低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2022-PP-03

ゼロカーボン電源システムの安定化と技術・経済性評価(Vol.4)
―2050 年ゼロカーボン電源に求められる蓄電システムの構成の検討―

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概要

 2050 年のゼロカーボン電源システムの検討には、変動性再生可能電源と蓄エネルギーシステムの構成や動作を最適化するプログラムが必要である。今回、LCS の多地域電源構成モデルを年間8,760 時間の電力需要に対応させるように変更することで、変動性再生可能電源出力の時間変動、気象条件による変動、季節に依存する変動と、その対応としての電力供給の安定化に必要な蓄エネルギーシステムの構成を定量的に評価できるようになった。

鉛蓄電池および Li イオン電池、揚水および新揚水発電、電解水素と水素タービンを組み合わせた水素蓄エネシステムを例に、電力単価が最小になる最適化を行ったところ、太陽光と洋上を含む風力発電のポテンシャルを活用すれば、電力需要 1,000 ~ 3,500 TWh の電力需要に対し大幅なコストアップなしに対応可能との結果を得た。蓄電システムとしては、放電時間が短く入替回数の多い日々の電力融通システムとしての蓄電池システムと、放電時間が長く入替回数の少ない季節間の電力融通システムとしての水素蓄エネシステムの両者が必要で、それぞれの技術の特長を活かし、これらを組み合わせたシステム構成が有効であることが分かった。再生可能エネルギーの主力電力化に向けて、トータルシステムとして効率よく安定な電力供給を確保するためにも、各システムの規模や仕様を含む総合的な蓄電システムの具体的な全体戦略を、定量的な評価を通して早急に提案する必要がある。

提案書全文

参考資料(計算プログラムと説明資料)

  • 政策提案書記載の多地域電源構成モデル計算のために必要なデータ、プログラムおよびその概要説明を提供しています。政策提案書に示された計算結果、図表はこれらのデータとプログラムから生成される実行ファイルによる計算結果から導くことができます。
  • 以下から、実行に必要なモデルの概要と使い方、モデルデータと実行ファイル生成のプログラムをダウンロードできます。本モデルの実行には、数理計算ソフトウエアGAMS本体、GAMS LPソルバーおよびMicrosoft EXCELが必要です(GAMS 36.2.0ライセンス版、LPソルバーexpress、およびEXCEL 2019 MSO 64ビットで動作確認済み)。
  1. 多地域電源構成モデル2023について.pdf モデルの概要と使い方を説明しています。
  2. 基本モデル.zip 以下の3つのエクセルファイルを含んでいます
    ①Data_Index.xlsx モデルとデータ
    ②Result.xlsx 計算結果解析集計用ファイル
    ③Multi-Region_Power_Supply_Confuguration_Model_2023_01.xlsm GAMS実行ファイルをData_Index.xlsx から生成します。また、scenario設定をResult.xlsxに反映させます。
  3. GUSSモデル.zip 連続計算が早くなるセットです。構成は同様です。
    ①Data_Index.xlsx
    ②Result.xlsx
    ③Multi-Region_Power_Supply_Confuguration_Model_2023_03.xlsm

(1)〜(3)のプログラムファイル
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クリエイティブ・コモンズ・ライセンス

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〇引用する際の出典には以下の情報を記載して下さい。
(1) 著者(本項は「国立研究開発法人科学技術振興機構」)
(2) 使用するファイル名
(3) 本ページのURL(https://www.jst.go.jp/lcs/proposals/fy2022-pp-03.html)と、アクセス日

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