研究代表者・研究課題

HOME 研究代表者・研究課題 平成26年度採択 杉野目道紀

キラル分子技術でキラリティ制御の新パラダイムを創出します | 杉野目道紀 | 京都大学 大学院 工学研究科 教授 | 専門:有機合成化学、高分子化学

課題名|Research Theme

キラリティのスイッチングと増幅を特徴とす
る次世代キラル触媒システムの創製

概要|Outline

互いを鏡に映した関係にある1対の分子を鏡像体と称し、鏡像体のそれぞれは生体中や集合体形成時に異なった作用を示します。このため、医薬品、農薬や機能材料の開発において、鏡像体のそれぞれを効率的かつ選択的に合成する方法の開発が求められています。本研究においては、右巻きと左巻きを自在に切り替えることのできるらせん高分子骨格をベースにした新しい触媒を開発し、必要に応じて望みの鏡像体を高い純度で作る分子技術を世界に先駆けて開発します。

キラル触媒による鏡像体合成の概念図

特色|Feature

  • 数あるキラル触媒の中でも、キラリティのスイッチングが可能なもの、不斉増幅を伴うものは、特殊な例を除きこれまで知られていません。本研究は、世界で我々だけが有しているキラルらせん高分子ポリキノキサリンを使って、これらを世界に先駆けて実現し、実践的な物質生産につなげようとするものです。
  • このキラル高分子はキラル触媒としてのみならず、他の様々なキラル材料の標準骨格となることが期待され、情報・エレクトロニクス・ディスプレー産業において重要とされる、円偏光などの物理キラリティ制御材料として用いられる可能性を秘めています。

研究代表者

杉野目 道紀
京都大学 大学院 工学研究科 教授 研究室HP
 
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2年度の成果|Results Y2015

図1 キラリティスイッチングと不斉増幅を可能にするキラル高分子触媒のデザイン

図2 キラルゲストを不斉誘起に用いる高選択的不斉合成システム

これまでの研究成果(インパクト)

  • らせん高分子触媒を用いる高選択的不斉触媒反応
    • らせん高分子求核触媒を用いた不斉合成
      4-アミノピリジンをペンダントとして有するらせん高分子が最高94%eeで不斉求核触媒として働いた
    • ニッケル触媒分子内アルキン3量化によるヘリセンの不斉合成
      90%を超える光学収率で光学活性ヘリセンが得られ、高分子配位子上の置換基を変えるとエナンチオ選択性が反転した
  • 新しい触媒キラリティスイッチングシステムの開発
    • 司令官と兵隊型キラリティ制御により、ベンゼンとトリフルオロメチルベンゼン中でエナンチオ選択性が完全に逆転する触媒を見出した
  • 不斉増幅触媒システムの開発
    • キラルゲストによるらせん誘起
      ゲスト受容部位を有する高分子に光学活性アミノアルコールをキラルゲストとして用いると高選択的に片巻らせん誘起が誘起された
    • キラルゲスト受容部位を有するらせん高分子触媒
      光学活性アミノアルコールによるらせん誘起に基づき、90%eeを越える選択性で生成物を与える触媒反応系を確立した

今後の進め方

  • 様々な触媒活性部位をペンダントとして導入し、新しい遷移金属/有機不斉触媒反応の開発を進める。
  • 反応系中での触媒キラリティ転換を可能にするための分子デザインを確立し、ワンポット不斉多段反応に適用する。
  • 低光学純度のキラルゲスト分子によってらせんキラリティを完全に制御する不斉増幅システムを確立する。
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初年度の成果|Results Y2014

図1:キラリティスイッチングと不斉増幅を可能にするキラル高分子触媒のデザイン

図2:低光学純度出発原料を用いる高選択的不斉合成システム

これまでの研究成果(インパクト)

  • キラルらせん高分子触媒を用いる高選択的不斉触媒反応
    キラル高分子求核触媒のデザイン(図1)

    ピリジン環をペンダントとして有する新しいキラル高分子を合成し、不斉求核触媒反応に用いたところ、高いエナンチオ選択性が得られた。
  • 新しい触媒キラリティスイッチングシステムの開発
    Bidirectional Sergeants-and-Soldiers効果によるキラリティ制御

    アキラルモノマーの構造最適化により、キラルモノマーの含有量や、ブロック共重合とランダム共重合の切り替えにより、右巻きと左巻きを完全に制御できる高分子系を確立した。
  • 不斉増幅触媒システムの開発
    低光学純度出発原料を用いる高選択的キラル触媒の合成(図2)

    キラル触媒の合成には純粋な光学活性体が必要であるとの従来の常識を覆し、S体がわずか23%だけ過剰な2-オクタノールから合成した、らせん高分子触媒が、スチレンのヒドロシリル化および不斉鈴木・宮浦カップリングにおいて高い不斉収率で生成物を与えることを見出した。溶媒効果による触媒キラリティのスイッチングも利用することで、両エナンチオマーをそれぞれ92-95%eeの高選択性で得ることができた。

今後の進め方

  • 様々な触媒活性部位をペンダントとして導入し、新しい遷移金属/有機不斉触媒反応の開発を進める。
  • 反応系中での触媒キラリティ転換を可能にするための分子デザインを確立し、ワンポット不斉多段反応に適用する。
  • 低光学純度のキラルゲスト分子によってらせんキラリティを完全に制御する不斉増幅システムを確立する。

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