低炭素社会の実現に向けた技術および経済・社会の定量的シナリオに基づくイノベーション政策立案のための提案書

LCS-FY2014-PP-06

中小水力発電(Vol.2)
—開発可能な発電量電力量と発電原価、設備利用率との関係—

概要

 本稿は、中小水力発電-要素技術の構造化に基づく定量的技術シナリオと科学・技術ロードマップ(着手段階)(平成26年度3月発行)の続編である。

 我が国における中小水力発電は概ね3万kW以下の発電出力のものであり、その未開発賦存量は発電出力基準で約900万kW程度とされている1)。各々の発電出力は小規模であり200kW程度の規模の発電所では、現状の発電原価が40円/kWh前後となり、普及のためには1/3程度にコストダウンを行う必要がある。建設費は電気関係工事費と土木工事費に大別されるが、候補地が約2万地点と多いことからいずれも標準化と量産化によるコストダウンが期待できる。昨年度の報告では、水車、発電機等の電気関係工事費について材料費率の分析から標準化により1/3程度にできる可能性を示した。本稿では土木工事費に対して、①適切な素材を使用する、及び、②量産により一般の土木工事標準単価を適用する、というコストダウン方法を採用し、建設工事費全体を計算した。その結果発電原価を現在の1/3程度の15円/kWh以下にできた。
 また、環境省の調査結果においては、設備利用率60%を一定として全国の年間発電電力量が約47TWhと試算されているが、最大使用水量を多くし、最大出力を増すことで、設備利用率は平均約40%に下がるが、全国の年間発電電力量は約22%増加して約58TWhとなった。
 今後は各地点固有の条件を把握し、適切な開発条件、工事方法などを検討したうえで普及に向けた提案を行う。

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