航空機用高生産性革新CFRPの製造・品質保証技術の開発を行うため、以下の5つのユニットがそれぞれのテーマに取り組みます。
エンジン用には熱可塑性樹脂・CFRTP開発を行うCFRTPユニット、200℃以上の耐熱性CFRP開発を行う耐熱CFRPユニットがあります。機体用には、オートクレーブ成形材の高生産性化・強靱化を目指すオートクレーブ強靭CFRPユニット、OoAプリプレグ開発・成形技術や樹脂圧入成形技術を開発するOoA CFRPユニットがあります。また、成形中のモニタリング技術や成形シミュレーション技術に裏付けされた革新PMCの品質保証技術の開発を担う学術基盤・評価ユニットが、革新材料開発の学術的なバックアップを強力に推進します。
平成28(2016)年度より開始
本研究では、CFRP航空機のライフサイクルCO2削減効果をさらに高めることを目的として、また、化石資源枯渇に伴う石油価格の高騰への対策として、現在石油から作られているCFRPを植物バイオマス由来に代替するための技術開発を行います。石油系プラスチックをバイオマス製品に代替した際のCO2削減効果は、少なく見積もっても生産重量の1.4 倍~5 倍と言われています(日本有機資源協会による試算)。すなわち、飛行機1機に炭素繊維を約20トン、母材樹脂を約20トン使用(炭素繊維協会による試算)した際、それらを石油由来からバイオ由来のものに変更することによるCO2削減効果は、~200トン/機となります。
CFRPを製造するための原料植物としては、油脂植物を用います。具体的には、植物油からバイオディーセル燃料(BDF)を製造する際の副産化合物から、炭素繊維のモノマー化合物や熱硬化樹脂原料を製造します。植物油の搾油残渣の主成分であるリグノセルロースについては、イオン液体を用いた常温常圧前処理を経て、化学や生物反応を組み合わせて、熱可塑性樹脂を製造します。以上から得られる炭素繊維と熱可塑性樹脂からCFRPを製造し、その特性評価を行います。
No. | 研究開発課題 | ユニット名 | ユニット代表者 |
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A01 | 航空機用高生産性革新CFRPの製造・品質保証技術の開発 | 航空エンジン用途国産熱可塑性樹脂・CFRTP開発 | 荒井政大(名古屋大学) 守屋勝義(IHI) |
A02 | 高生産性・高信頼性脱オートクレーブCFRP構造部材の知的生産技術の開発 | 吉岡健一(東レ) | |
A03 | 耐熱高分子基複合材(耐熱CFRP)の適用技術研究 | 石田雄一(JAXA) 守屋勝義(IHI) |
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A04 | 成形プロセスモニタリング・モデリングと品質評価技術 | ◎〇武田展雄(東京大学) ◎〇岩堀豊(JAXA) |
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A11 | 高生産性・強靭複合材の開発 | 阿部俊夫(三菱重工業) | |
A10 | 植物由来の炭素繊維複合材料の開発 | 仁宮一章(金沢大学) |
◎:領域長 〇:拠点長