低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2018-PP-03

アンモニア直接燃焼によるガスタービンシステムの提言

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概要

 低炭素あるいは脱炭素化社会に向けて、非化石資源燃料への転換は差し迫った課題である。 LCSでは、これまで燃料源としてカーボンフリー水素を取り上げ、CO2排出量とコストについて提示してきた [1,2]。

 本提案書では、代替カーボンフリー燃料の代表例として「アンモニア」を取り上げ、その特異な燃焼特性を適用した新しい燃焼システムを提案し、さらに大規模発電用燃料の利用可能性について予備的な検討を行った。
 アンモニアは、エネルギー密度が高くかつ容易に液化可能という特長がある反面、着火し難く、かつ燃焼速度が遅いという欠点の為に、これまで燃料としての認知度は高くなかった。ここではカーボンフリー燃料の特長を生かせる可能性を期待して、その燃焼特性を、新たに構築したより精度の高い詳細反応機構を用いて検討した。その結果、燃料リッチ範囲で、低NOxでかつ水素を生成できる燃焼が実現可能な操作条件を見出すことが出来た。
 この知見に基づき、排ガス再循環の仕組みを組み合わせたコンバインドサイクル発電システムの概念を提案する。熱力学モデルを用いて効率と出力を予測し、予備的な経済性検討も行なった。提案するアンモニアリッチ燃焼コンバインドサイクルは、水素タービン発電システムと同等の出力を出すことが可能であり、経済性も同等である。低NOx 燃焼であること、および取り扱いの容易さなどから、水素発電システムに対して優位性があると考えられるので、アンモニア直接燃焼発電システムについてもさらに検討を進めるべきである。

提案書全文

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