戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)

領域紹介

耐環境性セラミックスコーティングの開発

[本文]

領域紹介

JFCC拠点

耐環境性セラミックスコーティング

(C41・C42)

コンセプトとアプローチ

CMC耐用温度1400℃の酸素・水蒸気を含む環境下において長時間曝露後も、EBC構造と界面制御コーティング構造を維持し、軽量セラミックス部材の力学特性(損傷許容性)を持続させるために、以下の技術を開発する。

  • (1)熱・水蒸気・酸素遮断性に優れる多層セラミックスコーティング膜の最適材料設計。
  • (2)最適多層セラミックスコーティング膜を具現化するEBC技術の開発。
  • (3)部材内部の基材となるSiC繊維表面へのコーティング技術の開発。
  • (4)EBC膜の使用限界の把握と、世界最高水準の部材特性の実証。
航空機用部材の革新的加工技術の開発

研究開発

耐環境性コーティング技術の開発(C41)

多相積層EBCコーティング技術の開発・環境遮蔽設計:成果
JFCC

 EBC構成材中の物質移動解析に基づき、ベンチマーク材(実用化段階材)の適用が困難な高温過酷環境下での使用を可能にするEBC構造を決定しました。また、任意の“温度・酸素ポテンシャル勾配下” におけるEBC構成層の粒界を介した酸化物イオンとカチオンの移動量を予測可能にしました。

多相積層EBCコーティング技術の開発・ダブル電子ビームPVD法:成果
JFCC

図
ダブル電子ビームPVDの成膜例(緻密質・傾斜組成)

 EBC性能の発現に不可欠な複合酸化物層の微細構造を高精度に制御する要素プロセスを確立しました。例えば、ガス遮蔽性の発現に不可欠な緻密質構造だけでなく、傾斜組成、さらには、耐熱衝撃性を付与するための柱状カラム構造の形成を可能にしました。

CVD法による結合層コーティング技術:成果
東北大学

 レーザーCVD法により、α-SiAlON層のコーティング膜を生成させる条件と生成する膜の微細組織観察を明らかにし、緻密なα-SiAlON層のコーティング膜を生成させることに成功しました。

エアロゾルデポジション法による結合層コーティング技術:成果
横浜国立大学 大学院工学研究院

 エアロゾルデポジション法により、室温で軽量セラミックス基板上にムライトのみならずSiAlONの緻密層を形成させることに成功しました。

コーティング材の実機システム適用可能性評価:成果
株式会社IHI

図
熱サイクル試験の実施状況

 軽量セラミックス基板を対象にしたバーナーリグ装置を用いた高温熱サイクル試験の条件検討と治具構造の検討を行い、1300℃程度で1000回規模の試験を行うことを可能としました。また、試験片サイズや試験機の改良により、1400℃における熱サイクル試験の実施に目途を得ました。

コーティング材の特性評価:成果
株式会社超高温材料研究センター

図
高温加湿環境下曝露試験装置

 EBC多層膜の構成材単相や多相積層構造をもつ軽量セラミックス基板を対象にした高温加湿環境下曝露試験装置を設計・改修し、1400℃の加湿環境下における曝露評価を可能としました。

EBCの健全性評価解析:成果
物質・材料研究機構

図

 EBC多層膜の界面を対象とした破壊靱性試験を考案しました。層間強度の弱い軽量セラミックス基板には負荷をかけずに、汎用試験装置を用いて単純形状の小試験片で評価が可能なこれを既存のEBC材料に適用して界面破壊靱性の測定を行い、実用性を実証しました。さらに、業界標準となりうる試験として認められるよう、試験手順の確立を目指しています。

EBCの力学特性評価:成果
東京工業大学

 ナノインデンテーション試験装置を改良して、EBC多層膜の構成材単相を対象とした600℃までの高温ナノインデンテーション試験を可能にしました。更に高温(目標1000℃)のナノインデンテーション試験においても、得られるデータの精度良く測定するために必要な装置改良上の技術課題を明確にしました。

EBCの熱機械的負荷損傷シミュレーション:成果
東京大学 生産技術研究所 革新的シミュレーション研究センター

 EBC多相積層膜の調製プロセスでは厳しい熱サイクル環境に曝され、発生する熱応力等によるき裂発生・進展が生じない構造設計が必要である。このための多相積層構造のエネルギー解放率を予測するための解析システムを開発しました。

矢印

繊維コーティング材料の開発(C42)

CVD法による繊維コーティングの開発:成果
横浜国立大学 大学院環境情報研究院

図 CVD 法を用いてSiC繊維束上に施した
Ybシリケートコーティング

 レーザーCVD法を用いてYbシリケート層を形成する技術を確立し、JAXA、IHIおよびJFCC間で連携しながら、Ybシリケート層の微細組織を制御してき裂伝播経路を制御する技術、Si塩化物を使用せずにSiC層を形成する技術を提案・実証しました。

繊維コーティングの実証部材への適合性評価
株式会社IHI

図 製作した溶融含浸炉

 緻密な軽量セラミックス基板を製造可能な溶融含浸炉を設計・製作し、繊維を傷めない含浸処理条件を検討し、セラミックス基板の試作と含浸性の評価を行いました。また、使用時のセラミックス基板に導入される損傷を検出可能な非破壊検査の手法を選定し、検査条件の最適化に取り組んでいます。

繊維コーティング材料の設計および微構造解析
JFCC

 熱力学平衡計算とモデル実験により、Ybシリケートの熱化学的安定性について明らかにし、得られた情報を基に繊維コーティングの構造とそのプロセス条件の提案を行いました。

繊維コーティングの健全性評価解析
宇宙航空研究開発機構

 開発された各種コーティング繊維の機能をミニコンポジットや繊維押し抜き法で評価し、損傷許容性を発現するコーティング構造を明らかにしました。コーティングとしては、CVD法が化学堆積法より優れた繊維コーティング方法であることを示しました。

超音波検査技術の開発
東京大学 生産技術研究所 機械・生体系部門

 平成28年度に実施したフィージビリティスタディで、軽量セラミックス部材における超音波の非線形効果(高調波の発生)が、疲労損傷導入後に増大することを確認しました。今後は、非線形効果の変化を定量的に評価するための指標を決定し、損傷累積の度合いを簡便に診断可能にするための、損傷評価アルゴリズムを構築します。

超音波検査技術の開発
徳島大学

図 セラミックスサンプルへの
アクティブサーモグラフィ試験の様子

 平成28年度に実施したフィージビリティスタディで、軽量セラミックス部材におけるパルスサーモグラフィ法を適用した結果、疲労損傷導入前後で加熱時の温度上昇、および加熱後の温度低下速度が変化することを確認しました。今後は、赤外線イメージング法測定における入熱量、加熱パルス時間などの検査条件の影響に関する検討と最適化を行い、損傷の程度を定量的に評価するための指標を決定します。

テーマ構成と役割

テーマ1:耐環境性コーティング技術の開発(C41)

EBCコーティングの最適構造設計を基にした多層膜から構成されるマルチコーティング技術を開発します。

図
矢印

テーマ2:繊維コーティング材料の開発(C42)

SiC繊維表面にYbシリケートをコーティングするプロセスを開発し、コーティング繊維を用いた軽量セラミックス基板を作製する。

図

耐熱使用温度1400℃へのブレークスルー

環境遮蔽性と熱機械的特性の最適化を可能とする先進構造設計

図:環境遮蔽性と熱機械的特性の最適化を可能とする先進構造設計
■多相積層構造EBCの概念図

航空機エンジンの燃費を改善しCO2排出量を大幅に削減するためには、ホットセクションを構成する部材の“軽量化”と“耐熱性向上”が不可欠です。軽量セラミックス部材は、現用のNi基合金よりも遙かに軽量で耐熱性に優れますが、これを適用するためには、部材の表面を守り長期使用を可能にする耐環境性コーティング(EBC:Environmental Barrier Coating)が不可欠です。優れた環境遮蔽性と耐熱衝撃性を併せもつように多相積層構造とし、各層毎に特徴的な機能をもたせ、全体として優れたパフォーマンスを発現させます。

ここで、優れた環境遮蔽性は緻密質膜により発現しますが、その結果として、膜中を構成物質が移動するため、積層構造の維持が困難になります。EBCの現状性能を打破するためには、これまでの素材適合性や熱機械的特性の観点からの構造設計に加えて、高温ガス透過法等を用いたEBC内の物質移動の定量的かつ精密評価に基づく環境遮蔽設計が極めて重要です。本研究では、この環境遮蔽設計と熱機械的構造設計とを融合した先進構造設計により、1400℃の燃焼ガス環境下において実用的に長期間使用が可能なEBC構造を提案します。

新規破壊靭性評価法を用いたEBC使用限界の把握

新規破壊靭性評価法を用いたEBC使用限界の把握
■EBC使用限界の判断基準の概念図

航空機エンジンの信頼性を高めるには、EBCの使用限界を正確に把握し運用することが必要ですが、その方法は確立されていません。

本研究では、模擬使用環境下における耐久性試験後のEBCの破壊靱性値を計測するとともに、EBC構成材料の物性変化を考慮したエネルギー解放率の計算を行います。そして、使用中の損傷や構造変化によって生じるこれら値の経時変化から、EBCの剥離や割れが生じる条件を予測する方法を提案するとともに、この手法を用いてEBCの最適構造設計を行います。

破壊靱性値の測定については、将来の認証、標準化支援を考慮して、実機コーティングに適用可能な、簡便で小型の試験片で破壊モードを再現できる新規試験方法にすることを目指します。

新EBCマルチコーティング技術

新EBCマルチコーティング技術
■ダブル電子ビーム(基板回転機構付き)の成膜装置の概念図

先進構造設計に基づき、多相積層構造EBCを電子ビームPVD法等により形成するプロセス技術を開発します。

電子ビームPVD法は、現在の航空機エンジン用Ni基系合金部材の遮熱コーティングにおいて主流の成膜方法です。本研究では、複数の電子銃と原料インゴットからなるシステムを採用することで、成分蒸気圧の大きく異なる複合酸化物や、膜組成の傾斜化、複合化が可能です。

この装置を用いて、1400℃の燃焼ガス環境中でも長時間安定的に使用可能な新規のEBCを実現します。

高速基材製造プロセス技術の開発

(C46)

コンセプトとアプローチ

非酸化物系セラミックス基複合材料の低コスト化に向けて、高速・低コスト製造プロセスとして、高速基材製造プロセスの開発を行う。
CVI(化学的気相浸透)法やPIP(ポリマー含浸焼成)法に比べて短時間処理が可能なMI(溶融含浸)法をさらに短時間化する高速基材製造プロセス技術(高速MI法)の開発を目指す。SiC繊維が高温の溶融Siに暴露される時間を短くすることより、繊維劣化を抑え、汎用グレード繊維の活用により全体のコストを低減する。

図:コンセプトとアプローチ

ユニット構成と役割

図:ユニット構成と役割

研究開発

高速MI法によるCMC製ブレード製造と材料/設計要求の設定

研究開発

軽量耐熱高靱性耐環境コーティングの開発

(C45)

コンセプトとアプローチ

従来の「3次元織物構造」、「高耐熱SiC繊維」、「CVI*、PIP**繰返しの製造」に対して、「安価な構造」、「安価な材料」、「安価なプロセス」を用いた効率的な靱性向上セラミックス部品製造技術を確立。

  • (ⅰ) 薄肉コーティング構造の製造プロセス設定。
  • (ⅱ) 酸化物系セラミックス繊維の耐熱性向上。
  • (ⅲ) 遮熱・アブレーダブル等の機能を有したコーティングの開発。
  • (ⅳ) 材料・構造の設計・評価技術の確立。

* CVI:Chemical Vapor Infiltration
* PIP:Polymer Impregnation and Pyrolysis

図:コンセプトとアプローチ
TBC:Thermal Barrier Coating , CMC:Ceramic Matrix Composites

ユニット構成と役割

図:ユニット構成と役割

研究開発

(ⅰ) 低コスト高靱性化材料プロセス技術

耐熱性が改良されたAl2O3系繊維を用いたCMCを試作し、3点曲げ試験や引張試験で高強度を得た

図:CMC強度試験結果例
CMC 強度試験結果例
図:CMCの引張破面
CMCの引張破面

(ⅱ) 低コスト耐熱性繊維製造技術

既存品種に対して100℃耐熱性が向上した酸化物長繊維を得た。本繊維を用いた織物を試作。

図:繊維引張強度保持率測定例
繊維引張強度保持率測定例
図:アルミナ系長繊維織物試作例
アルミナ系長繊維織物試作例

(ⅲ) 耐環境コーティング技術

密着力の強いボンドおよびアブレーダブル性を持ったトップコート材料最適化。

図:耐環境コーティング断面
耐環境コーティング断面

(ⅳ) 材料・構造の設計・評価技術

セラミックス基材に対して薄肉CMCコーティング貼付により、破壊特性改善

図:貼付材の試験片表面にビッカース圧痕(圧痕の数(間隔)を変化)
図:圧痕導入CMC貼付材の三点曲げ強度と圧痕間隔の関係
圧痕導入CMC貼付材の三点曲げ強度と圧痕間隔の関係

シュラウド部品設計を行い、問題点を抽出

図:圧痕導入CMC貼付材の三点曲げ強度と圧痕間隔の関係
 設計シュラウドの構造解析例

研究開発課題・ユニット一覧

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