研究開発テーマ

サブ課題C:「新たな『学び』」と働き方の空間の創出

 コロナ禍により、リアルな接触・交流の機会が制限された結果、豊かなコミュニケーションや多様な体験を実現できるオンライン空間として、バーチャル空間の活用が拡大しつつあります。このことは、社会や産業の在り方を根底から変えるパラダイムシフトとも言え、これまでに指摘されているオンライン空間活用における課題を乗り越え、時間や場所にとらわれない学び方・働き方を実現する上での大きな可能性を秘めていると言えるのではないでしょうか。
 そこで、サブ課題Cでは、既存の最先端の要素技術、現場や当事者を対象とした実証により、ユーザーおよび社会に受容される適切な技術とその導入・運用・評価についての設計仕様をチューンアップすることで、学校や職場において、現実と遜色ない、あるいは現実以上に効果的な、交流や協働、管理や評価が可能となるようなバーチャル空間の開発、およびその評価検証と水平展開のための技術・導入・運用・評価方法等の設計仕様の提案を行います。このことにより、Society 5.0における社会生活の場として社会に受容される「新たな『学び』」と働き方のバーチャル空間を創出します。あわせて、バーチャル空間が持つ利点を最大限に活かした学びと働き方のコンテンツを開発し、例えば、教育や労働に対する動機・取り組みの姿勢を設計しつつ、多様な人材とのやり取りや体験の中で新たな価値観の獲得と創出を可能とします。
 これらの取組について、バーチャル空間における成果をフィジカル空間にフィードバック・反映するとともに、人間中心という価値観を基軸に据えることで、一人ひとりに寄り添った学び方・働き方を実現し、真の豊かさをもたらす未来社会の構築に貢献します。
 サブ課題Cでは、4つのテーマ(主担当)を採択しています。

サブ課題Cの研究開発テーマと担当

※赤:テーマ担当(主) 青:テーマ担当(副) (略称・敬称略)

サブ課題C(主担当)の採択テーマ

採択テーマ名 研究開発責任者名 研究開発概要 リンク
テレワークによる社会課題解決のための日本型バーチャルオフィスの研究開発 田澤 由利
(株式会社テレワークマネジメント 代表取締役)
テレワーク導入・定着・拡大を図るための阻害要因を調査し、調査結果に基づくバーチャルオフィス機能の開発・実証・効果検証によって、日本の課題、企業の課題を解決する「日本型テレワーク」の方法論の確立に取り組む。 https://www.telework-management.co.jp/sip/
誰もがいつまでもhappy work可能なバーチャル空間構築 原田 悦子
(筑波大学 人間系 客員教授)
多様な人が多様な状態で「well-beingに繋がるhappy working」を続けられる場の構築を目指し、健康な高齢者を代表的な対象として,バーチャル空間で働くことの認知的課題分析とそこでの障壁をなくすためのデザイン要件を明らかにする。 https://sites.google.com/view/siphappywork/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0?authuser=0
デジタルツインを用いた個別最適な学び方・働き方の実現 緒方 広明
(京都大学 学術情報メディアセンター 教授)
個別最適な学習や人材の適材適所の配置を実現するため、教育ビッグデータを収集・活用するための情報基盤システムLEAFを拡張して、人間中心のデジタルツイン(DT)として、オープン知識・学習者モデル(OKLM)研究開発する。 https://eds.let.media.kyoto-u.ac.jp/sip3
バーチャル空間を活用した特別支援教育に特化した教員職能開発 能智 正博
(東京大学 大学院教育学研究科(教育学部) 教授)
教員のメンタルヘルスに配慮した特別支援教育に関する職能開発の機会をバーチャル空間で提供し、教員の自己効力感を改善することで、教員の離職防止に貢献し、特別支援が必要な人も含め、一人一人が多様な幸せを実現できる社会を実現する。 http://nochilab.p.u-tokyo.ac.jp/