研究開発成果
SIP第3期「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」シンポジウム「人口減少を機に価値共創でひらく未来社会―ネクストステージへの挑戦」
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)主催、内閣府共催によるSIP第3期「ポストコロナ時代の学び方・働き方を実現するプラットフォームの構築」(以下、「ポスコロSIP」という)のシンポジウムを2026年3月6日(金)にハイブリッド形式で開催しました。本シンポジウムでは、これまでのポスコロSIPの成果を社会にひらいて共有するとともに、外部の専門家との対話を通じて、社会に根ざした新たな連携の可能性を探ることを目的とし実施いたしました。
開催概要
- 日時:2026年3月6日(金)13:00~18:30
- 開催形式・場所:ハイブリッド開催(対面会場:JST東京本部別館、オンライン:Zoomウェビナー)
- 主催:JST
- 共催:内閣府
- 参加者数:・対面会場:一般来場113名(うち登壇者・関係者59名)※事務局除く
・オンライン:107名
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当日の動画
プログラム
| 時間割 | プログラム |
|---|---|
| 第1部 ポスコロSIPを知る | |
| 13:00-13:05 | オープニング |
| 13:05-13:10 | 開会挨拶 原 克彦(内閣府科学技術・イノベーション推進事務局審議官) |
| 13:10-13:50 | 基調講演 西村 訓弘(プログラムディレクター(PD)/ 三重大学大学院地域イノベーション学研究科 教授・特命副学長) 古屋 星斗(リクルートワークス研究所 主任研究員 / 一般社団法人スクール・トゥ・ワーク 代表理事) |
| 13:50-14:20 | サブ課題の概要紹介※サブ課題Aを除く 野城 智也(戦略C・サブ課題Dサブプログラムディレクター(SPD) / 東京都市大学 学長) 東 博暢 (サブ課題Bサブプログラムディレクター(SPD) / 株式会社日本総合研究所 プリンシパル) 大山 潤爾(サブ課題Cサブプログラムディレクター(SPD) / 国立研究開発法人産業技術総合研究所 人間社会拡張研究部門 主任研究員/ 筑波大学 人間系 准教授) |
| 14:20-15:15 | 各研究開発チームによるピッチプレゼン ※サブ課題Aを除く |
| 15:15-15:25 | 休憩 |
| 第2部 ポスコロSIPを味わう | |
| 15:25-16:25 | パネルディスカッション ■【テーマ①】「未来をひらく「新たな『学び』」とは」 ■【テーマ②】「現場と政策をつなぐ「新たな『学び』の社会実装」 <ファシリテーター> 西岡 加名恵(サブ課題Aサブプログラムディレクター(SPD) / 京都大学大学院教育学研究科 教授) <パネリスト> 合田 哲雄(文部科学省 高等教育局長 / 兵庫教育大学 客員教授) 白井 久美子(博士(工学)/ 株式会社明電舎 社外取締役 / 日本プロジェクトマネジメント協会 副理事長 / 国際P2M学会 副会長) 緒方 広明(京都大学学術情報メディアセンター 教授) 松下 佳代(京都大学大学院教育学研究科 教授) 草原 和博(広島大学大学院人間社会科学研究科 教授) |
| 16:25-16:50 | 休憩+対話セッション |
| 第3部 ポスコロSIPと考える | |
| 16:50-17:50 | パネルディスカッション ■「多様な価値創造の時代をひらくモデルから学ぶ」 <ファシリテーター> 東 博暢 (サブ課題Bサブプログラムディレクター(SPD) / 株式会社日本総合研究所 プリンシパル) <パネリスト> 石原 誠太(PD補佐/一般社団法人UNIVA 代表理事) 石丸 修平(福岡地域戦略推進協議会 事務局長) 相良 美織(株式会社バオバブ 代表取締役社長) |
| 17:50-18:00 | 全体総括 西村PD |
| 18:00-18:10 | 閉会挨拶 野城SPD |
| 第4部 ポスコロSIPと交流する | |
| 18:10-18:30 | 対話セッション |
| 18:45- | 懇親会 |
当日の様子
第1部の冒頭では、内閣府 原克彦審議官より開会挨拶が行われました。挨拶では、第6期科学技術・イノベーション基本計画および現在策定が進められている第7期基本計画の方向性を踏まえ、本課題が、人口減少社会においても誰もが能力を発揮できる社会の実現を目指す重要な取組であると寄せられました。また、本シンポジウムが、年齢、性別、障害の有無等にかかわらず、自ら望む学び方・働き方を選択できる社会の実現に向けた研究開発の方向性を広く共有するとともに、社会全体でその意義を考える機会となることへの期待が述べられました。
続いて基調講演では、「ポスコロSIPを知る」をテーマに、西村訓弘プログラムディレクターと古屋星斗氏(リクルートワークス研究所)による講演が行われました。
西村PDは、「人口減少を機にひらく未来社会」を題材に、これまでの社会制度や働き方の延長線上で将来を考えるのではなく、人口減少を社会変革の契機として捉え直す必要性を指摘し、その上で、個々の強みや個性が社会の中で発揮され、互いに共鳴しながら新たな価値を創出していく社会像として、「個々の輝きが共鳴し、進化し続ける幸福な社会」というビジョンを提示しました。また、人口減少の進行により、これまでの制度や地域社会の仕組みをそのまま維持することは難しくなりつつあることを踏まえ、新たな学び方・働き方や支え合いの仕組みを構築していく必要性を述べました。
続いて、古屋星斗氏より「労働供給制約と日本の新しい30年」をテーマに講演を行いました。古屋氏は、日本社会が直面する人手不足の背景には、景気変動による一時的な要因ではなく、労働需要に対して労働供給が構造的に不足する「労働供給制約」が存在すると指摘しました。特に、2040年に向けて75歳以上人口が大きく増加することにより、介護・医療・生活維持サービスなどのエッセンシャルワークへの需要が一層高まる一方で、その担い手の確保が困難になる可能性が示されました。さらに、人口減少がもたらす「総需要減」「財政制約」「労働供給制約」という三つの制約の下で、日本社会はこれまでの成長モデルの見直しを迫られていることを説明しました。その上で、長時間労働に依存した社会から、多様な人材が短時間でも能力を発揮できる社会への転換の必要性を指摘し、人口動態の変化を踏まえて地域社会や産業構造を先手で見直していく重要性を強調しました。
講演の後半では、Slidoを活用した参加型アンケートも実施され、「成功」と「幸せ」の関係や、社会の前提が大きく変化する中で個人や組織がどのように価値観や行動をアップデートしていくべきかといった問いが参加者に投げかけられました。基調講演全体を通じて、人口減少を単なる制約として捉えるのではなく、社会の仕組みや価値観を見直し、新たな可能性を切りひらく契機として捉える視点が共有されました。
続いて、サブ課題B・C・Dのサブプログラムディレクターより、各サブ課題の取組について紹介しました。
サブ課題Bでは、東博暢SPDより、「新たな『学び』」と働き方の接続をテーマとした研究開発の方向性が示され、人口減少や労働力不足、AI技術の急速な進展といった社会構造の変化を背景として、学びと働き方を一体的に再設計していく必要性を指摘し、多様な働き方モデルの構築、主体的なキャリア形成の促進、D&Iの社会浸透、社会人のリカレント・リスキリングの推進などを柱とした研究開発が進められていることが紹介されました。
サブ課題Cでは、大山潤爾SPDより、サイバーフィジカル技術を活用し、「新たな『学び』」と働き方の“場”を創出する取組について紹介されました。具体的には、場所にとらわれない働き方を支えるバーチャルオフィス、デジタル教材を活用した学習支援、多拠点を接続した新しい学校づくり、教員のメンタルケア支援、高齢者の遠隔就労など、多様な人が社会参加できる仕組みづくりに向けた実証が進められていることを述べられました。
サブ課題Dでは、野城智也SPDより、「新たな『学び』×働き方×バーチャル空間」の有効性を示すSociety5.0のショーケース構築に向けた取組を紹介されました。地域における共創を通じて人々の行動変容を促し、その連鎖によって社会全体の変革につなげていくことを目指しており、北海道を主なフィールドとして、3rd Placeの構築や地域におけるデジタルリスキリングの推進、伊達市を核とした実証などを通じて、全国展開可能なモデル形成が進められていることが報告されました。
続いて行われたピッチプレゼンでは、各研究開発チームより、学び方・働き方の再設計に向けた具体的な実証内容について紹介しました。地域や学校を拠点とした生涯学習プラットフォームの構築、学びと働き方のD&Iに関する調査・実証、障害者の社会参加を支えるインタフェース技術の開発、博士人材育成モデルの構築、日本型バーチャルオフィスの研究開発、高齢者の遠隔就労支援、特別支援教育における教員支援、地域の対話・学びあいの場と意思決定支援プログラム、社会人向けデジタルリスキリング基盤の整備、農業を起点とした地域共成長モデルの構築など、幅広い研究テーマについて今後の社会実装を見据えた取組について報告しました。
第2部のパネルディスカッションでは、西岡加名恵SPDのファシリテーションの下、「未来をひらく新たな『学び』とは」および「現場と政策をつなぐ新たな『学び』の社会実装」の二つのテーマについて議論が行われました。議論の中で、現実社会の課題に取り組む「真正で探究的な学び」、多様な他者との対話を通じて社会課題を考えるデジタル・シティズンシップの取組、学習ログを活用した個別最適な学習支援など、次世代の学びのあり方が紹介されました。また、研究開発成果を教育現場や制度に定着させるためには、教育委員会や大学、地域拠点との連携を通じた実装の仕組みづくりが重要であることが共有され、教育データ基盤の整備や教材・研修コンテンツの開発など、持続的な社会実装に向けた取組について議論を行いました。
第3部のパネルディスカッションでは、東SPDのファシリテーションの下、地域、教育、就労、事業創出などの分野で先進的な取組を進める登壇者による議論が進められました。議論では、人口減少や地域課題の深刻化、働き方の多様化といった社会変化を踏まえ、生活・生産・学びを相互に切り離すのではなく、一体的に捉える視点の重要性が共有されました。また、多様な人材がそれぞれの強みや特性を生かして参画できる環境整備や、地域・企業・教育機関など多様な主体が連携して価値を共創していく仕組みの必要性について意見交換が行われました。さらに、先進的な取組を個別の事例にとどめるのではなく、他地域・他分野へ展開可能なモデルとして整理し、社会全体へ波及させていくことの重要性が確認されました。
シンポジウムの終盤では、西村PDによる総括および野城SPDによる閉会挨拶が行われ、西村PDからは、本課題においては研究成果の創出に加え、それらを社会に受け入れ、実装していくための環境整備や社会的理解の醸成が重要であるとの認識が示されました。また、今後は本課題を通じて対話や議論の場をさらに広げ、学び方・働き方の変革につながる社会的機運を高めていく必要性が共有されました。
野城SPDからは、本シンポジウムで示された教育・人材育成の取組や多様な議論を踏まえ、社会構造の変化に対応できる人材を育成していくことの重要性が示されました。その上で、本課題が、従来の画一的な価値観にとらわれず、一人ひとりの違いや強みを生かしながら共に価値を創出する社会の実現に向けた契機となることへの期待が述べられました。最後に参加者への謝意が示されるとともに、本シンポジウムを契機として今後の取組がさらに広がることへの期待が示されました。
第4部では、現地参加者を対象とした「対話セッション」を行いました。別会場にて、16:25 – 16:50、18:10 – 18:30 の2回、全13研究開発チームと現地参加者との間で、ポスターや説明資料を基に取組内容の説明、意見交換を実施しました。対話セッションの参加者からは、ピッチプレゼン等で疑問に感じた点について、研究開発チームとの対話により理解できたといった感想や、研究開発についての改善点の提案をいただき、参加者、研究開発チーム双方にとって有意義なセッションとなりました。




