低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2017-PP-01

風力発電システム(Vol.1)
—陸上風力発電システムの経済性評価—

概要

 風力発電システムは大規模な普及が進んでおり、発電コストも低下してきている。一方で、変動性対策や系統設備強化のための追加費用が懸念されており、さらなるコスト低減が必要である。

 本研究では、陸上大型風車の主流である3枚翼水平軸風車を対象に、風力発電システムのコスト構造およびCO2排出量を明らかにした。
 基準ケースとして、定格出力2MW、ハブ高さ80mの風車を設計し、風力発電システムの導入原価、CO2排出量を算出した。その結果、システム導入原価は140円/Wであり、風車の製造コストは約60%であった。風車の製造コストのうち、変動費が大きく、特に原材料費が79%と大半を占める。固定費は風車製造コストの18%であるが、そのうち約4割が人件費であり、人件費の割合は高い。部品区分では、タワー、ロータ、ナセルのコスト比率がそれぞれ30%、30%、40%であった。CO2排出量は690g-CO2/Wであり、80%以上が原材料・部材起源であった。
 次に、コスト低減技術を整理し、風車の部品の選択とその組み合わせを考慮した設計変更による発電コストを評価した。本稿では、ハブ高さの増加、発電機種別に対してそれぞれの経済性を評価した。ハブ高さの増加により、風車コストは増加するが設備利用率が向上するため、発電コストは1~5%低下した。また、発電機種類によって、増速機を必要としないダイレクトドライブを用いた風車では、風車コストは増加するが発電コストは約2%低下した。このように、風車技術に対しコスト構造を評価する手法を構築した。

提案書全文

関連提案書