刺激となり今後の研究発展に有益なものになったものと確信しています。

今後も厳しくしかし温かい眼でさきがけ研究者を見て頂き、引き続きご協力をお願いしたいと思っております。

次に、10名の研究者は全員判り易く立派な発表をしてくれました。今回は、自己紹介を兼ねてお互いの研究内容を知り合い、今後議論できる素地を作ることを目指しましたが、この目的は十分達成されたと思っています。

その折にも申しましたが、さきがけ研究では自分のオリジナルなアイデアに基づいて創造的な研究を進めて欲しいと思いますので、「1人称」で発表し、自分の考えを明確に伝える姿勢をとって頂きたいと思っております。

今後、研究に関しては遠慮なく私やアドバイザーそして技術参事に質問し、相談して欲しいと思います。また、技術参事・事務参事は円滑な研究推進を実現するために丁寧に対応してくれますので、何かあったら是非ご相談ください。

なお、「第2回領域会議」を10月初めに予定しています。研究者・アドバイザーができるだけ密接に討論し合い、より多くの実りある成果が得られる会議になるように努めて行きたいと思っております。


第1回さきがけ領域会議 感想文

1.岩堀健治 Kenji Iwahori

2月24、25日に第1回さきがけ研究領域会議が静岡県熱海市で開催されました。これは9月に東京で行われたさきがけ研究説明会以来、総括の長田先生、アドバイザーの先生及び研究者の方々全員が集まる初めての機会でした。さきがけ研究の特徴であるこの領域会議は、様々な研究者からたくさんの刺激を受ける事ができる場であると聞いておりましたので、とても楽しみにしておりました。その反面、面接の際に厳しい意見をいただいたアドバイザーの先生方を目の前にしての研究発表もありましたので実は内心、戦々恐々としており、前日まであまり眠れませんでした。

実際に会議に参加すると、様々な分野の先生やさきがけ研究者の方にいろいろな角度から私の研究を見ていただく事でたくさんの御意見をいただき、今まで自分では全く気づかなかった多くの点に気づかされました。また、他のさきがけ研究者の知恵の詰まった研究内容を聞かせていただき、正直にすごい!と多くの感銘と刺激を受けました。さらに驚いたのは、総括の長田先生やアドバイザーの先生には、今回も面接時同様鋭い御指摘をたくさんいただきましたが、若手研究者をいじめる?というよりもどの先生も同じ1人の研究者、つまり我々の先輩研究者として意見を発言されていた事で、実は我々若手研究者を応援してくれているのだという事がとても実感できました。

1泊2日の短い間でしたが、同じご飯を食べ、夜遅くまでディスカッションをして同じさきがけ研究者はもちろん、先生方ともすぐにうち解けられ、第1回目にして早くも皆の連帯感が強まった気がします。特に同室となった人とは寝る間も惜しんで話が進み、これからさらにおもしろい研究に発展する予感がしております。第2回の領域会議を目指してさらに頑張りたいと思います。

2.角五 彰 Akira Kakugo

先月第1回目の領域会議がありました。会場は熱海。温泉で有名なリゾート地への出張へは周囲から多少疑いの眼差しが。集合場所である熱海駅に到着するとアドバイザーの先生と数名の同期生がすでに到着していた。第1回目ということで私も含め10名の同期生は緊張気味である。そこからは急勾配の曲がりくねる道を30分ほど揺られると会場に到着した。周囲には遮るものもなく晴れていれば絶景を楽しめるのだろう。ただ今日は霧の中見晴らしはない。そもそも景色を楽しむ精神的なゆとりもあまりない。

研究者、アドバイザーの先生も着席し、総括からの挨拶で会議が始まった。「領域会議にはデーターを見せに来るのではなく、ここに来て次の糧(次の1手)を得よ」、という趣旨のお言葉を頂いた。成果を求められるのが当然と思っている研究者には感動的な言葉である。さらに、「さきがけは広い道(ステージ)へ出るためのきっかにしてほしい」とも付け加えられた。エンカレッジされる言葉である。続いてアドバイザーの先生からもお言葉を頂いた。どのお言葉もまた同様にエンカレッジされる有難いものであった。「下手な成果はだすな。」「ドーンと大きな成果を出せ。」その分野で成功した人の重みを感じさせる。

続いて研究者の発表があった。面接時に使用したパワーポイントを少々修正し研究の意義と今後3年間の計画を喋った。厳しい様々な質問を頂いた。学会でも受けたことのない質疑と応答が続いた。学会活動、ましてや研究室にいるとどうしても価値観が偏ってしまう。価値観の異なる方々からこれだけの批評を頂けることは非常にありがたい。自分の研究を改めて客観視できるさきがけの良さを感じた。

初日は5名の研究者が発表を終えた。我々初日組は次の日に発表を控えた残り5名の同期生に後ろめたさを感じながらも深夜まで懇親会を楽しんだ。2日目の発表も終わり、締めのお言葉を頂き、改めて研究に精励することを心に誓う。非常に得るものの大きい会議であった。少々心配なのは次回からは言語が英語にかわる点である。

3.田川 美穂 Miho Tagawa

第1回領域会議は非常に有意義な会議であった。会議中は勿論、会議後も活発な議論が展開され、共同研究の話も幾つか持ち上がった。私にとっての1番の収穫は、様々な分野のアドバイアーの先生やさきがけ研究者からアドバイスを頂き、自分の研究を多方面から客観的に見直すことができたことにある。自分の研究を更に発展させて行くにはどうしたら良いか、そもそも何のために研究するのか、原点に返って考え直すという、日々の忙しい研究生活の中で忘れがちなことを考える良い機会となった。

特に長田総括の2つのお言葉が忘れられない。1つは領域会議終了のご挨拶。「こじんまり纏まる成果を沢山出すのではなく、3年ないし5年で論文1本でもいいから大きい課題に挑戦しなさい。研究計画書は気にしなくていい。研究の方向性が大きく変わってしまったとしても、そこで大きな成果を上げれば問題ない。」という趣旨のご挨拶であった。論文の数を稼ぐためではなく、ナノサイエンスに変革をもたらすような研究をするための「さきがけ」であって、我々にはその責務があるのだと強く意識させられた。2つ目は、懇親会の席で個人的に頂いたお言葉。DNAセルフアセンブリの分野ではアメリカが圧倒的な強さを誇ると感じている私に対し、「ある研究者が作った分野の中で研究しているからそう感じるだけだ。自分でフィールドを切り開けばいい。そうすればアメリカの大きな研究グループに蓄積やマンパワーで負けているなんて関係ないはずだ。」というお言葉を下さった。目から鱗だった。次の領域会議までには、自分で分野を切り開く足掛かりを掴みたい。

4.藪 浩 Hiroshi Yabu

初めての領域会議ということで、かなり緊張して臨みました。研究者の方々はバイオからマイクロマシンまで、幅広い研究分野で、様々な研究環境の方が集まっておられ、それぞれの分野のアイデア、問題意識を率直に聞けるまたとない良い機会でした。また、世代も30代前後の若手が集まっており、気軽に多様な分野の方と交流できるのはさきがけの良さであると感じました。ただ、やはりお互いの研究を理解するには、もうしばらく時間と勉強が必要とも感じました。

自分自身の発表では、長田先生はじめ、アドバイザーの先生方からの厳しいながらも「エンカレッジする」お言葉の数々に、励まされました。通常の学会発表では、研究の具体的な内容についてのディスカッションが主で、研究のアイデアに対する議論はあまりありませんでしたので、非常に新鮮に感じました。また、別の研究者の方が発表された際に生田先生がおっしゃった「好きなように暴れればよい」という発言には、正直感動しました。第2回目はより具体的な内容に踏み込んだ話となると思いますので、心して臨みたいと思います。

5.山越 葉子 Yoko Yamakoshi

河津桜も咲こうという2月末、熱海の温泉宿におけるさきがけ「ナノシステムと機能創発」の第1回領域会議に参加する機会を頂きました。研究者10名は当然の事ながら、それを上回る人数の総括およびアドバイザー先生のご参加のもと、実に内容の濃いディスカッションをして頂いたところです。

特に通常でしたらお時間を取って頂く事も不可能なご多忙な先生方が集まってくださり、実に親身に相談に乗ってくださったのは、私にとってみれば驚きとともに、実に贅沢(?)な雰囲気を感じました。その場での質疑応答において、具体的なディスカッションをくださった上、さきがけのプロジェクトとは直接関係ない質問に対しても、ご丁寧にご回答頂いたり、また、私がプロジェクト進行において具体的に困っている事に関して、会議後にも色々相談に乗って頂き、共同研究をしてくださる先生をご紹介くださったり、本当に、まるで実の子供に対する様にきめ細やかな面倒を見て頂いております。これも、個々の先生方のご厚意に加え、領域総括の先生のご方針、また、事務局のサポートに寄るものと思い、また、このような機会を与えられて、本当に幸運だったと身にしみております。

このようなチャンスを与えられたからには、自分なりに面白い成果を出さなくてはと、焦りも感じますが、それとともに、先生方、或いは他の研究者の方と身近に接する機会を持つ事で、研究に対する考え方、姿勢等を勉強する事も大きな目標となりつつあります。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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