実用技術化プロジェクト
省エネルギー社会に向けた革新的軽量材料の創製
領域概要

運営総括(PO):
原田 幸明 /
物質・材料研究機構
名誉研究員
経済のグローバル化の中で輸送機器の占める位置がどんどん大きくなってきています。その際、自動車や航空機のような移動体の重量とともに、その構成要素であるピストン等の駆動体において、構成物の軽量化設計はエネルギー効率の大幅な改善をもたらし、ひいてはCO2 の発生量削減に大きく寄与します。このような軽量化設計をもたらす最大の要素は軽量材料の採用です。しかし、軽量材料として期待されている材料の多くは相対的に時代の浅いものが多く、移動体や駆動部という厳しい使用環境の下での特性のみならず価格や加工性も含めた総合的な視点からは従来材料に対して大きな後れをとっています。
本プロジェクトでは、今後の軽量化設計をになう軽量材料に対して、その材料のボトルネックとなっている課題に焦点を当て、その問題を解決する技術的基盤を明らかにすることで、軽量材料の社会的普及とそれを用いた軽量化設計を通じて製品の使用段階でのCO2 の削減への大きな寄与を目指しています。具体的には、マグネシウムの性能を向上させつつアルミニウムに匹敵する加工性を付与する技術、比強度、耐食性で鉄鋼を大きくしのぎながら製錬技術の制約で高価格となっているチタンの新しい精錬技術、セラミックス材料の宿命とも言われる破壊亀裂進展に対する自己治癒機能の付与などです。これらの挑戦的課題を解決する筋道を明確にし、軽量材料とその製造技術が2030年をめどに社会実装されるように、企業とのパートナーシップを強めながらその基礎となる研究開発を進めていきたいと思っています。
※2019年度に全課題が終了いたしました。