LCS-FY2021-PP-09
ゼロカーボン社会実現に向けた2030年、2050年の産業構造
概要
2030年CO2 排出46%削減、2050年ゼロカーボン(ZC)社会という目標を実現するために、将来の産業構造を定量的に示すことは重要である。低炭素社会戦略センター(以下、LCS)は、産業連関表とCO2排出表を用いてGDP、CO2排出量、電力需要量を計算する手法をLCS提案書“ゼロカーボン社会に向かう産業構造の変化例LCS-FY2019-PP-14”[1]に示した。
本提案書では、公表されている2015年産業連関表[2]と2015年環境負荷原単位データブック(3EID)[3]を用いて、再生可能エネルギー電源を含めた拡張型産業連関表とCO2排出係数表を作成した。この拡張型産業連関表には、太陽光発電など多くの再生可能エネルギー電源とその関連部門、およびDirect Air Capture (DAC)などの新技術を含めた。発電部門では電力供給量を1,000~3,000TWh に変え、またGDP、CO2排出量、電力需要に及ぼす影響が大きい9 分野で将来起こると考えられる変化およびCO2排出削減に必要と考えられる変化を与えるなど多数のケースについて、我々は産業連関分析を行った。それらの一部の結果から2030年と2050年のGDP、CO2排出量、電力需要量を計算し、CO2排出削減の目標は達成可能であることを示し、あわせて目標達成に向けた課題を明らかにした。
この手法を用いれば、産業連関分析に与える変化を変更することにより様々なシナリオの評価が可能である。
提案書全文
関連提案書
- ゼロカーボン社会に向かう産業構造の変化例 —拡張型産業連関表の適用—
- ゼロカーボン電源システムの安定化と技術・経済性評価(Vol.3) - 2030年政府案実現の見通し評価と2050年ゼロカーボン電源化への課題-
- 中小水力発電(Vol.2) —開発可能な発電量電力量と発電原価、設備利用率との関係—
- 地熱発電(Vol.2) —高温岩体発電の発電コスト試算—
- 太陽光発電システム(Vol.4) —定量的技術シナリオに基づく太陽電池モジュールの製造コスト低下要因分析—
- 風力発電システム(Vol.1) —陸上風力発電システムの経済性評価—
- アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言
- 木質バイオマスエネルギーポテンシャルの地域分布(Vol.2) —不均一に分布する人工林の伐採作業のコスト—
- 蓄電池システム(Vol.6) —リチウムイオン電池のエネルギー密度向上の可能性と研究課題—
- 二酸化炭素のDirect Air Capture(DAC)法のコストと評価
- 情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響(Vol.1)—IT機器の消費電力の現状と将来予測—
- 太陽光発電システム(Vol.6) —2050年に向けた主力電源としての太陽光発電システム産業の将来像—
- 日本における蓄電池システムとしての揚水発電のポテンシャルとコスト(Vol.3)