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さきがけ
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- 多細胞システムにおける細胞間相互作用とそのダイナミクス/
- [多細胞] 令和3年度採択課題
福井大学
学術研究院医学系部門
特命教授
損傷組織の修復・再生は多様な細胞同士の相互作用によって達成されますが、その制御機構については不明な点が残されています。本研究はショウジョウバエ上皮をモデルとして、組織損傷によって生体内に形成される細胞間ネットワークの時空間制御機構を遺伝学的解析と器官ライブイメージング解析により明らかにすることで、組織が損傷を修復し再び元通りの機能・形態を回復していく仕組みの解明を目指します。
東北大学
大学院工学研究科
准教授
体の左右非対称は初期胚に見られるノードと呼ばれる組織において決定されます。ノード内には水流が存在し、ノード左の不動繊毛が水流による機械刺激を感知することで左右非対称が形成されることが分かってきました。しかし、「なぜ左の繊毛だけが機械刺激を感知するのか?」という謎が残されたままとなっています。本研究では、工学的な数値流体解析、構造解析から、左の繊毛が機械刺激を感知する力学的な機構の解明を目指します。
科学技術振興機構
さきがけ研究者
上皮組織は自己の構造を組織化するにつれ、細胞→上皮シート組織→上皮性管腔と構造の組織化レベルを階層的に発展させます。このとき各階層では固有の組織制御システムが機能していますが、管腔構造を完成させたのち作動する組織制御システムがあるのかは十分に検討されていません。そこで哺乳動物の生殖路で機能するルミクリンをモデル系としてin vivo解析することで、上皮組織の高次階層での制御機構を明らかにします。
奈良先端科学技術大学院大学
先端科学技術研究科
准教授
植物の成長に伴った運動は、植物ホルモンであるオーキシンの偏差分布が引き起こす不均一な成長 (偏差成長)により制御されるという説 (コロドニー/ウェント説)が提唱されています。しかし、偏差成長する細胞群の位置やタイミングは明らかになっていません。本研究では重力に応答した個々の細胞動態の精密計測により偏差成長の場を特定し、オーキシンの偏差分布から局所的な細胞伸長の制御に至る機構を明らかにします。
徳島大学
先端酵素学研究所
准教授
本研究では「哺乳類胚の胚発生はどのように休み、再活動するのか?」という課題に取り組みます。具体的には、「発生休止はプログラムされた多細胞システムにより制御されている」という提案者独自のアイデアをもとに、独自に開発した「細胞-組織特異的大規模KO技術」や、オミクス、イメージング技術を駆使した研究を展開します。
九州大学 高等研究院 准教授
脳組織は多くの細胞集団によって構成されています。従来の手法では、脳組織中から個々の細胞種間の構成分子を解析することは出来ませんでした。本研究では、組織内で特定の細胞種間を繋ぐ分子を網羅的に探索する為の時空間的コネクトプロテオミクス 技術を開発します。これにより、脳組織内の個々の神経回路網やグリア細胞間の生理的意義 を解明し、全く新しい観点からの脳の動作原理及び脳機能を解明します。
大阪大学
蛋白質研究所
准教授
動物の発生過程では、細胞どうしが相互作用して複雑な多細胞パターンを形成します。本研究では、培養細胞を用いたモデルシステムに細胞間シグナル回路を作りこむことで、自発的なスポット形成や精密な勾配形成を実現するのに十分な細胞間相互作用を明らかにし、細胞がパターンを正確かつ自発的に制御する原理に迫ります。さらに本技術をオルガノイド培養系に導入し、組織構造をねらい通りに操作する技術開発を行います。
熊本大学
生命資源研究・支援センター
准教授
精子は卵細胞膜と接着・融合して、卵へと取り込まれると、父性染色体を卵に送り込むと同時に、卵を活性化して受精が成立します。最近、私は融合に関連する精子タンパク質を見出しました。本研究では、遺伝子改変マウスを用いて、これらの融合関連因子がどのようにして融合メカニズムを制御するのか、その分子メカニズムの解明とともに、融合により取り込まれる精子タンパク質の卵活性化における役割を明らかにします。
大阪大学
大学院生命機能研究科
助教
多細胞生物個体は、隣り合う細胞との接着をダイナミックに消失、形成することで組織や器官を構築する。ヒトと同じ脊索動物に属するホヤ胚の器官構築における上皮シート細胞再配置をモデルに、細胞間の接着因子どうしの結合ダイナミクスを可視化し、ライブイメージングと光操作を駆使して新しいメカノセンシング様式:機械刺激→接着の破壊→シグナル伝達の存在を検証する。それと共に細胞再配置の力学、分子メカニズムを解明する。
香港科学技術大学
生命科学研究科
准教授
本研究ではシナプスの生化学的特性を空間的に解析する新規手法を用いて、コネクト―ムにそれら情報を組み込んだケモコネクトームを明らかにします。さらにケモコネクトームの動性を捉え、それらを操作し、様々な行動解析法を用いて捉えたケモコネクトームの重要性を探ります。ケモコネクトームとその動性を明らかにすることで、コネクト―ムだけでは説明できない動物の行動多様性の根本原理に迫ります。
青山学院大学
理工学部
助教
胚発生において、時空間的に統制の取れた遺伝子発現や細胞の挙動は個体の体制を作り上げていく上で重要です。本研究課題では原腸形成過程を通した体軸パターニングに焦点を当て、胚の幾何情報に沿った遺伝子発現がどのように達成されるか、またそれに伴う細胞/細胞集団の挙動がどのように時空間的に制御され胚の体制を作り上げていくかを解析し、ミクロからマクロを貫く、胚発生の包括的な理解を目指します。
大阪大学
大学院医学系研究科
准教授
多核細胞では複数の核が協調し合うことで、その働きが制御されています。本研究では多核破骨細胞にフォーカスします。異なる核を持つ前駆細胞が互いに融合する過程を詳細に観察するとともに、1細胞内に存在する複数の核による転写状態を独立して解析可能な新技術の創出を目指します。複数の核によって制御される1細胞内のダイナミクスを解明することにより、破骨細胞の活性化や機能低下に潜む新たな原理を探求します。