低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2017-PP-10

カーボンフリー水素の経済性とCO2排出量(Vol.2)

概要

 本提案書は、水素製造や輸送方法について、水素関連技術マップ(本文の図1-1参照)を示すような検討範囲において、カーボンフリー水素の製造、輸送を経て最終利用時点での、コストやCO2排出量について明らかにするものであり、既刊LCS提案書(FY2016-PP-07(2017年3月))の内容を追加、補完する意味を有する。

 まず、水素製造は、①木質バイオマスのガス化による水素製造プロセスでは、木質バイオマス原料の実勢価格の見直しと、LCIデータ改訂に伴う設備起源CO2排出量原単位の見直しを行い、3円/MJ、CO2排出量は2g/MJの結果を得た。また、新規に②PV電源による加圧アルカリ水電解プロセスによる水素製造プロセスについて検討したが、コストは14円/MJ、CO2排出量は20g/MJとなった。
 次に、製造されたカーボンフリー水素を、1.ガス圧縮シリンダー(CSD)、2.ガスパイプライン(PL)、3.液体水素(LH)、4.有機ハイドライド(MCH)の4種の輸送方式を用いて、(a)FCV向、(b)発電所向の2種のユーザーに輸送した場合の、それぞれの利用時点でのコストとCO2排出量を、2種のエネルギー供給条件(ケースA:外部からの供給とケースB:エネルギー自立)のもとで比較検討した。その結果、製造と輸送を含めた利用時のカーボンフリー水素を実現するには、ケースBのエネルギー自立条件が必須であり、コストとCO2排出量は、FCV向では、圧縮ガスシリンダーとパイプライン輸送方式が優位で、それぞれ9.5円/MJ、9gCO2/MJ、発電所向では、パイプライン輸送方式が優位で、それぞれ4円/MJ、4gCO2/MJであることが示された。

提案書全文

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