低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2021-PP-03

国土の有効利用を考慮した太陽光発電のポテンシャルと分布

  • SDGs7
  • SDGs9
  • SDGs13

概要

 2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入を加速すべきである。太陽光発電は将来の主力電源の一つと考えられる一方で、平坦地の少ない日本の国土で、今後開発できるポテンシャルは低いとみなされている。本提案書では、太陽光発電施設の設置場所と設置方法を検討し、2050年のポテンシャルを計算した。

 計算上の仮定として、農地のうち畑の40%で営農型太陽光発電を行うこととし、荒廃農地は太陽光発電用地とした。住宅をはじめとする建造物の屋根を全て発電に利用することとし、現在、増加している空き家は処分して、空き家整備地には野立ての太陽光発電施設を設置することとした。以上を2050年の太陽光発電設備と考え、そのポテンシャルを計算したところ、2050年の設備容量は700GW、年間発電量は1,040TWh/年となった。この年間発電量は現在の年間電力需給量に匹敵し、太陽光発電が将来の主要な電源になることが分かった。
 太陽光発電は変動する電源(VRE)であり、電力安定供給のためには、揚水発電等の電力貯蔵設備と組み合わせた電力システムを構築する必要がある。本提案書で計算した太陽光発電の発電量の国内分布と、LCSがこれまで提案してきた新揚水発電の分布を重ねてみると、いずれも広く遍く分布しており、地域ごとに安定電力供給をする電力システムを構築できることが明らかとなった。

提案書全文

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