技術領域

未来本格型

ゼロカーボン社会に向けた発電プラント用耐熱金属材料の要素技術開発

小林 覚

研究開発代表者

小林 覚

研究開発期間
2026年4月~
グランド番号
JPMJAN26G1

研究概要

 地球温暖化対策として、温室効果ガスの排出を実質ゼロとするカーボンニュートラル(ネットゼロ)の実現が世界的な目標となっています。太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーの導入は着実に進んでいますが、これらは天候や時間帯によって発電量が大きく変動するという特性があります。そのため、電力を安定して供給するためには、将来においても需給調整を担う電源が必要であり、火力発電は引き続き電力供給の基盤として重要な役割を果たすと考えられています。
 このような状況の中で、火力発電をいかに脱炭素化し、かつ高効率に利用していくかが大きな課題となっています。現在、火力発電の脱炭素化技術としては、水素やアンモニアなどの脱炭素燃料の利用や、発電時に排出される二酸化炭素を回収・利用・貯蔵するCCUS(Carbon Capture, Utilization and Storage)技術が注目されています。しかし、これらの技術は新たな設備の導入や追加のエネルギー投入を必要とするため、発電コストの増加が指摘されています。そのため、脱炭素化の実現と同時に、発電システム全体の効率を高め、エネルギー負担を低減することが不可欠です。
 本研究開発課題では、このような次世代の脱炭素型火力発電を成立させるための基盤技術として、高温・腐食環境に耐える金属材料の研究開発に取り組みます。発電設備の内部では、非常に高い温度や、水蒸気や二酸化炭素を含む厳しい環境に長時間さらされるため、使用される材料の性能が発電システム全体の信頼性や効率を左右します。本研究では、酸素と水素を用いた高効率な燃焼方式の発電システムや、二酸化炭素を分離・回収しやすい発電システムを想定し、それらの成立を材料の観点から支える三種類の材料課題を設定しています。
 これまでの探索研究では、材料内部の微細な組織を制御する独自の技術により、従来材料を上回る耐熱性や長時間使用に耐える強度を有する金属材料について、材料設計の方向性を明らかにしてきました。また、二酸化炭素を多く含む湿潤環境下で金属材料がどのように劣化するかを体系的に調べることで、耐二酸化炭素腐食材料の設計に関する基礎的な知見も蓄積してきました。
 今後は、これら探索研究の成果を基盤として、実際の発電設備で使用することを見据えた強度信頼性、耐環境特性、製造性を体系的に確立します。さらに、本課題で確立される材料基盤技術を、産業界と連携した次段階の実証研究へと橋渡しすることを目指します。その後、プラントメーカーや電力事業者との協力のもと、実証研究を通じて材料の実用信頼性や規格化に関する検討が段階的に進むことが期待されます。これらの取り組みを通じて、本課題は、将来の脱炭素型火力発電プラントの社会実装に資する技術的基盤を提供し、長期的には2050年のネットゼロ社会の実現に向けた取り組みに貢献することを目指します。

  • 図1 開発Ni基合金のクリープ強度

  • 図2 腐食速度マップ(湿潤二酸化炭素環境下)

研究開発実施体制

代表者グループ

 東京科学大学 物質理工学院

共同研究グループ

 北海道大学、大阪大学、北海道電力株式会社、日本製鉄株式会社、株式会社日本製鋼所

トピックス

準備中

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