第8回「コグニティブセキュリティとトラスト」
開催日程
2025年11月18日(火) 14:00~17:00
開催形態
オンライン(Zoomウェビナー)
開催趣旨
デジタル化の進展につれて、バーチャルな空間にも人間関係が広がり、AIのような複雑な技術を用いたシステムへの依存が高まり、だます技術も高度化してしまいました。その結果、デジタル社会と言われる今日において、社会におけるトラスト(信頼)関係にほころびが見られます。この問題は、自動運転車、AIエージェント、生成AI、メタバースなどの新技術・新サービスの社会受容を左右するとともに、フェイク・偽装・なりすましなどによる詐欺・犯罪の懸念を高めています。このような問題意識から、JST CRDSでは総合知による取り組みの必要性を提言し、様々な分野に広がるトラスト研究の間の分野横断的な議論・連携の機会として「連続シンポジウム」を企画しました。
その公開第8回では「コグニティブセキュリティとトラスト」をテーマとして取り上げます。情報社会の進展、SNSや生成AIの利用の広がりに伴い、偽・誤情報の拡散、フィッシングやなりすましによる詐欺などの被害が拡大しています。今日、サイバー攻撃の対象はシステムだけでなく、人間の認知へと広がったといえます。認知の特性・脆弱性を理解し、自律的な意思決定を維持するための研究開発として、コグニティブセキュリティを取り上げます。セキュリティあるいは認知科学の専門家4名に登壇いただき、本シンポジウムシリーズのテーマであるトラストの観点も交えて議論します。
プログラム
14:00~14:05 | 開催趣旨説明 福島 俊一(科学技術振興機構 研究開発戦略センター) |
---|---|
14:05~14:40 | 講演1「コグニティブセキュリティ:認知・情報・社会をつなぐ新たなセキュリティ研究の展望」 秋山 満昭(NTT社会情報研究所) |
14:40~15:15 | 講演2「認知に対する情報操作型サイバー攻撃」 鈴木 悠(NICTサイバーセキュリティ研究所) |
15:15~15:50 | 講演3「コグニティブセキュリティとトラスト」 福島 俊一(科学技術振興機構 研究開発戦略センター) |
15:50~17:00 | 質疑・総合討論 モデレータ:福島 俊一 パネリスト:秋山 満昭、鈴木 悠 ディスカッサント:植田 一博(東京大学大学院総合文化研究科)、島岡 政基(セコム IS研究所)、福井 章人(科学技術振興機構 研究開発戦略センター) |
講演概要
(1)秋山 満昭「コグニティブセキュリティ:認知・情報・社会をつなぐ新たなセキュリティ研究の展望」
近年、サイバー攻撃は情報システムだけでなく、人間の認知や意思決定をも標的とするようになっている。このような状況において、人と情報システム、そして社会全体を包含した新たなセキュリティの枠組みとして「コグニティブセキュリティ」が注目されている。本講演では、認知に関わる脅威の構造やその防御・介入のアプローチ、研究倫理などの課題を整理し、認知・情報・社会をつなぐ学際的研究としての展望を示す。
(2)鈴木 悠「認知に対する情報操作型サイバー攻撃」
ディスインフォメーション(偽・誤情報)は、サイバー空間を介して人の認知に影響を与えることを目的に用いられる手段である。本講演では、第6の戦場と呼ばれる認知領域における脅威について、ディスインフォメーションとそこで語られるナラティブが狙う認知の脆弱性とその影響を解説する。
(3)福島 俊一「コグニティブセキュリティとトラスト」
デジタル化が進展した社会において、意思決定に関わる要因や影響は人間が認知できる範囲を超え、外部からの情報操作・認知攻撃は拡大かつ巧妙化している。本講演では、この問題に立ち向かう上でトラスト(信頼)が担う役割とそのモデル化を示し、コグニティブセキュリティとの関係や関連する研究事例・方向性について述べる。
参加申込方法
- 事前登録制(参加無料)
こちらの 「参加登録受付フォーム」からご登録ください。 - 参加登録受付期限:2025年11月17日(月) 13:00
主催
国⽴研究開発法⼈科学技術振興機構(JST)研究開発戦略センター(CRDS)
問い合わせ窓口
福島 俊一(JST CRDSフェロー)