事業成果

未来を共創する研究開発戦略の立案・提言

科学技術イノベーション創出に向けた先導役2021年度更新

研究開発戦略センター(CRDS:Center for Research and Development Strategy)とは

研究開発戦略センター(CRDS)は、国の科学技術イノベーション政策に関する調査、分析、提案を中立的な立場に立って行う組織として、平成15年7月に、独立行政法人科学技術振興機構(当時の名称)に設置された。

CRDSは、国内外の科学技術イノベーション動向の調査・俯瞰、産官学のステークホルダーとの対話・議論などを基に重要課題を抽出し、科学技術イノベーション政策や研究開発戦略の提案及びその実現に向けた取組を行っている。

今後国として重点的に取り組むべき研究開発戦略や科学技術イノベーション政策上の重要課題について提案する「戦略プロポーザル」や、国内外の社会や科学技術イノベーション及び関連政策の動向を俯瞰・分析する「研究開発の俯瞰報告書」といったCRDSの成果は、関係府省等の研究開発プログラムや科学技術基本計画等の科学技術イノベーション政策の策定に役立てられている。

また、これらの成果はJST内外のイベントでの講演、セミナー動画配信、解説コラムや日刊新聞での連載などを通じて、多様なステークホルダーに向けて発信している。

調査分析結果をまとめた調査報告書

調査分析結果や提案を報告書として発行
(研究開発の俯瞰報告書、戦略プロポーザルなど)

図:ワークショップや講演、コラム、SNS等によるステークホルダーとの対話

ワークショップや講演、コラム、SNS等によるステークホルダーとの対話

新型コロナウイルス感染症に関する情報の発信

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関して、CRDSの活動を通じて収集・蓄積される情報を基に関連する資料、記事、考察などを集約し、CRDSウェブサイト上の特設ページ「COVID-19と研究開発のゆくえ」を通じて発信している。

図:特設ページ「COVID-19と研究開発のゆくえ」

異分野融合・横断を促す取組

多様化・複雑化する社会にあって、科学技術が現代の様々な問題と向き合うには、これまで個々に発展してきた学問体系を越えて新しい分野を定義し取り組む、または複数分野の連携により新たな融合領域を生み出して取り組むことが求められる。

CRDSでは、異分野融合・横断の研究テーマや、それを促す研究システム等について、調査分析提案を行っている。

冊子
デジタルトランスフォーメーションに伴う科学技術・イノベーションの変容(-The Beyond Disciplines Collection-)

研究開発の現場にデジタル技術が浸透することによって、21世紀の科学技術はそのあり方を大きく変容させている。AI、自動化、ビッグデータなどデジタル技術の活用がもたらす新たな価値と変革の観点から、研究開発現場に今何が起きているのかを分野横断的に俯瞰する。(2020年4月発行)

AI×バイオ DX時代のライフサイエンス・バイオメディカル研究(-The Beyond Disciplines Collection-)

バイオ分野とAI研究の融合は目覚ましく、診断支援、疾患リスク予測、新薬探索、薬効(毒性・副作用)予測、イメージング画像を用いた高度解析など、AI医療やAI創薬等の研究が世界中で活発化している。このような潮流における研究開発の注目動向、課題と今後の展望について紹介する。(2020年9月発行)

「研究開発の俯瞰報告書」の発行

本報告書は、科学技術分野の研究開発動向や社会・政策動向、国際比較、我が国の今後取り組むべき方向性等をとりまとめたもので、科学技術政策や研究開発戦略立案の基礎資料(エビデンス)として、政策関係者や産学の研究者など科学技術に関わる様々なステークホルダーに広く活用されている。

科学技術の各分野版(隔年発行)と、「主要国の研究開発戦略」、「日本の科学技術イノベーション政策の変遷」(毎年発行)から構成され、最新の2019年版では、科学技術と社会の関係や分野を越えた動き、日本の挑戦課題等をまとめた「統合版 ~俯瞰と潮流~」を発行した。

CRDSの提案が関係府省の施策に活用

戦略プロポーザルをはじめとしたCRDSの提案は、国の戦略や研究開発プロジェクト等に活用されている。

「第4 世代AI の研究開発-深層学習と知識・記号推論の融合-」

現在、特に深層学習(ディープラーニング)が第3世代AIの中心にあり、さまざまな応用に適用が進んでいるが、その限界も指摘されはじめた。第3世代の限界を克服する第4世代AIの研究開発においてわが国が先行し、国際競争力を確保するために、目指す方向性、重要な研究開発課題、推進方法等を示す。(2020年3月発行)

図

策定に向けたワークショップ等を通じたステークホルダーとの議論や情報提供により、本提案をはじめとする関連提案の内容が文部科学省 令和2年度戦略目標「信頼されるAI」の3つの達成目標にそれぞれ活用された。

「4次元セローム」

細胞内機能素子の動的構造と機能の相関の解明を行うために必要となる「4 次元セローム」(cell+ome: 細胞の構成要素の総体)とも呼べるアプローチを実現するため、そのための基盤となる、細胞内の時空間情報を網羅的・定量的に計測・解析できる革新的技術の開発を提言したものである。(2020年3月発行)

図2

策定に向けたワークショップ等を通じたステークホルダーとの議論や情報提供により、文部科学省 令和2年度戦略目標「細胞内構成因子の動態と機能」及びJST戦略的創造研究推進事業(CREST)「細胞内現象の時空間ダイナミクス」(R2-)に活用された。

「革新的コンピューティング」

物理的な世界(フィジカル空間)とコンピュータやネットワーク上のサイバー空間とが融合したサイバーフィジカルシステム(Cyber Physical System:CPS)の実現に必要となる高度情報処理を可能とする革新的なコンピューティング技術の研究開発課題と推進方法に関する研究開発戦略を提言したものである(2018年3月発行)。

策定に向けて早期段階からステークホルダーとの議論を重ねたことにより、本戦略プロポーザルの発行後ただちに関係府省や関係機関における新たな研究開発プロジェクトの発足に活用された(下記参照)。

戦略プロポーザル「革新的コンピューティング」の活用事例
  • 文部科学省 平成30年度戦略目標「Society 5.0を支える革新的コンピューティング技術の創出
  • JST戦略的創造研究推進事業(CREST)「Society 5.0を支える革新的コンピューティング技術」(H30-)
  • JST戦略的創造研究推進事業(さきがけ)「革新的コンピューティング技術の開拓」(H30-)
  • 内閣府 SIP課題「フィジカル領域デジタルデータ処理基盤技術」
  • 内閣府 PRISMターゲット領域「革新的フィジカル空間基盤技術」
  • 経済産業省(NEDO)「AIチップ開発加速のためのイノベーション推進事業」(H30-)
  • 経済産業省(NEDO)「高効率・高速処理を可能とするAIチップ・次世代コンピューティングの技術開発」(H30-)

「元素戦略」

科学者の議論から生まれた「元素の機能を最大限に発揮することで、夢の新材料を実現する」というビジョンを具体化するために、化学、物理、金属、セラミクス、鉄鋼などの学会、大学、研究所、企業などと連携して、希少元素の減量・代替・循環・規制、および元素の新機能探索を国として推進すべきと提案したものである(2007年10月発行)。

関係府省に対しても「元素戦略」の必要性を説き、産学官の様々な関係者の協力を得て、2007年に文部科学省の「元素戦略プロジェクト」が、経済産業省の「希少金属代替材料開発プロジェクト」との密な連携で研究開発をスタートした。その後も関連施策が次々とできた。

「元素戦略」は、資源の限界を克服し、新たな物質材料の基盤技術を拓き、さらにはわが国の産業界はもとより世界の産業にも貢献することを目的とし、現在なお展開を続けている。

「元素戦略」関連の研究開発政策

CRDSの活動の基本

CRDSのあるべき姿
CRDSは我が国および人類社会の持続的発展のため、 科学技術振興とイノベーション創出の先導役となるシンクタンクを目指します。
CRDSの任務
  • 1. CRDSは国内外の社会や科学技術イノベーションの動向及びそれらに関する政策動向を把握し、俯瞰し、分析します。
  • 2. これに基づき、CRDSは課題を抽出し、科学技術イノベーション政策や研究開発戦略を提言し、その実現に向けた取組を行います。
任務の実行にあたって
CRDSは我が国産学官の関係者、社会のステークホルダー、更には外国関係機関と積極的に連携、情報・意見交換を行います。
そして、得られた成果については、外部に積極的に発信します。