低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2019-PP-01

蓄電池システム(Vol.7)
—蓄電システムの経済性の考察(現状の効率、コストと今後の課題)—

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概要

 蓄電システムの効率モデルを電池および周辺回路につき損失要因に分解して提案した。また、余剰電力活用を想定して、1日1回定格出力で定格容量まで330日/年充放電した場合の蓄電システムの放電容量と放電可能サイクル数をベースにした蓄電コストモデルを提案した。これらのモデルを利用して、大規模実証実験による運転データ、効率データ、およびヒアリングの情報などから、リチウムイオン電池(LIB)、ナトリウム硫黄(NAS)電池、レドックスフロー型(RF)電池の現状の効率とコストを具体的に計算した。

 NAS電池システムは現状の蓄電効率は70%であったが、蓄電コストは24-30円/kWhと、もっとも低くなった。ただ、NAS電池は運転時に常時300℃程度に保つ必要上、理想的な充放電パターンでは低コストとなるが、運転形態がコストに大きく影響する。RF電池では蓄電効率は70%だが、蓄電コストは長寿命の利点が活かされてNAS電池に次ぐ24-40円/kWhまで低下し得ることが示された。
 LIBは蓄電効率が80-85%と高いが蓄電コストは40-70円/kWhと他より高く推定された。LIB自身の充放電効率は高いが、膨大な数の単電池を集合してシステムを作るため、制御システムの電力消費や配線ロスがあるため効率が低下していると推定される。なおLIBには長寿命型(SCiB)と高エネルギー型(三元系)がある。高エネルギー型は量産効果により、かなり低価格であるが、サイクル特性が劣っているし、長寿命型は高価であるという点でいずれも高コスト要因となっている。
 上記特徴とともに今後の課題を示した。

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