HOME 研究代表者・研究課題 平成24年度採択 山下正廣
分子技術による単分子量子磁石を用いた
量子分子スピントロニクスの創成
単分子量子磁石(TbPc2)のSTM像
現在のエレクトロニクスやスピントロにクスにおいては、磁石として磁性金属や遷移金属酸化物のような古典磁石が用いられていますが、本研究の特徴は、21世紀の新しいナノ磁石(次世代型磁石)と呼ばれている単分子量子磁石を用いることです。この単分子量子磁石分子は、分子技術を最大限活用することで古典磁石とは全く異なる磁気特性や機能性を創製することが可能です。我々は、分子技術による単分子量子磁石を用いた「量子分子スピントロニクス」という全く新しい分野の創成を目指します。
図1. ジアリールエテン配位子で架橋した2つのマンガンサレン錯体の結晶構造(a).光照射のオン・オフに伴うSMM特性のオン・オフに成功した(b).
図2. Ag(111)表面TbPc2分子のSTMのtopo像とコンダクタンスマッピング(右). Ag(111)表面TbPc2分子の配位子で測定されたdI/dV スペクトル. 1層目の分子(a), 2層目の分子(b).(c)外部磁場(2 T)印加時に観察されたディップ.
図1. フタロシアニン-ポルフィリン3層積層型TbIII錯体の障壁エネルギー(Δ)と積層角度(φ)の関係. 対称性がD4dからD4hに変化するにつれ、Δが減少していく.
図2. (a) Cu-Benzo(I)およびCu-TPCで得られたエネルギーの関数として電子状態密度をプロットしたグラフ。Iにのみ鋭い凹みとして近藤共鳴が観測される。銅コロール分子で計測されたグラフ(II)には近藤状態が観察されず、反磁性状態であると結論される. (b) Cu-Benzoの構造.
図1:フタロシアニン多重積層型TbIII錯体結晶構造.右から3層、4層、5層積層錯体. Tbイオン間距離は3層錯体TbTbで最も短い0.35 nmを示し、5層積層錯体TbCdCdTbでは0.99 nmとなる。
図2:Au(111)面上に吸着したTbPc2の電子構造.測定位置を8つのローブ上で変えながらSTS測定すると、STSピークの位置は周期的に数百ミリボルトだけシフトする. フェルミ準位の鋭いピークとして検出された近藤共鳴(近藤ピーク)も、ピーク幅および強度の周期的な変化を示している。
図1:磁気相互作用と磁化緩和時間
図2:磁気相互作用と磁化緩和挙動
図1:ヘテロ型単分子量子磁石
図2:中性有機ラジカル分子