低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2018-PP-13

石炭ガス化による水素、アンモニアの経済性とCO2排出量
—石炭ガス化(CCSを含む)による水素、アンモニア製造・物流システムの比較検討—

  • SDGs7
  • SDGs9
  • SDGs13
  • SDGs11
  • SDGs12
  • SDGs17

概要

 本提案書は、水素製造や輸送方法について水素関連技術マップに示すような検討範囲において、水素の製造、輸送を経て最終利用時点でのコストやCO2排出量について明らかにするものであり、既提案書[1,2]の内容を追加、補完するものである。

 本提案書では、海外産炭地でのCCSを伴う石炭ガス化プロセスにより製造された水素を、湾岸部までパイプライン輸送し、湾岸部にて液体燃料(液体水素ならびにアンモニア)に変換した後、タンカーにて国内の基地に海上輸送し、隣接する発電所で利用する場合のコストとCO2排出量について検討した。
 その結果、次のことがわかった。
1)CCSプロセスのCO2捕集率を88%にて検討したが、アンモニア、水素ともに、国内発電所入口にて、約40g/MJのCO2排出量となり、これは天然ガスを直接燃焼した場合のCO2排出量である56g/MJに対して、約70%相当の高い値であることが分かった。カーボンフリー燃料の実現には、99%以上の高い捕集性能を有する低コストCCSプロセスの開発が必要である。
2)現状の石炭価格体系では、原料(褐炭、瀝青炭)の違いによる水素の製造コスト、CO2排出量への影響は少ないことが分かった。
3)発電用燃料の選択肢の一つである、アンモニアならびに水素の利用について、価格とCO2負荷の点から、アンモニアの利用可能性が示された。

提案書全文

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