低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2015-PP-05

地熱発電(Vol.2)
—高温岩体発電の発電コスト試算—

概要

 高温岩体発電の賦存量は大きく、実証実験が既に行われているにも関わらず、未だ実用化されていない。本報告では、開発有望地点での河川から取水できる量を算出し、これを平均深度3,000m、平均温度300℃の高温岩体に注入して得られる熱水を用いて、地上設備をシングルフラッシュ式とした場合の、高温岩体発電所における発電出力と発電コストを計算した。

 発電出力は取水量に比例して増加し、発電出力1GWに必要な取水量は2.4m3/s(0.76億m3/年)となる結果が得られた。これより、全国年間発電電力量の20%を高温岩体発電30GWで発電するのに必要な水量は23億m3/年となる。一方、全国河川水量2,400億m3/年から農業用水、工業用水、生活用水を除くと、残る利用可能な河川水量は1,680億m3/年であり、上記の水量を河川から確保できると結論できる。
 高温岩体発電の発電コストは、水回収率を98%までに高めると、公開されているデータを基に計算した熱水系地熱発電の発電コストとほぼ等しくなる。

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